カテゴリー「(043)小説No.1051~1075」の50件の記事

[No.1075-2]!でいなら走

No.1075-2

「ほら、でいなら走だよ!」
「はいはい・・・」

そろそろとどめを刺しておかないと身がもたない。
こんな茶番に付き合っていられない。

「それで・・・でいなら走が何だって?」
「どういう意味なんだろうな」

知ってるのに、わざとそう言ってくる。
言葉の使い方は間違っているが“確信犯”だ。

「さぁ~なんだろうね?」

こうやってボケるのも何回目だろうか?
演技も板についてきた。

「で・い・な・ら・走・・・」
「・・・なんだ!逆か!」

お決まりの茶番の後半がスタートした。
終わりが見えてきた。

「それ、“走らないで”だよね?」
「いやぁ~気付かなかったよ」

ここまで来ると主演男優賞でもあげたくなる。

「これ下から読むんだね!」

まぁ、これはこれで楽しんでるんだけどね。
S1075
(No.1075完)
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[No.1075-1]!でいなら走

No.1075-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
多分、言うだろう・・・。

いや、絶対に言うに違いない。

「でいなら走!」
「ビックリマークの位置は違うけどね」

ほら・・・言った。
もう何十回もこれを聞かされた。

「あっ、そう・・・」
「何だよ、反応が薄いな!」

どうして男子って、こうも子供なんだろう・・・。
何度も何度も同じことを繰り返してくる。

「ハァ!?これで何回目よ!?」
「耳にタコどころか、イカが出来ちゃうよ!」

わざと意味不明な言葉で返した。
これくらいが丁度良い。

「おっ!なるほどね~」

会話が続くから逆にたちが悪い。
もう、この話は終わりにしたい。

「それで、でいなら走のことなんだけど」
「まだ、続けるの・・・」

エスカレーターに乗るといつもこうだ。
茶番の幕が上がる。

(No.1075-2へ続く)

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[No.1074-2]早く言ってよ!

No.1074-2

「じゃあ・・・特徴を言ってみてよ」
「うん!」

それは赤い花だ。

「けんかを売ってるわけじゃないよね?」
「も、もちろん・・・」

花びらはとてもきゃしゃな感じがある。
ひげのようなものも見える。

「わざと難しくしてない?」
「ううん!全然!」

例えは下手だが、見たままを言っているつもりだ。
花びらの周りにひげのような触手のような・・・。

「う~ん・・・」
「そんなに花は詳しくないからね」

友人が考え込んでいる。
確かに、そんな感じの花は世の中に沢山ありそうだ。

「なんか・・こう・・・引っ掛かるものはあるけど」

さすが、博学の友人だ。
つたない説明でも、答えに寄せてきてくれる。

「う~ん・・・ここまで出掛かってるんだけど!」
「頑張って!」

いつの間にか、応援する側になっていた。
元はといえば、私から持ちかけた話なのに。

「頭の中に映像は浮かんでるんだけどな」
「その花って、触るとかぶれるみたいだよ」

友人の目がみるみる、つり上がっていくのが分かる。

「それを早く言いなさいよぉ!」
S1074
(No.1074完)
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[No.1074-1]早く言ってよ!

No.1074-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「わぁー久しぶりに見た!」

それはニュース番組の一場面に居た。

「居たって・・・人なの?」
「ごめん、ごめん、人じゃなくて」

知り合いがニュースの一場面に出たわけではない。
居たのは、ある植物だった。

「紛らわしいぃ!」
「ほんと、紛らわしいぃ!」

繰り返されてしまった。
よほど、気分を害してしまったらしい。

「だから、ごめん!ごめんってばぁ~」

甘い声で謝ってみた。

「あのね!・・・全くもぉ・・・」

どうやら早々に許してもらえそうだ。

「じゃあ、それは花なの?」
「よくぞ聞いてくれました!」

最近、その花を見掛けなくなった。
自分が気にしていないだけかもしれないが・・・。

「えっ~と・・・ね、アレ?」
「どうしたの?」

その花の名前が思い出せない。
いや、そもそも名前を知らない可能性がある。

「えー!?知らないの?」
「そ、そうみたい・・・」

だけど、ある事実だけは強烈に覚えている。

(No.1074-2へ続く)

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[No.1073-2]ヘリコプター

No.1073-2

「ふ~ん」

反応が薄いのが気になる。

「とにかく、いいだろ?」
「見上げるのはタダなんだから!」

いちいち突っ込まれることでもない。
見たいから見る・・・ただそれだけのことだ。

「分かったわよ」
「そうむきにならないでよ」

そのきっかけを作ったのは彼女なのに。

「むきになっ・・・ん?」

また、別のヘリが近付いているようだ。
音が聞こえてきた。

「なんかあるのかな?」

そっと、空を見上げてみる。
確かにヘリが近付いて来るのが見える。

「あー、また見てる!」
「いや・・・だから!」

いちいち突っ込みを入れられたらたまらない。

「別にいいだろ?」
「冗談よ、冗談!」

たかがヘリコプターでここまで言われるとは・・・。

「まぁ、男子はそうなのかもね」
「ほら、あの子も」

近くにいた数名の男子だけが空を見上げていた。
S1073
(No.1073完)
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[No.1073-1]ヘリコプター

No.1073-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・」
「えっ!?なに」

彼女がジッと僕を見つめている。

「なに?空を見上げちゃって」
「そりゃ、ヘリ・・・」

言い掛けて気付いた。
そんなに立派な理由ではないことに。

「ヘリコプターだよ」
「今、バリバリ音がしてるだろ?」

理由は分からない。
でも、ヘリの飛ぶ音を聞くと見上げずにはいられない。

「そんなの知ってるわよ」
「珍しくもないよね?」

そう言われると返す言葉がない。
ただ、そんなに日常的でもない。

「そうだけど、毎日は飛んでないだろ?」
「まぁ、それはそうよね」

クセというものとは違う。
習性というか習慣というか・・・。

「逆に聞くけど気にならないの?」
「私?全然!」

ここは女子と男子の違いだろう。
性別で判断するのは良くないが。

「まぁ、やっぱり男子は見ちゃうよな」

早い話、飛行機や車と同じだ。
ちょっとした憧れの的なんだと思う。 

(No.1073-2へ続く)

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[No.1072-2]普通の定義

No.1072-2

だいたい地に落ちているセミは死んでいる。
あるいは息も絶え絶えになっている。

「だよね」
「虫の中でも警戒心は強いはず」

友人もセミについてそれなりに詳しくなっている。
まぁ、私の影響が大きいと思うが。

「ピクリとも動かないし」
「間違いなく死んでいると思ってた」

蟻も数匹、群がり始めていた。
夏の終わりによく見るあの光景が始まろうとしていた。

「自然の摂理とは言え・・・」
「そうだね」

とは言え、これもある意味、一期一会だ。
このまま見過ごすのも心苦しかった。

「・・・あなたらしいね」
「せめて、目のつかない所に・・・」

無残な姿をさらす必要はない、そう思った。

「で、目のつかない所に・・・」
「えっ!?それで気付いたの・・生きているって!?」

もちろん、そうだ。
私の手の中で、力強くもがいていた。

「普通・・・そうでしょ?」

普通という言葉の定義が変わった瞬間だった。
S1072
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[No.1072-1]普通の定義

No.1072-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(死んでる?)

ふと足元を見ると一匹のセミがひっくり返っていた。
1ミリたりとも動いていない。

「またセミの話?」
「どんだけ好きなのよ、セミが!?」

まずは誤解を解く必要がありそうだ。
別にセミが“好きではない”と・・・。

「好きなんじゃなくて気になるだけ」
「それを人は“好き”っていうんじゃないの?」

まぁ・・・それも一理ある。
けど、それほど特別な感情は抱いていない。

「で、セミがどうしたって?」
「なんだ、やっぱり聞きたいんじゃない!」

友人が睨んでくる。
もちろん、顔は笑っているが。

「朝、駐輪場に・・・」

一匹のセミがひっくり返っていた。
動く気配がなく、死んでいるように見えた。

「・・・という流れなら・・・」
「そう!死んでなかったの」

(No.1072-2へ続く)

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[No.1071-2]大きな板チョコ

No.1071-2

「それなら何なんだろうね?」
「それが今でも、なぞのまま・・・」

誕生日でもなければクリスマスでもない。
全く普通の日の出来事だった。

「子供としては大喜びだったと思う、多分」
「多分?」

記憶の中には喜んでいる私の姿はない。
チョコの記憶はあるのに他の記憶はほとんどない。

「食べたと思うんだけどな・・・」
「まさか、他の人へのプレゼント?」

自宅をワンクッションにしただけ。
その可能性も否定はできない。

「まぁ・・・なくもない・・・ね」

他人へのプレゼントを私の・・・と記憶違いをしている。
もしこれが事実なら、ちょっと切ない話に変わる。

「なんなら本人に聞いてみたら?」
「いやいや、聞けないから困ってるの!」

別にけんかしているわけではないが、何だか聞きにくい。

「そんなものなの?」
「そんなものなの!」

特に今は・・・悪い意味ではなく、ピリピリしている。

「けど、そんなに気になるなら聞いておかないと」
「私みたいに後悔するわよ?」

確かに友人の言う通りかもしれない。
まだ、父が元気なうちに。
S1071
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[No.1071-1]大きな板チョコ

No.1071-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
はっきりとは覚えていない。
でも、記憶にはしっかりと刻まれている。

「なんか・・・変な表現ね」
「あはは!確かに」

記憶にあるのかないのか、いったいどっちなんだと。
でも、本当にそうな感じだ。

「世の中には存在しているようね」
「そうね、私も一応調べてみた」

小学生の頃の話だ。
父親がチョコレートを買ってきたことがあった。

「実際は買ったのか、もらったのかは不明だけど」

ただ、そのチョコレートが普通ではなかった。

「だよね、普通にお店に置いてなさそうだし」

それは普通の板チョコの4倍くらいの大きさだった。

「ちょっと、大袈裟かもしれないけど」
「感覚的にはそんな感じ」

今で言えば“パーティグッズ”のようにも思える。
つまり、ジョークの要素が強い。

「それも、1枚だけじゃなくて・・・」

5、6枚はあったと思う。

「お父さんは普段からそんな人?」
「ううん、全然!」

絵に描いた昭和のお父さん像そのままの人だ。
表現はよくないが・・・。

(No.1071-2へ続く)

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