[No.1275-2]レンズ越しの青空
No.1275-2
「今年も来たわよ!」
「それ、さっきも言ったw」
彼女も「それ2回目」と笑ってるだろう。
そんな雰囲気の風が通り過ぎた。
「私達、今年でとうとう大台に乗ったわよ」
「あなたはいつまでも・・・歳のままね」
あれからもう・・・年が過ぎようとしている。
良くも悪くも彼女の時間だけが止まったままだ。
「まずは掃除ね!」
「そうだね!」
雑草を抜き、抜いた跡の土をならす。
砂利も見た目よく整える。
「次はお花と・・・」
「お供え物はここでいい?」
ビールを開ける。
“ブシュ!”という音が快く響いた。
「じゃぁ、恒例の記念撮影と行きましょうか!」
「了解!」
まず、友人が墓石の横に立つ。
「これでどう?」
「ん?・・・どうしたの」
墓石の後ろに雲一つない青空がレンズ越しに見える。
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