カテゴリー「(053)小説No.1326~1350」の48件の記事

[No.1349-2]良いお年を

No.1349-2

「それにしても・・・」
「その人、ユーモアがあるね」

いや、うけを狙っていたわけではない。
むしろ、真面目にそう言ったように思えた。

「どうしてよ?」
「ごく自然に言ったからさ」

だからこそ、僕もあっけにとられた。
この時期にその一言を聞くとは思ってもみなかったからだ。

「まぁ、確かに早すぎるけどねw」
「だろ?」

でも、言われて嬉しくないわけがはない。
僕も驚きながらも、顔がほころんだ。

「普通は12月下旬ごろだもんね」
「早くても12月中旬w」

それが、11月末に言われてしまった。
次の定期検診が来年の2月にあるからだ。

「それを分かっての一言だろ?」

“良いお年を”なんてさ。
J1349
(No.1349完)
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[No.1349-1]良いお年を

No.1349-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あはは・・・」

予期せぬ一言に、苦笑いするしかなった。

「アドリブがきかないわね!」
「無理言うなよ・・・」

昨日、歯医者さんに定期健診に行った。
予約を取るのが遅れて、11月の末日になってしまった。

「私ならちゃんと返せるわよ」
「さすが関西人!」

僕には無理な相談だ。
器用に突っ込んだりできない。

「馬鹿にしてる?」
「まさか!」

むしろ尊敬している。
あの時、上手く返せず、後悔すらしている。

「大袈裟ね」
「それなら訓練しないと」

本当にそうだ。
予期せぬ一言に上手く返せる訓練が。

(No.1349-2へ続く)

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[No.1348-2]男女の差

No.1348-2

「そんなに大事なもの?」
「そうじゃないけど・・・」

ただ、集めるのが好きになったきっかけがこれだ。
それは間違いない。

「どうして?」
「一枚だけしかないじゃん」

そう・・・カードはこれ1枚しかない。
けど、集めていたのはカードではない。

「もしかして・・・印鑑の方?」
「正解!」

ラジオ体操が終わると、子供たちは大人に群がる。
もちろん、目的は印鑑をもらうためだ。

「印鑑をたくさん集めるのが目的?」
「ううん、違うよ」

数ではない。
種類だ。

「種類?」
「山本さんとか佐藤さんとか」

つまり、違う名前の印鑑を集める。
これが子供の間で流行っていた。

「男子だけだけどね」
「だろうね」

レアな名前に歓喜することもあった。
逆に、同じ名前で落胆することもあった。

「・・・思い出すよ」
「捨てていいよね?」
J1348
(No.1348完)
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[No.1348-1]男女の差

No.1348-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「男性って好きだよね」
「集めるのが」

部屋の片づけをしている最中に見つけた。
昔、集めていたトレーディングカードを。

「それは否定しない」
「それにしても懐かしいな・・・」

片づけあるあるだ。
手に取るごとに手が止まる。

「もう!そんなペースじゃ片付かないわよ!」
「分かってるよ」

年末を迎え、断捨離することにした。
捨てられない自分にとっては一大決心だった。

「てか、なんで私が手伝ってるわけ?」
「暇だろ、どうせ」

彼女の目に殺意が見える。

「じょ、冗談だよ」
「だよね?」

とにかく手伝ってくれるのは有難い。
何度も手が止まるからだ。

「ん?これはなに?」

彼女が古びた紙を手渡してきた。

「これ・・・」
「持ってたんだ」

それは小学生の時のラジオ体操のカードだった。
参加した証として、大人から印鑑をもらえた。

(No.1348-2へ続く)

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[No.1347-2]ソソドドレレド

No.1347-2

「ところで・・・」
「何の童謡なの?」

そうだ・・・それを言ってなかった。
すっかり、しゃべった気になっていた。

「ごめんごめん!」
「グリーングリーンだよ」

元はアメリカのフォークソングのようだ。
今さらだけど、最近知った。

「知ってる!」
「私も歌ってた」

授業で繰り返し歌う。
それと同じくらい、ドレミを覚えた。

「それで頭に入っちゃってさ」
「自然に」

それが、・・・年経過しても覚えている。
不思議なくらいに。

「で、肝心のドレミは?」
「そうだねw」

それは“ソソドドレレド”だ。
本当に最後の小節だ。

「ソソドドレレド?」
「歌ってみなよ」

彼女が歌う。
最初からw

「最後だけドレミで歌ってね」
J1347
(No.1347完)
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[No.1347-1]ソソドドレレド

No.1347-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
時々、ある音階が頭をよぎる。

「音階?ドレミのこと?」
「そうだよ」

小学生の時、音楽の授業で童謡を歌った。
別に珍しくもないが。

「だよね?」
「色々と歌わされるじゃん」

歌うだけではなく、演奏も行う。
私たちの場合は、縦笛だった。

「もちろん、歌詞は覚えてるんだけど」
「ドレミ・・・も覚えてるんだよね」

とは言え、全部ではない。
いや、一部しか覚えてないと言ったほうがいい。

「なにそれw」
「自分でも分からないw」

覚えている個所も面白い。
最後の小節だからだ。

「なぜか、そこだけ覚えてるんだよね」
「よほど印象に残ってるとか?」

それもある。
でも、それより、語呂がいい。

「音階で語呂?」
「他に良い表現がなくてw」

今でも流れるように思い出す。
あの音階を。

(No.1347-2へ続く)

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[No.1346-2]懐かしい味

No.1346-2

「チョコ・・・」
「何か思い出したの?」

自分の言葉がヒントになった。
そう・・・コーヒーであってコーヒーじゃない。

「えっ?何なのそれ」
「・・・思い出した」

それは、一応“コーヒー味”として売られていた。
ただ、子供相手に本格的な味にするわけにはいかない。

「子供相手?」
「やっぱりお菓子なの?」

分類としてはお菓子だろう。
けど、飴とかチョコの類ではない。

「さっき、チョコって・・・」
「そうだったわねw」

その呼び方は地域によって違うと思う。
私のところでは“チューチュー”と呼んでいた。

「・・・なにそれ?」
「ほら、固まると棒状のアイスのやつ」

今は、ビニールに入った液体の状態で売られている。
十本程度入っていると思う。

「あぁ、アレね!」
「昔は、凍った状態で1本売りだったけどね」

そのチューチューのコーヒーの味だった。
今、飲んでいるアイスコーヒーの味は。
J1346
(No.1346完)
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[No.1346-1]懐かしい味

No.1346-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・ん?」
「どうしたの?」

どこかで味わったことがある。
このアイスコーヒー・・・。

「コーヒーだからでしょ?」
「ううん、違うの」

どこか懐かしい味がする。
昔、味わったことがある。

「それならお菓子とか?」
「コーヒー味の」

普通はそうなる。
でも、そうではない。

「何だろう・・・」
「味の記憶は確かにあるんだけど」

思う出せないのがもどかしい。
間違いなく昔、味わったことがある。

「このコーヒーって」
「苦みがなくて酸味が強いよね?」

友人が冷静に分析する。
その分析には私も同感だ。

「うん、私の好きな味」
「コーヒーのようでコーヒーじゃないような・・・」

少しチョコに似たような味だ。
やや薄めの・・・。

(No.1346-2へ続く)

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[No.1345-2]俺には分かる

No.1345-2

「そうなるわよ」

ただ、ここからの展開が意外だった。
“それベースだろ?”とおじさんが言い放ったからだ。

「確かに楽器を抱えてたんだよね」
「その高校生」

でも、それがベースかどうかは分からない。
楽器入れに入っていたからだ。

「ギターの可能性だってあるじゃん」
「それをベースだって・・・」

その疑問はすぐに解消された。
おじさんの一言によって。

「“俺もやってるから分かる”って」
「・・・なるほど」

そう、おじさんもバンド風の人だった。
あらためて見てみると。

「これで色々辻褄があって」
「全身タトゥーも納得したんだよ」

実際、それはベースだった。
女子高生が“そうだ”とうなづいたからだ。

「悪い人じゃなかったんだ」
「そうよw」

見た目で人を判断した自分を恥じた。

「で、最後におじさんが・・・」

その女子高生に向かって言った。
“頑張れよ”と。
J1345
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[No.1345-1]俺には分かる

No.1345-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
一瞬、車内に緊張が走る。
でも、その緊張が解けるのも意外に早かった。

「聞いて欲しい話があるんだよ」
「あら、珍しいわね」

確かにそうだ。
私から話を振るのは珍しい。

「それで?」
「昨日、電車に乗ってたら・・・」

どこからともなく、おじさんの声が聞こえてきた。
ただ、その内容が・・・。

「えっ?」
「ねえちゃん、ねえちゃん・・・って」

スマホをいじる手を止めてその声の主を探した。
その主は、私から少し離れた所に座っていた。

「失礼だけど・・・まぁ、見た目が・・・」
「どんな人?」

見える範囲に全身タトゥーのおじさん。
見るからに怪しい人だった。

「人は見た目じゃないけれど」
「そんな風に声を掛けられたら・・・ね」

けど、私に声を掛けたわけじゃない。
おじさんの前に座っていた女子高生にだ。

「余計に心配じゃん!」
「そうなのよ!」

いわゆる“因縁”を付けられたんじゃないかと。
その時、車内は緊張の空気で満たされていた。

(No.1345-2へ続く)

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