カテゴリー「(047)小説No.1151~1175」の51件の記事

[No.1179-2]カモとゴミ

No.1179-2

「カモ達が楽しそうだから対照的ね」
「ほんと、そうだよ!」

彼らに表情があるわけではない。
けど、何となくはしゃいでいるように見える。

「ゴミ拾いしたい気分w」
「私もw」

この言葉にうそはない。
ゴミ拾いは嫌いじゃない。

「とは言え、そう簡単に拾えそうにないよな」
「・・・それは言えてる」

目下の川であるが、数メートル下にある。
それも急な斜面を降りなきゃならない。

「その前に、目の前のフェンスを越えなきゃ!」
「確かに・・・」

けど、簡単には越えれそうにない。
越えた先は、急斜面ということもある。

「くっそー!」

だからこそ、ゴミであふれるのかもしれない。

「カモに申し訳ないな」
「これ以上、ゴミが増えなきゃいいね」

少なくともそうでありたい。

「あーゴミ拾いしたい!」
「じゃあ、私の部屋でも掃除する?」

(No.1179完)
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[No.1175-2]100円の重み

No.1175-2

「今じゃ、100円以上もするコーヒーをさ」
「・・・なんだろうね、この気持ち」

それどころかもっと高価な物だって買える歳になった。
100円なんて息をするより簡単に消費してしまう。

「昔を思うと100円ってやっぱり重いよ」
「そうかもしれないね」

何気なく買った缶コーヒーが思い出させてくれた。
とても大事なことを。

「缶コーヒーに感謝しなきゃね!」
「ほんとそう」

お茶を買っていたらどうだったんだろうか?
どうでもいいことだが。

「あははw」
「違う展開が待ってたかもね!

とにかく、思いがけない日曜日の午後になった。

「あっ!忘れた」
「はい、これ」

この缶コーヒーは彼女のために買った。
手渡すまでに随分、時間が掛かってしまったが。

「私に?」
「好きだろ?この銘柄」

それにまだ肌寒い。

「温かいうちにどうぞ」
「・・・ほんと温かいね」

(No.1175完)
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[No.1175-1]100円の重み

No.1175-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
自販機で何気なく飲み物を買う。
出てきた缶コーヒーをまじまじと見つめた。

「・・・どうかした?」
「間違ったの?」

そうではない。
あることをフッと思い出した。

「子供の頃って」
「100円って大金だったよな」

でも今は、いとも簡単に消費してしまう。
缶コーヒーを買ったように。

「いきなりどうしちゃったのよ?!」

自分でもよく分からない。
急にノスタルジックになったみたいだ。

「なんでだろうね」

今も昔の100円の価値はそれほど変わらない。
でも、昔は100円あれば色々と買えた。

「駄菓子屋に行けば結構数を買えたな」
「ひとつ5円のお菓子もあったし」

だから大金のように思えるのかもしれない。
それに・・・。

「それに?」
「そんなに頻繁に貰えないだろ?お小遣い」

時々貰えた100円を握りしめて駄菓子屋に向かう。
それがどれだけ嬉しかったか。

(No.1175-2へ続く)

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[No.1174-2]私の仮説

No.1174-2

「未来?」
「そう!すごく科学技術が発達した夢とか」

だから、その仮説に行き着いた。

「で、その仮説とは?」
「夢は前世の記憶なの」

言い放った後の友人の表情が微妙だ。
呆れているような、感心しているような・・・。

「・・・なくもないわね」
「えっ!?」

意外な反応にこっちが驚いた。
この手の話には否定的なはずだが・・・。

「否定・・・しないの?」
「別に・・・だって仮説・・・可能性のひとつでしょ?」

友人の言葉に妙に納得してしまう。
自分が言い始めたことなのに。

「確かに、前世があって・・・」
「その記憶が夢となって・・・なくもないわよ」

オカルトな話ではなく、結構、真面目な仮説だ。
前世だって、DNAの記憶と言ってもいい。

「おっ!何だか本格的になってきたわね」
「最初は・・・興味なかったくせに!」

前世の記憶だから未来の夢を見ることができない。
自分で言うのも何だか、しっくりくる。

「大発見かもしれないよ!」
「学会に発表する?」

学会は冗談としても、自分なりに研究するのもおもしろい。
今日の夜から、どんな夢を見たか記録することにしよう。

「で、昨日の夢はどうだった?」
「好きな夢を自由に見られる・・・そんな未来の夢を見たよ」

(No.1174完)
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[No.1174-1]私の仮説

No.1174-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
ある仮説を立ててみた。
長年、疑問に思っていたアレについて。

「何なのよ、アレって?」
「聞きたい?」

友人が興味を示してくる。
さすが、友人。

「いやいや!さすが、じゃなくて・・・」
「無理にでも話すつもりだったんでしょ?」

もう一度、言おう。
さすが、友人。

「かもね!」
「かもね!じゃないわよ・・・で?」

話を戻すと、夢についてある仮説を立てた。
夢は大概、支離滅裂な展開が多い。

「そりゃ・・・夢だからね」
「でもさぁ、不思議に思わない?」

例えば、海外に居る夢を見ることがある。
まぁ、絶対そこが海外ときまったわけじゃないけど。

「まぁ、たまにあるよね」
「でしょ?行ったことがないのに」

行ったことがない場所、全く知らない人・・・。
どうしてそれが夢に出るのだろうか?

「それは・・・潜在意識と言うか」
「テレビで見た風景が夢に」

確かにそれは否定できない。
でも、見慣れた日常の夢を見ることは決して多くない。

「もし、潜在意識なら見慣れた景色こそ・・・」
「・・・頻繁に出てきてもよさそうでしょ?」

それに未来の夢を見ることがない。
少なくとも私は。

(No.1174-2へ続く)

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[No.1173-2]漫画の方じゃなくて

No.1173-2

「ただ、週刊の少年誌に連載してたって」
「それ・・・かなり凄いことじゃないの!」

言われてみればそうだ。
漫画家としてデビューするだけでも難しい世界だ。

「けど、驚いたのはその先なんだよ」
「えっ・・・まだなにかあるの?!」

その漫画家の代表作を調べていた時だった。

「架空の町が舞台の漫画があったんだけど」
「この展開からすると・・・もしかして」

そう、その町は地元が舞台となっていた。

「どうして分かったの?」
「漫画的には“背景”と言った方がいいのかな?」

そこには見慣れた風景が描かれていた。
私鉄の最寄り駅やよく遊んだ公園が、そこに。

「家の近くに大きな橋が架かってるんだけど」
「その河原なんかも」

知らない人が見ればただの駅や公園だ。
河原なんて、どこでもそれほど大差ない。

「めちゃくちゃ興奮したよ!」
「そりゃそうよね!」

興奮すると共に、涙が溢れ出てきた。
単なる懐かしさだけじゃない。

「私も・・・見てみたい!」
「漫画の方じゃなくて」

(No.1173完)
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[No.1173-1]漫画の方じゃなくて

No.1173-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
卒業してから地元とは疎遠になった。
別に地元が嫌いだったわけじゃない。

「どうして?」
「単純なことさ」

遠い場所で仕事を始めることになったからだ。
とは言え、国内だけど。

「確か・・・北海道だったわね?」

それもあってそう頻繁には帰ってこれなかった。

「それはそうね」
「だから、時々、地元が恋しくなって」

ネットでローカルな話題を探していた。
今の時代・・・便利になったものだ。

「ちょっとした散策もできるしなw」
「だね!」

そんな時、ある情報を知った。
どうやら、地元出身の漫画家がいると。

「漫画家!?」
「すごいじゃん!」

僕もかなり驚いた。
ある意味、芸能人よりすごいことかもしれない。

「有名な人?」
「どうだろう・・・」

漫画の世界は広い。
知らない“有名な人”なんて山ほど居る。

(No.1173-2へ続く)

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[No.1172-2]そこに手すりがあるから

No.1172-2

「とにかく!」
「分かったわよ、かたぶつなんだから」

その言葉の使い方を間違っている。
それに普通は立場が逆だ。

「逆?どういう意味?」
「僕が滑って、君に怒られるのが普通だろ?」

これが本来の姿だ。
真面目に言うことでもないが。

「それは偏見よ!」
「女子だって・・・・」

もはや偏見なのか何なのか分からなくなってきた。
ただ、繰り返すようだけど、危ない。

「せめて、やる前には声を掛けてくれよ」
「サポートするから」

サポート?・・・自分で言っておきながら恥ずかしくなる。

「ほんと!?」
「助かるぅ!」

“勢いづかせてどうする!”・・・と自分を責めたい。
でも、その方がケガされるよりマシだ。

「・・・ったく、頼むぞ」
「了解!」

今後、似たようなてすりを見つけたら要注意だ。
先手を打つことも必要だろう。

「じゃぁ、理解してもらえたということで・・・」

何だか嫌な予感がする。

「今度は、にけつして滑らない?」

いや、確かに、子供の頃、してたけど!

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[No.1172-1]そこに手すりがあるから

No.1172-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ちょっと見てて!」

突然、そう言うと目の前の階段を颯爽と滑っていった。
“危ない!”と声を掛ける間もなく。

「どう?見事だった?」
「どうじゃないよ・・・」

階段の脇に幅が15cmほどの手すりがあった。
彼女はそれを小脇に抱えるように滑って行った。

「小脇に抱えるなんてw」
「じゃあ、どう表現すればいいんだよ?」

適切な言葉がないとはこの事だ。

「そうね・・・やっぱり小脇にかな?」
「だろ?」

僕もやったことはある。
けど、子供の頃の話だ。

「もう、大人なんだから・・・」

見ているこっちが恥ずかしくなる。
それに、そもそも危険だ。

「危険?学校よりはマシよ」
「小学校の時なんて・・・」

いつしか、危険自慢になった。
小学校の階段の方が“急”だったと。

「そうかもしれないけど」
「もうやめろよ」

本当にケガでもされたら大変だ。

「仕方ないでしょ?」
「そこにあるんだから」

山があるから登る・・・まるでそんなニュアンスだ。

(No.1172-2へ続く)

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[No.1171-2]会う老人

No.1171-2

「でも、どうしてこの話題を?」
「なんかさぁ・・・」

実は明確な理由はない。
けど、何となく人に話したくなった。

「自分の未来を重ね合わせてる?」
「それとも・・・父親とか?」

多分、どちらも正解だと思う。
老人から何かを感じ取っているのは間違いない。

「男ってそんなとこあるよね?」
「そ、そうかな・・・」

だけど、決して暗い話ではない。
むしろ、明るい話だ。

「明るい?」
「あぁ、なんか元気が出る」

別に足取りが力強いからではない。
その老人からにじみ出る何かを感じている。

「人生・・・そのものとか?」
「そうかもな」

仕事帰りの疲れた体に活力が戻ってくる。
そんな気がしている。

「飲みに行くよりいいんじゃない?」
「・・・だなw」

今日も出会えるだろうか?
その老人に。

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