[No.1312-2]認識
No.1312-2
「何となくわかってきた」
「それなら私も中一だと思う」
中学生になると大きく環境が変わった。
クラスのメンバーも変わり、思春期を迎えた。
「ただ記憶に残ってるだけじゃなく」
「これが歌なんだと、ハッキリ認識したの」
でも、それは当時思っていたわけではない。
振り返ると、そう思うのだ。
「なんか複雑w」
「だから分かってもらえない感覚なのw」
その歌を聞くと思い出が蘇ってくるのではない。
説明し難いその“感覚”が蘇ってくる。
「歌そのものが思い出」
「それ以外、何もない」
夜中にこっそり、音楽に耳を傾ける。
染み入るように心に響く。
「繰り返しになるけど」
「これが歌なんだと明確に認識した」
でも、この感覚はどうにも伝えにくい。
置き換える言葉もないし、完全に自己中心だからだ。
「私は少しは理解したわよ」
「ほんと?」
何だか嬉しい。
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