[No.1364-1]力強い手~第一部
No.1364-1
登場人物
男性=牽引役
女性=相手
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“お父さんを頼むね”
その言葉が何度も頭をよぎる。
その度に後悔にも似た感情が押し寄せてきた。
「その言葉を俺は守れただろうか・・・」![]()
「急だったね」
「本当は、今週末、行くつもりだったけどね」
父の容態が良くないと弟から連絡が来た。
元気ではなかったが、悪いということもなかった。
「甘く考えていたかもな」
「距離があることをいいことに」
父は4年前くらいから施設で暮らし始めた。
自ら入居を希望したからだ。
「仕方ないよ、遠いのは事実なんだから」
隣の県とは言え、施設までは3時間以上掛かる。
その距離が迷いを生じさせた。
「言い訳になるけど・・・ね」
今までも何度か容態が良くない時があった。
だから、また同じだろうとも考えていた。
「ただ、熱が下がらなくて」
「以前よりは緊迫したのも事実」
なのに都合よく考えていた。
少し違うが、“すっぱいぶどう”と同じだ。
「あれこれと考える自体、間違っている」
後先考えず行動すべきだった。
今・・・振り返るとだけど。
(No.1364-2へ続く)









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