[No.1250-2]あの時の空
No.1250-2
「よほど特徴的な空だったのね」
「いいや、普通の空だったと思う」
むしろ特徴は何もない。
けど、わずかな違いを見分けたんだと思う。
「何十回、何百回と空を見てるけど」
「昨日は本当にあの時と同じ空だった」
自分でもよく分からない話をしていると思う。
上手く伝えることができない。
「確かによく分からない話だけど」
「もどかしい気持ちは理解できるよ」
体験した本人しか分からない感覚だ。
蓋を開ければ全然大したことがない話だとは思うが。
「で、当時の心境を思い出した?」
「まぁな」
今はどうだろうか・・・。
色々な感情や想いを捨ててきたように思える。
「大袈裟ねw」
「笑うなよw」
良くも悪くも、成長した証だ。
捨てた分、何かを拾ったのも事実だ。
「拾ったものに」
「私も含まれてる?」
彼女から予想外のセリフが飛び出してきた。
「その表現、何だよw」
「へへぇ~w」
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