カテゴリー「(045)小説No.1101~1125」の48件の記事

[No.1125-2]不思議の原点

No.1125-2

「何なのこの話?」
「間違いなく記憶はあるんだよね」

でも、ホールはなかったはずだ。
繰り返しになるが。

「私もそう思う・・・ホールはなかった」
「知らなかっただけかもしれないけど」

一体、この記憶はどこから来たのだろうか・・・。

「さっき、記憶が交錯してる・・・って言ったよね?」
「もしかしてリアルな夢とか?」

確かにその可能性がある。
現実と区別がつかないほどリアルな夢を見る時がある。

「でも・・・夢にしては普通過ぎて」
「普通?」

支離滅裂なのが夢だ。
それが一切なく、現実世界と何ら変わりがない。

「それを夢とはとても・・・」
「う~ん・・・」

だからいつまでたっても答えが見つからない。
だから余計に気になる。

「じゃあ、行ってみる?」
「まさか、学校に!?」

悪くない提案だ。
でも、どうやって・・・。

「簡単に入れないでしょ?卒業生でも」
「確か・・・来週、アレがあるよね?」

なるほど・・・肝心なことを忘れていた。
不思議の原点とも言える文化祭があることを。

(No.1125完)
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[No.1125-1]不思議の原点

No.1125-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
今でも不思議に思っていることがある。

「あのさぁ、覚えてる?」
「なによ、唐突に・・・」

高校生の時、音楽鑑賞部に在籍していた。
文字通り、弾くのではなく、聴くだけの部活だった。

「それは知ってる」
「私も入ろうかな?って考えてたから」

普段は教室で音楽を聴いていた。
でも、文化祭のときだけは違った。

「ホールというか、大学の教室のような場所で」

生徒が座るエリアが階段状になっているアレだ。

「ちょ、ちょっと待って!」
「うちの学校に、そんな場所あったっけ?」

そう・・・不思議に思っているところはそこだ。
音楽を聴いている記憶はあるけどホールの記憶はない。

「えっ・・・どういうこと?」
「ややこしくてごめん・・・」

そこで聞いた曲名もアーティストも覚えている。
場所も覚えている。

「ますます分かんない!」
「私もw」

話を戻すと、通っていた学校にホールらしきものはない。
でも、文化祭の時、そこで音楽を聴いた記憶がある。

「やだぁ・・・もしかして怖い話?」
「そんなんじゃない」

記憶が交錯している・・・そんな感じだ。

(No.1125-2へ続く)

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[No.1124-2]セミの夢

No.1124-2

「夢の中?ついにそこまで来たのね!」
「それ、褒めてるのw」

今年は夢に出てきた。
それでもやっぱり、セミの足取りは重かった。

「夢でも?」
「うん、息も絶え絶えって感じで」

それは去年も一昨年もそうだった。
現実世界において。

「なんだかんだ言って気にしてるのね?」
「そう言うつもりはないんだけどね」

とは言え、夢にまで出てきてしまった。

「セミに好かれてるわね、随分w」
「それは否定しないw」

もしかしたら明日にでも目の前に現れるかもしれない。
いつも通り、壁にくっついて・・・。

「たかがセミだけど切ない気持ちになるのよ」
「分かってるわよ」

まさに命の火が消えようとしている瞬間に立ち会う。
でも、何も人前で消える必要はない。

「せめて、土にかえしてあげたくて」
「・・・だね」

今年は現れるのだろうか?
どちらにせよ、精一杯、夏を生きればいい。

(No.1124完)
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[No.1124-1]セミの夢

No.1124-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「今年はどうなの?」
「どうって・・・なにが?」

友人が唐突に意味不明な質問をしてきた。
時々、こんな質問をしてくる。

「何がじゃないわよ」
「夏と言えばアレでしょ!?」

夏・・・その一言でピンときた。
夏と言えばアレしかないだろう。

「もしかして、セミ?」
「もちろん!」

なるほど、そう言うことか。
それなら話は早い。

「今年はまだだよ」
「正確に言えば・・・」

現実世界では“まだ”だった。

「何よ、その現実世界って?」
「言葉通りよ」

ここ数年、セミとちょっとした出会いがある。
ただ、出会いと言うより、別れの意味合いが多いが。

「まだ、目の前には現れてないけど」
「夢の中で出てきたわ」

ベランダの植木鉢にセミが居た。
それが土の上をゆっくり歩いていた。

(No.1124-2へ続く)

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[No.1123-2]私の流儀

No.1123-2

「だから、みぞれ味なんだ」
「うん、全く同じ味じゃないけどね」

シンプルな味で育ったせいで、今もみぞれを選んでしまう。

「もちろん、みぞれが無かったら他を選ぶわよ」

さっきも言った通り、ある方が珍しい。
何となく若者向けではないように感じるからだ。

「昔を懐かしんでいるのかな、私?」
「かもね」

当時、夏になると毎日食べていた。

「私は食べるだけで作ったことはなかったの」
「だから・・・」

毎日、母が用意してくれていたことになる。
当時はそんなことを考えたこともなかった。

「あるのが当たり前・・・そんな感じだったね」
「そんなもんよ、子供の頃なんて」

決して高級な味じゃなかった。
むしろ、チープな味と言っていい。

「でも・・・愛情がこもってたな」
「そりゃそうでしょ」

こうやってみぞれ味のカキ氷を頬張る度に思い出してしまう。
そして、“ありがとう”を言えなかったことも。

「別に遅くないじゃん!」
「今からでも」

そうだ、今年は墓前の前でアイスのお礼をしよう。
喜んでくれるだろうか、今更だけど。

「待っててね!お母さん」

(No.1123完)
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[No.1123-1]私の流儀

No.1123-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「イチゴじゃなくていいの?」
「うん、私はこれ」

数あるテイストから、ひとつを選んだ。
この味があるのは珍しい方だろう。

「みぞれ味・・・」
「私は食べたことないけどね」

カキ氷の定番はイチゴだと思う。
続いて、メロン・・・その次からは好みが分かれる。

「カキ氷に白い蜜を掛けてもばえないじゃん!」
「別にばえる必要なんかないし」

見た目より味だ。
でも、イチゴやメロンが嫌いなわけじゃない。

「ならどうして?」
「小さい頃ね・・・」

母親が手作りのアイスを作ってくれた。
手作りといっても、砂糖水を凍らせただけだったが。

「市販のアイスを食べた後に」
「容器を再利用して」

さすがに市販のカキ氷のアイスのようには行かなかった。

「甘い大きな氷の塊って感じだった」
「・・・硬そうね」

実際、硬かった。
それをスプーンでほじりながら食べていた。

「まず、真ん中を掘って穴を開けて」
「あなたなりの流儀ね」

そして、穴の周りを削って食べ進めて行く。
友人が言う通り、これが私の流儀だった。

(No.1123-2へ続く)

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[No.1122-2]期待に応える男

No.1122-2

「まぁ・・・そういわれたらそうよね」
「じゃなくて、フォローしてよ・・・」

周りを見れば突然の雨に慌ただしく人が動いている。
傘なしでやり過ごせる雨量ではない。

「罪悪感を感じるよ・・・」
「あなたのせいじゃないわよ」

分かってはいる。
でも、そう簡単にも割り切れない。

「あの人・・・怒ってるだろうな」
「考えすぎよ」

コンビニの軒下で雨宿りしている人が居る。
表情は見えないが仕草で・・・分かる。

「でも、恵みの雨じゃん!」
「最近、晴れが続いて水不足なんだし」

そう言われると気持ちが楽になる。
確かに誰かの役に立っているのかもしれない。

「でしょ!」
「雨を待ってる人達だっているんだから」

なるほど・・・決して雨男は迷惑男ではないってわけか。
なら、もっと降ればいい。

「そうそう!」
「今日から“期待に応える男”に改名したら」

(No.1122完)
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[No.1122-1]期待に応える男

No.1122-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
夏の天気は変わりやすい。
それは十分過ぎるほど分かっている。

「浮かない顔ね?」
「そりゃそうだろ」

今朝、家を出た途端、雨が降り出してきた。
確かに曇り空ではあったが・・・。

「もしかして・・・この雨のせい?」
「そうだよ」

降水確率は10%だった。
圧倒的に降らない確率の方が・・・高い。

「自覚してても嫌になるよ」
「自分の雨男ぶりには」

折りたたみの傘は常備してある。
だから、雨に打たれることはない。

「それならいいじゃん!」
「良くないよ!」

今もこうして傘越しの会話になっている。
それに雨の激しさも増している。

「恐るべし・・・雨男ねw」
「恐るべし!じゃないよ・・・ったく」

雨男、雨女はタイミングが最悪の人のことだ。
見事なくらい、一歩踏み出せば雨が落ちてくる。

(No.1122-2へ続く)

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[No.1121-2]後ろ通ります

No.1121-2

「将来が楽しみな子ね」
「言えてる」

子供らしくないと言えばそこまでだ。
でも、それを上回る清清しさを感じる。

「なんか可愛いね!」
「ほんと!あんな子が欲しいよ」

今度は愚痴から妄想に変わって行きそうだ。

「あっ・・・」
「どうしたの?急に」

ひとつ大事なことを忘れていた。
立派な大人のくせに。

「ありがとう!って言ってない」
「・・・ほんだ」

予期せぬ出来事だけにとっさに言葉が出なかった。
出たのは驚きの“えっ!”だけだった。

「さすがに・・・もう居ないわね」

追い抜くスピードは子供そのものだった。
元気よく追い抜いて行った。

「じゃ、心の中で」
「うん、分かった」

私たちの声が届いてくれたら嬉しいな。

(No.1121完)
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[No.1121-1]後ろ通ります

No.1121-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「えっ!?」
「えっ!?」

ほぼ同時に、驚きの声をあげた。
もちろん理由は分かっている。

「親かと思った」
「私もよ」

友人と歩道を歩いていた時だ。
後ろから1台の自転車が私たちを追い抜いた。

「礼儀正しいと言うか・・・」
「そうよね」

追い抜く前に、背後から声が聞こえた。
“後ろ通ります”と。

「ベルで済ます人が多いもんね」
「そうそう!邪魔だよ!って感じで」

だから声を掛けられたことは一度もなかった。
でも、それくらいでは二人とも驚いたりはしない。

「親の教育がいいのかしら?」
「そう思うよね」

そう・・・追い越して行ったのは子供だった。
それも小学1年生くらい幼かった。

「大人でも言えないよね?」
「確かに」

さっき言ったようにベルで威圧してくる人が多い。
特に・・・は。

「後ろに目は付いてないってーの!」
「だよねw」

話題が賞賛から愚痴に変わりつつあった。

(No.1121-2へ続く)

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