カテゴリー「(051)小説No.1276~1300」の22件の記事

[No.1286-1]角砂糖

No.1286-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「砂糖、入れないの?」
「あぁ・・・そうだな」

最近・・・いや、もう数十年も見ていない気がする。
今、そのことに気付いて手が止まってしまった。

「そう言えば砂糖って」
「これだよな?」

手に持ったスティックシュガーに目を配る。

「そうだけど」
「逆にそれ以外あるの?」

その疑問は最もだ。
アイスコーヒーならシロップだけど。

「ほら、角砂糖だよ」
「角砂糖?」

カフェに行こうが喫茶店に行こうが見たことがない。
その昔、砂糖と言えば角砂糖だったのに。

「確かに・・・」
「けど、そもそも家でも買ったことないよね?」

そう言われてまた気付く。
そうだ・・・家でも買ったことがない。

「存在自体を忘れてた」
「でも、よく気付いたわね?」

ほんと不思議だ。
でも、こう言うことはひょんなことから思い出すものだ。

(No.1286-2へ続く)

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[No.1285-2]昭和にプレイバック

No.1285-2

「スマホと言えば・・・」
「昭和の電話みた?」

昔は電話することをダイヤルを回すとも言う。
その意味がようやく分かった。

「回す?」
「何を?」

いまだに意味を知らない人が目の前にいた。
それはそれで驚きだ。

「ほらこれ見てよ」
「この丸い穴を押すの?」

話題を変えた方がいいだろう。
話が長くなりそうだ。

「私達から見たら不便でも」
「当時は当時でそれが普通だったんだろうね」

もちろん当時の最新技術もあったはずだ。
それは今の私たちと同じ感覚だと思う。

「どの映像を見ても楽しそうね」
「人も街も・・・」

そう・・・人だけではなく、街も楽しそうだ。
音は聞こえなくても。

「そうね、雑然としてるんだけど」
「令和にはないよね?」

お世辞にもおしゃれとは言えない。
けど、活気に満ち溢れている。

「なんだかんだ言って・・・」
「大好きじゃん!昭和」
J1285
(No.1285完)
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[No.1285-1]昭和にプレイバック

No.1285-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
最近、動画でよく見かけるものがある。
ちょっとしたブームのようだ。

「確かに見掛けるわね」
「何が良いんだろうね?」

世の中的にもレトロブームのようだ。
純喫茶なるものも流行っているらしい。

「そうよね」
「私もあまり興味がない」

昔の街並みや生活ぶりを見ても不便なだけだ。
現金しか使えない時代なんて・・・。

「他にも突っ込みどころが沢山あるわよ」
「suicaなんてないからねw」

それどころか、改札に駅員さんがいる。
切符を切ったり、定期を確認したりしていると言う。

「もはやカオスw」
「だよねw」

時代が違うと言えばそれまでだ。
でも、ここまで違うと逆に清々しくもある。

「たださぁ・・・」
「なに?」

何度か見ていると良い意味で毒されてくる。
令和にはない温かみと言うか・・・。

「実は私も・・・」

単なる物珍しさではない。
スマホの画面越しに人の温かみが伝わってくる。

(No.1285-2へ続く)

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[No.1284-2]運動会の梨

No.1284-2

「変わった想い出だねw」
「ある意味そうだよな」

運動会そのものより、梨の印象が強い。
梨が入っている以外、何のエピソードもないのに。

「今も好きなの、梨?」
「もちろん!」

面倒だけど自分で皮をむいて食べる。
皮をむくこと自体は手慣れたものだ。

「へぇ~すごいじゃん!」
「そう難しくはないだろ?」

教わったわけではないけど、ようはあれだ。
門前の小僧・・・だ。

「だから、母親流かな」
「皮のむき方、芯の取り方」

もしかしたら味ではなく形の思い出かもしれない。
ひらがなの「く」に似た形だ。

「形ってw」
「だいたいそんな形になるんじゃない?」

確かにそうだと思う。
でも、芯をどれだけ取るか、その程度が違う。

「なにそれw」
「そういうことだよ」

完全に芯を取るのではない。
少し残して混じり合う食感と酸味を味わう。

「そこまで思い入れがあるんだね」
「そうだな」

でも、その思い出は運動会の中にある。
家族で食べる昼食を今でも思い出す。
J1284
(No.1284完)
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[No.1284-1]運動会の梨

No.1284-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
秋の気配を感じ始めた時、あることが頭をよぎる。

「地域によって違うけど」
「俺の所は・・・」

運動会と言えば秋だった。
秋と言えば運動会だった。

「逆にしただけじゃんw」
「で、あることって?」

運動会の思い出よりもその印象が強い。
自分でも理由は分からないが。

「梨だよ、梨」
「運動会、関係なくない?」

そう・・・一般的には全く関係がない。
ただ、俺の場合は違う。

「お弁当と言うか」
「ほら、昼食の時」

親と食べる昼食に梨が入っている。
運動会には必ずと言っても良いほどに。

「好きだったの?」
「好きだったよ」

でも、梨だけに限った話ではない。
果物は全般的に好きだ、今でも。

「じゃあ、何で梨なの?」
「そりゃ、秋だからだろ?」

答えのようで答えになっていない。
秋と言えばどちらかと言えば、世間的には柿だろう。

「でも、梨なんだよなw」

だから、秋の気配と梨が簡単に結びついてしまう。

(No.1284-2へ続く)

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ホタル通信 No.582

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.546 やるじゃん!
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

実話度100%にしたかったのですが、ラストのセリフが事実だったのか、創作だったのかハッキリと覚えていません。

ほぼ100%の小説で僕と彼女の行動は小説の通りで、僕はと言えば彼女のお伴でした。だからと言って嫌だったわけではなく、むしろそんな自分を楽しんでいたくらいです。もう少し舞台となった場所を書けば、そこは名古屋市のある会場でした。私が大阪在住なので、いわゆる遠征に行ったわけです。まぁ、私はあくまでもお伴ですがw

私は周辺で時間をつぶしながらライブの終わりの時間を待っていたわけです。そろそろ終わりかな?と思う少し前に戻ったわけですが、そこで会場に入れなかったファンの方々が盛り上がっていました。
小説にも書きましたが、もし自分がそのアーティストだとしたら、こんな嬉しいことはないですね。そこまでして応援してくれる人に対して黙っているわけにはいられません。もしかしたら、そんな思いが“そして最後に・・・会場の外、ありがとう!!”というフレーズを生み出したかもしれませんが、本当に会場で言っていたような、そんな記憶もあるんですよね。

目の当たりにした光景、経験をもとにした小説なので筆が進みました。ただ、繰り返すようで恐縮ですが、例のフレーズが事実なのか創作なのか・・・それが気になっています。
Jt582
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[No.1283-2]ボス猫の心変わり

No.1283-2

「心境の変化でもあったのかな?」
「どうだろうね」

さすがに触れられる距離までとはいかなかった。
でも、もう一歩・・・という所までは縮んだ。

「それほど遠くに逃げなかったし」
「何なら振り向いて・・・」

私を待っているようだった。
普段は一目散に逃げてしまうのに。

「だからもう一度近付いてみたの」

さすがにそれ以上近付くことは許してくれなかった。
でも、やはりいつもとは違う感覚を覚えた。

「やっぱり、心変わりしたのかな?」
「そうね」

それほど顔を合わせる仲でもない。
それに特段、親切にした覚えもない。

「よく分からないけど」
「時間が解決したのかもしれないな」

人間社会でもそんなことがある。
良くも悪くも時間が解決してくれることが。

「それ、私たちのこと?」
「さぁ~どうだろうねw」

あのボス猫もきっとそうだ。
時間が私たちの距離を縮めてくれたんだ。
J1283
(No.1283完)
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[No.1283-1]ボス猫の心変わり

No.1283-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ん?」

今日はやけに距離が近い。
それにいつもより逃げるスピードも遅く感じた。

「ボス猫?」
「私がそう呼んでるだけ」

住んでる集合住宅に一匹の野良猫が棲みついている。
野良猫と言えども我々が思うそれとは違う。

「いわゆる日本猫じゃなくて」
「なんて言えばいいのかな」

飼っていたとすればまさしく血統書付きの猫だ。
毛並みも優雅で、お嬢様の気品がある。

「オスかもしれないけどw」
「あははw」

なのにボス猫と呼んでいる。
そんな風格を持ち合わせているからだ。

「それが今日・・・」

駐輪場でバッタリと出会った。
でも・・・。

「逃げないんだよね」
「距離にして2メートルくらいだったのに」

警戒心が強く、近付くことさえ許してくれなかった
それなのにいきなり距離が縮まった。

(No.1283-2へ続く)

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[No.1282-2]空が地で地が空で

No.1282-2

「幻想的と言うより・・・」
「厳かな雰囲気を感じる」

まるで天と地が入れ替わったようだ。
それこそ神の力で。

「まぁ、そんな気にもなるわね」
「でしょ?」

神の怒りに触れ右往左往する人間たち。
私達は今、その中に居る。

「・・・詩人を超えた?」
「もちろんw」

不思議と夕日はそんなことを思わせてくれる。
見慣れているはずなのに。

「ずっと見てられるわね」
「うん、でも・・・」

もう少しすれば夕日は水平線に隠れてしまう。
だからこうしていられる時間は限られる。

「ねぇ、こうしない?」
「なに?」

友人が見慣れない格好をしている。

「こうしたら本当に天地が逆になるよ!」
「それって・・・」

天橋立の股覗きのごとく。
J1282
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[No.1282-1]空が地で地が空で

No.1282-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
陽が落ちるのが早くなってきた。
その関係で空は様々な表情を見せる。

「何なのその詩人風のセリフはw」
「詩人風とは失礼ね」

自分では詩人だと思っている。
もちろん、自称だが。

「まぁ、それはそれで」
「表情がどうしたって?」

少し前まではこの時間でも明るかった。
でも今は、家に着くころには陽が落ちている。

「ちょうど夕日が見えるよね」
「・・・なんだそれだけ?」

友人と言え、時々殴りたくなる。
本気半分、冗談半分だが。

「こわっw」
「怖くもなるでしょ!?」

ただ、そんなことも吹き飛ぶ光景が広がっている。
今、目の前に。

「すごくない?」
「確かにあまり見かけない空ね」

凸凹した薄めの雲が夕日に照らされている。
まるでそこに地面があるようだ。

(No.1282-2へ続く)

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