カテゴリー「(052)小説No.1301~1325」の51件の記事

[No.1325-2]駄菓子

No.1325-2

「100円あれば十分楽しめた」
「買い物も食べることも」

今の時代、100円で買えるお菓子も減ってきた。
その点、駄菓子はまだまだ現役だ。

「さすが5円や10円じゃないけどね」
「そりゃそうよw」

個性的な商品ばかりだ。
どれもこれも子供心をくすぐる。

「お菓子・・・には出来ない技ね」
「そうそう!」

駄菓子には駄菓子なりのプライドを感じる。
価格以上の価値を感じずにはいられない。

「知ってる?」
「なんで“駄菓子”っていうか」

“駄”には粗悪なもの、つまらぬものの意味がある。
早い話、ダメな菓子と言うことだ。

「そうなんだ・・・」
「不服?」

確かに、お菓子には勝てないかもしれない。
でも、そもそも勝負しようとも思っていないだろう。

「駄菓子・・・」
「だが・・・しかし・・・」

そこには企業の知恵と努力が詰まっている。
J1325
(No.1325完)
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[No.1325-1]駄菓子

No.1325-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「懐かしい~!」
「ホントだ!」

所狭しと駄菓子が並んでいる。
最近の100均は駄菓子の充実度が半端ない。

「これ知ってる?」
「もちろん!」

ヨーグルトではない。
ヨーグルだ、それもモロッコの。

「絶妙なネーミングだよね」
「あははw」

加えて、味も絶妙だ。
コストパフォーマンスも良い。

「小さい時、死ぬほど食べたよ」
「私もよ」

今ではあまり見かけない小さな木べらを使って。
それがプレミア感を演出した。

「あっ!ラムネもあるよ」
「粉っぽい方ね」

良い意味で“ちゃんとしてない”ラムネだ。
口に入れた瞬間から溶け始める。

「5円だったよね?」
「今じゃ考えられない価格w」

私は本家よりそっち派だった。

(No.1325-2へ続く)

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[No.1324-2]甘かったこと

No.1324-2

「でも、当時は何も疑わなかったな・・・」

素直と言えば聞こえがいい。
でも、深く考えなかったのが本音だ。

「自分の死期は悟っていたみたいだし」
「その時から覚悟は決まってたと思う」

今となっては手術自体、したかどうか分からない。
付き添ってはいないからだ。

「その可能性もあるよね」
「仮にしたとしても・・・」

インオペだったかもしれない。
テレビドラマの見過ぎかもしれないけれど。

「そう考えると」
「色々と辻褄があってくるんだよな」

退院が早かったこと。
そして、がんの進行も早かったこと。

「退院して半年後には」
「・・・余命宣告だったし」

その時、父は驚くほど平然としていた。
父は・・・もう知っていたんだと思う。

「そっか・・・」
「今さらだけど・・・」

甘い自分が情けなくなる。
もう少し、向き合っていたら・・・。

「だとしても結果は変わらないよ」
「お母さんはそれを知ってたからこそ・・・だよ」
J1324
(No.1324完)
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[No.1324-1]甘かったこと

No.1324-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
当時は何も疑わなかった。
母のその言葉に。

「どんな言葉?」
「早期発見って言葉」

母親にすい臓がんが見つかった。
でも、あっけないほどすぐに退院した。

「あっけない?」
「見舞いに行こうとしたら・・・」

すぐに退院した。
手術後、数日で。

「ほら、イメージでは・・・」

少なくとも1週間以上は掛かると思っていた。
切らない手術でも数日、入院した経験があったからだ。

「確かにそうよね・・・」
「で、出てきた言葉が・・・」

その“早期発見”だった。
体調不良で受診したら“たまたま見つかった”らしい。

「その言葉を素直に受け取ったんだよな」
「・・・そうなるよね」

でも、今、考えるとおかしなことばかりだ。
そもそも体調不良で早期発見なんてことはない。

「知ってた?」
「すい臓って“暗黒の臓器”って言われてること」

症状が出た時にはがんが進行している。
だから、早期発見なんてありえない。

(No.1324-2へ続く)

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[No.1323-2]桜咲く

No.1323-2

「皮肉なものねw」
「たしかにねw」

最後の最後で桜が気になった。
理由は分からないけど。

「来年は・・・お互い違う場所で・・・か」
「・・・そうだね」

お互い別々の大学に進むことになった。
だから、来年の今頃はそれぞれの場所で桜を見ることになる。

「もう少し桜を楽しんでいかない?」
「賛成!」

数分で通り過ぎる道を時間を掛けて歩く。
時々、立ち止まりながら。

「来週には散りそうね」
「うん」

その頃にはお互い新天地に居る。
そして新生活が始まる。

「もしかしてお祝いしてくれた?」
「・・・桜が?ないないw」

むしろ、気付かずにいた私たちに何かを教えてくれた。

「桜・・・咲く・・・か・・・」
J1323
(No.1323完)
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[No.1323-1]桜咲く

No.1323-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あっ!」
「あっ!」

友人とほぼ同時に声が出た。
申し合わせたわけじゃないのに。

「うそでしょ!?」
「・・・だよね」

朝、学校に来た時には咲いていなかった。
でも、帰りなったら八分くらい咲いている。

「今日は暖かかったけど」
「こんな短時間で咲くの?桜って・・・」

私も同じ疑問を持った。
確かに朝は咲いていなかった。

「咲くみたい・・・だね」
「こんなこと初めてかも」

今年で3年目だ。
こうして桜の開花を目にするのは。

「今まで気にしてなかっただけ?」
「それもあるわね」

桜は見慣れている。
それに咲こうが散ろうが私たちには関係なかった。

(No.1323-2へ続く)

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[No.1322-2]時を知る

No.1322-2

「何だか分かったような」
「分からないような・・・」

毎朝、同じ時間の同じ車両で出会う人が居る。
原理はそれと同じだ。

「その人も同じ時間に?」
「そうよ、毎日ではないけど」

さすがに電車のようにはいかない。
お互い、自転車だから。

「向こうも出掛ける時間はいつも同じみたい」
「だから、決まった時間に出会うわけね?」

少なくとも5年は続いている。
決まった時間にすれ違う行為が。

「だから、その人とすれ違えば」
「いつもの通りだということか・・・」

言い換えればすれ違わないと遅れている。
多分、わたしの方が。

「ある意味便利ねw」
「そうね、時計代わりにして申し訳ないけどw」

そう言うと同僚がクスクス笑い始めた。

「なによ?」
「いや・・・今は11時半頃かなってw」

何の脈略もなく、時間を言い当てた。
J1322
(No.1322完)
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[No.1322-1]時を知る

No.1322-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・いつも通りね」

家を出るのが少し遅れた。
でも、いつものと同じ時間に会社に着くだろう。

「何で分かるの?」

同僚に朝の出来事を話した。
遅れてもいつも通り着くであろう根拠を。

「簡単よ」
「答えは・・・すれ違う人」

やや困惑した顔をしている。
でも、すぐに閃いたような顔に変わった。

「すれ違う人が声を掛けてくれるんだ!」
「な、わけないでしょw」

確かにほぼ毎日、同じ人にすれ違う。
だからと言って、知り合いではない。

「違うんだ・・・」
「そんなに自信あったの!?」

ただ、考えようによっては当たっている。
声を掛けてはくれないが。

「当たってる?」
「そうよ」

その人の存在自体が重要なんだ。

(No.1322-2へ続く)

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[No.1321-2]きれいな夕焼け

No.1321-2

「ワクワク?」
「そう!ワクワク!」

夕焼けは晴れ。
明日、晴れる。

「と、言われてるのは知ってるけど」
「実際そうなの?」

100%そうなのかは知らない。
でも、雨が降った記憶はない。

「自然に口から出ちゃうのよね」
「“明日は晴れだって”」

だから何だか嬉しくなる。
雨よりは晴れの方がいい。

「たしかに」
「晴れなら出来ることも多いし」

だからワクワクする。
表現が正しいかどうかは別にしても。

「じゃあ、明日は晴れね?」
「あっ!そうだねw」

明日は何をしようか・・・。
ワクワクしてきた。

「私もw」
「・・・ほんと・・・きれいな夕焼けね」
J1321
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[No.1321-1]きれいな夕焼け

No.1321-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
学校帰り、目の前にきれいな夕焼けが広がる。

「綺麗だね!」
「ほんと息を呑むくらい・・・」

これぞ夕焼けと言わんばかりの茜色の空だ。
加えてまばらな雲が良いアクセントになっている。

「久しぶりに見たよね?」
「そうだね」

それもそのはずだ。
随分、陽が落ちるのが遅くなってきたからだ。

「あっ!そうか!」
「春が近付いているもんね」

部活の関係で帰るのが遅くなる。
最近まで帰り道は明るい月が出ていた。

「帰る時間は変わってないけど」
「季節は変わってきている」

表現に韻を踏んでみた。
我ながら良い表現だと思う。

「上手いこというねw」
「でしょ?」

これからしばらくは夕焼けをみる機会が増えるだろう。
ただそれだけなのに何だかワクワクする。

(No.1321-2へ続く)

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