カテゴリー「(044)小説No.1076~1100」の25件の記事

[No.1088-1]ひとり○○

No.1088-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、ひとりカラオケとか大丈夫?」
「・・・そうだな」

正直、行ったことがないから分からない。
大丈夫のような気もするが・・・。

「そもそもカラオケ自体、行かないし」
「私は全然、大丈夫よ」

人それぞれだと思う。
ひとりでも気にならない人も居る。

「俺はどちらかと言えば苦手な方かな」
「そう?そんな風には見えないけど」

でも、何をもって“ひとり”と言うのだろう。
極端な話、通勤だって皆ひとりだろう。

「そう言えばそうね」
「学生時代ならそうじゃないかもしれないけど」

会社に連れ立ってくる人はそういない。
いや、皆無と言っていいだろう。

「他にも色々あるだろう?」
「ひとりで行動することなんて」

彼女が言いたいことは分かっている。
本来、ひとりでは行かない所・・・それが定義だと。

「それに今の時代、ひとりでも不自然じゃないだろ?」

ひとり○○も、十分過ぎるくらい市民権を得ている。

(No.1088-2へ続く)

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[No.1087-2]木の匂い

No.1087-2

「匂い・・・どんな?」
「木の匂いよ」

とは言え、ヒノキのような高級な匂いではない。
どこか湿っぽくもある匂いだ。

「木の匂いね~」
「まぁ、解体してるんだからするよね」

それは間違いない。
木造の古びた家だからだ。

「どこかでかいだ匂いなんだよね・・・どこかで」

それが思い出せないでいる。
明らかにかいだことがある匂いなのに。

「香水とか、芳香剤の匂いとか?」
「ううん、そんなんじゃない・・・」

人工物ではなく、もっと自然のような・・・。

「じゃあ、植物とか?」
「それも違うような気がする」

人工でもなく、自然でもない。
自分で八方塞の状況を作り出してしまった。

「仕方ないわね!」
「今日の帰り、付き合ってあげるわよ」

解体は始まったばかりだ。
まだ、匂いはするはずだ。

「ありがとう!助かる」
「何だか、お婆ちゃんの家に行くみたいね」

ん!?
S1087_20220113225701
(No.1087完)
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[No.1087-1]木の匂い

No.1087-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(・・・なんだろう?)

明らかに何かの記憶が呼び出されようとしている。

「・・・どうしたの?」
「考えごと?」

友人にそう言われて気付く。
確かに考えごとをしている。

「う、ううん・・・」
「えっ!なになに!?」

よからぬことを考えているのが手に取るように分かる。
どうせ、好きな人が出来た・・・の展開だろう。

「好きな人でもできたの!?」
「はいはい・・・」

せっかくのムードも台無しだ。

「ムード?」
「朝から何、意味不明なこと言ってるのよ」

通学途中に古ぼけた家があった。
やや荒れていたから住んでいる人はいなかったはずだ。

「家?」
「その家・・・解体中なんだよね」

特にこの家に思い入れはない。
理由は簡単だ、見ず知らずの人の家だからだ。

「・・・どういうこと?」
「家の前を通り過ぎたらさぁ・・・、」

何だか、記憶を揺さぶる匂いがしてきた。
でも、それが何だか分からずにいる。

(No.1087-2へ続く)

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[No.1086-2]西日

No.1086-2

「あはは!大袈裟な」
「単に昼寝しただけだろ?」

でも、せっかくの・・・。

「せっかくの休みだからこそ、ゆっくりすれば?」
「俺に気を遣わずにさ」

その言葉に嘘はない。
それどころか、嫌味の欠片も感じられない。

「ほんと、ごめん・・・」
「こうやって過ごす時間が大切なんだよ」

その一言に思わず頷いてしまった。

「一時停止してるから、続きから見ようよ」
「続き?・・・あっ!そうだった」

寝てしまう前に映画を見ていたことを思い出した。

「この映画、つまんないもんね」
「私が見よう!って言ったのに・・・」

それなのに、私が寝落ちしてどうするって感じだ。
無理やりつき合わせてしまったのに。

「そうか、なかなかシュールで好きだぞ?」

もちろん、私を気遣っての一言だ。
お世辞にも面白いとは言えない。

「続き見る?」
「嫌なら、寝ててもいいぞ?」

軽いジョークで返された。

「じゃあ、寝る!」
「どうぞどうぞ」

いつの間にかカーテンの隙間から西日は見えなくなっていた。
S1087
(No.1086完)
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[No.1086-1]西日

No.1086-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
物音で目が覚めた。

「・・・わぁー!もう夜!?」
「ごめん、ごめん、起こしちゃった?」

ウトウトし始めたのが午後3時ごろだったと思う。
その時はまだ外は明るかった。

「ごめん・・・寝過ごしたみたい」
「ううん、まだ4時だよ」

慌てて時計を確認する。
確かに、4時を少し回ったところだった。

「でも、部屋が真っ暗・・・」

言いながら気付いた。
暗いのは時間のせいではない。

「カーテン・・・閉めたんだ?」
「あぁ、西日が強かったからさ」

カーテンの隙間から漏れる光がそれを物語っている。

「明るいと寝にくいだろ?」
「う、うん・・・」

ここ数日の仕事疲れがどっと出てしまったようだ。
せっかく彼と休日を過ごしていたのに。

「起こしてくれればいいのに・・・」
「あまりにも気持ちよさそうに寝てたからさ」

あらためて言われると恥ずかしさが込みあがってくる。
マジマジと顔を見られていたかと思うと。

「でも・・・」
「気にしなくていいよ、全然」

そうは言っても何のための休日なのか。
自問自答したくなってきた。

(No.1086-2へ続く)

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[No.1085-2]怪獣じゃない!

No.1085-2

「これもそうなの?」
「ん?どれ?」

彼女が写真のひとつを指差す。
確かにそこにも怪獣が写っている。

「今までと違って笑ってなくない?」
「だよな?」

もう一度、それをよく確認した。

「・・・これ、怪獣のようで怪獣じゃないよ」
「今、思い出した・・・」

見た目は確かに怪獣だ。
と言うより、怪獣のルーツにあたるだろう。

「これ、恐竜だよ」
「ティラノサウルスだね」

怪獣が好きなだけに恐竜も好きだった。 
でも、比べると悪いが、怪獣のような派手さはない。

「これ、恐竜なのね」
「・・・だからなの?」

その通りだ。
加えて言うなら、僕が買ったのではない。

「これ、母が買ってきてくれたんだ」
「もちろん、僕は怪獣を頼んだんだけどね」

つまり、母が間違って買ってきた。

「・・・間違うよね?私も区別付かなかったし」
「でも、当時は母を責めちゃってさ・・・」

それが今でも心残りだ・・・ごめん、母さん。
S1085
(No.1085完)
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[No.1085-1]怪獣じゃない!

No.1085-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
それは苦い思い出のひとつだ。
その原因は僕にあるのだが・・・。

「色んな人形を持ってたのね」
「あぁ、ウルトラマンが好きだったからな」

正しくは、ウルトラマンよりも怪獣の方が好きだった。

「満面の笑みの写真ばかりね」
「だよな!」

子供の頃の写真を見ている。
いたる所に、怪獣が登場している。

「今も持ってたらお宝ものだよ」
「そんな感じがするね」

捨てた記憶はないのに、現存はしていない。
多分、親が処分したのだろう。

「これなんてプレミアものだよ、きっと」
「これゴジラね!これくらいなら私も分かるよ」

ゴジラも怪獣だ。
ウルトラマンのくくりではないが。

「そうそう!」
「こっちは、ゴジラをパックた怪獣だよ」

ある特徴以外はほぼ同じと言っていい。
二体並ぶとそれが明確に分かる。

「まぁ、そんなゆるい時代だったよ」
「だろうね」

価格も覚えている。
ひとつ、360円だった。

(No.1085-2へ続く)

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[No.1084-2]落ち葉

No.1084-2

「相変わらず、詩人と言うか・・・」
「甘ちゃんなんだから!」

もう一度、言っておきたい。
悪気はないと言うことを。

「だよな!」
「そうよ!」

男のくせにちょっとセンチメンタルが過ぎるかもしれない。
彼女はそこを言っているのだ。

「昔、何かあったんでしょ?」
「どうせあなたのことだから」

他人が聞けばヒヤヒヤする会話だと思う。
でも、慣れればそれほどでもない。

「よく分かるな?」
「何年、一緒にいると思ってるのよ!?」

悪態を付けども、僕のことをよく見てくれている。
だからこそ、僕がここに居れるわけだが。

「だよな!」
「そんなの見てないで行くわよ!」

強引に僕の腕を引っ張る。
その力の強いこと、強いこと・・・。

「そ、そんな強く引っ張るなよ・・・」
「いいの!」

彼女なりに、はしゃいでるのは確かだ。
落ち葉を見て思い出したのだろう・・・あの日のことを。
S1084
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[No.1084-1]落ち葉

No.1084-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
大袈裟に言えば自然が作り出した芸術作品だ。

「なに見てるの?」
「ん?あーごめんごめん」

目の前に落ち葉の塊が転々と存在している。
それが何とも不思議な光景を醸し出している。

「落ち葉だよ」
「落ち葉?見る価値あるの?」

誤解のないように言っておこう。
彼女に悪気はない・・・多少、口は悪いが。

「見てみなよ」
「だから、見てるって!」

繰り返すが、性格は決して悪くない。

「ほら、一塊になってるだろ?」
「風の力で」

一枚一枚があちこちに散らばっているのではない。
一塊になって集団を形成している。

「人間みたいだろ?」
「あちこちに集団があってさ!」

まるで納得していない顔をした彼女が見える。
ちょっと詩人過ぎただろうか・・・。

「まぁ、そう言われると・・・」
「そう見えなくもないね」

まるで木枯らしに吹かれて肩を寄せ合う人間のようだ。
僕にはそんな風にしか見えない。

(No.1084-2へ続く)

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[No.1083-2]ポスポス

No.1083-2

「近い?」
「遠くはないよ」

なぜ、そう呼ぶようになったのかは覚えていない。
気付けばそう呼ぶようになっていた。

「なんか、スカスカな感じがするのよね」
「ポスポスっていうくらいだから」

そう言われるとそんな気がしてくる。
見た目を擬音にしたような感じだ。

「擬音?」
「そう、擬音!」

でも、いつしかポスポスと呼ばなくなっていた。
まぁ、人には伝わらないだろうから。

「もうちょっとヒントちょうだい!」
「じゃぁ、大ヒント!昨日、食べたよ」

それでも候補の食材は山のようにある。
見つけるのは容易ではない。

「昨日・・・か」
「ん?」

何かを察したようだ。

「ポスポスでしょ?」
「・・・あれじゃないかな」

予想に反して一発で当てようとしている。

「確かに、ポスポスね」
「もう、ポスポスにしか見えなくなってきたよ」

僕はもう普通にマカロニって呼んでるけど。
S1083
(No.1083完)
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