カテゴリー「(042)小説No.1026~1050」の50件の記事

[No.1050-2]母の日

No.1050-2

「だから、今年もやめておくよ」
「その方がいいかもね」

母の日には毎年、花を欠かせなかった。
花束もあれば、鉢植えの時もあった。

「たしか、結婚してからだったよね?」
「うん、だから・・・」

かれこれ・・・年ほど続けたことになる。
それが、去年、途絶えた。

「来年はどうする?」
「そうだね・・・」

受け取る人が居ない方がより贈りたくなる。
何とも不思議な感覚だけど。

「まぁ、“エア母の日”ってのもありだろ?」
「あはは!いいかも!」

もちろん、ケチりたいわけじゃない。
それを選んでいる時間が大切なんだ。

「とにかく・・・2回目だね」
「そうだな」

この日くらい、ちょっと涙してもいいよね?
S1050
(No.1050完)
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[No.1050-1]母の日

No.1050-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
今年で2回目の母の日になる。

「そうだね・・・2回目だね」

他人が聞けば“母の日初心者”と思うだろうか?
2回目というくらいだから。

「でも、違うんだよね~」
「あはは!たしかにね」

今年は何を贈ろうか・・・今でも迷っている。

「やっぱり、無難に花かな?」
「そうね・・・」

一応、悩む振りをしてみる。
実は去年もそうだった。

「でも、やっぱり・・・」
「贈らない?」

贈りたい気持ちはある。
受け取る本人が居ないとしてもだ。

「ただ、父がさぁ・・・」

今でも元気がない。
そこにきて、強烈に思い出させてしまうだろう。

(No.1050-2へ続く)

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[No.1049-2]答えが来る

No.1049-2

「さっきからニヤニヤして・・・」
「だって、思い出しちゃってさ!」

彼女を待つ男子高校生・・・と言うシチュエーションだ。
どうやら同じ高校ではないようだ。

「彼女を待ってたのか?」
「友達を待っていたように見える?」

その違いは一目で分かる。
しきりに髪を気にして、待っている姿がどこかキザだ。

「よく見てるな!?」
「女性ならごく当たり前の観察眼よ、それにほら!」

予想通り、あの子がその男子の前で立ち止まった。
そして仲良く電車に乗り込んだ。

「ほんとだ・・・」
「でしょ?」

私も同じようなことを経験した。
残念ながら、目の前の人と。

「ん!?何か言ったか?」
「いいえ、何も」

私の場合、彼をしばらく観察していた。
私を待っている時の彼を知りたかったからだ。

「なんだよ・・・またニヤニヤして・・・」
「別に!」

だって、さっきの男子と全く同じなんだもん。
S1049
(No.1049完)
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[No.1049-1]答えが来る

No.1049-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「ふふふ・・・」
「何だよ、気持ち悪い」

人が居なかったら、一発殴っているところだ。
今は大人しくしておこう。

「向こうの男子、なにしてると思う?」
「何って・・・スマホいじってるだけだろ?」

まぁ、難しい質問だとは思う。

「電車が到着してるのに乗り込まない」
「そして周りをキョロキョロ・・・」

このヒントで答えが分かるとは思っていない。
自分で自分は見えないからだ。

「いきなり、クイズかよ!?」
「早くしないと“答えが来ちゃう”わよ」

彼がキョトンとしている。
我ながら“答えが来る”とは名言だ。

「何だよ、それ!?」
「さぁ、はやくはやく!」

そうこうしている内に、答えらしき人が近づいてきた。
スマホを片手に足取りが軽い。

「多分、あの子が答えよ」
「あの子!?」

その男子も“あの子”に気付いたようだ。
そしてスマホをいじる手が止まった。

(No.1049-2へ続く)

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[No.1048-2]二十四の瞳

No.1048-2

「そう言えば・・・」
「そうやね」

先生を目指していたと聞いたことがあった。
確か、音楽の先生だった。

「昔の話やね」
「昔、昔のね」

挫折したわけじゃない。
“色々あった”からだ。

「まぁ、選択肢は無限にあるさ」
「かもしれんな」

その“色々”に僕も少なからず関係している。
いや・・・。

「後悔は?」
「してるわけないやん!」

その言葉に嘘はないと思う。
でも、今、なぜ、その本なんだろうか?

「その本、買ったの?」

そう言えば肝心なことを聞いていなかった。

「買ったよ、随分前やけどな」

と言うことは今、引っ張り出して読んでいることになる。

「・・・そっか」

それが何を意味しているか、僕にはわからない。
けど、二つの瞳は輝いて見える。

「なに見てんねん!恥ずかしいやろ」
S1048
(No.1048完)
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[No.1048-1]二十四の瞳

No.1048-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「珍しい本、読んでるな?」
「珍しい!?」

彼女の顔がみるみるうちに険しくなる。
理由は・・・今、気付いた。

「なに言うてんねん!」
「名作やろ!?」

もちろん、その本が名作なのは僕でも知っている。
ちょっと言い方を間違えただけだ。

「ごめんごめん!」
「“珍しいな、本を読むなんて”と言おうとしたら・・・」

なぜか言葉が繋がってしまった。

「ほら、あまり本を読んでいるイメージがないから」
「・・・せやな」

あっさり認めるところも彼女らしい。

「急に読みたくなったんや」
「そうなんだ・・・」

でも、それがなぜ“二十四の瞳”なのか・・・。
それは大きな謎だ。

「ちなみに内容は知ってたの?」
「全然、知らん!」

偶然、手にしたとすればある意味、引きが強い。
彼女と全く無関係とは言えない本だからだ。

「で、どこまで読んだの?」
「半分くらいやろか」

確かに丁度半分くらいに見える。

(No.1048-2へ続く)

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[No.1047-2]赤いレモン

No.1047-2

「大丈夫なの?」
「も、もちろんよ!」

それ以来の栽培だが勝算はある。
家庭菜園の知識も増え、ゴーヤなら成果も出せている。

「ゴーヤとトマトじゃ比較にならないよ」
「えへへ・・・やっぱり?」

私の影響で友人も家庭菜園の知識を持つようになった。
言う通り、確かに違う・・・いや、大きく違う。

「今年は準備万端で行くわよ!」
「まぁ、期待せずに待ってるわ」

種からではなく、苗を買ってくるつもりだ。
何本も育てるつもりはないので。

「まずは1本だけ・・・育ててみるわ」
「そうだね、それがいいかも」

リスクもあるが、1本に集中することにした。
もちろん、ゴーヤを育てながら。

「じゃあ、今年の冷やし中華・・・」
「もちろん!自家製トマトで!」

とにかく、週末はゴーヤの種まきだ。
そして、トマトの苗も買いに行こう。

「土の準備は?」
「バッチリよ!」

これから忙しくなりそうだ。
もちろん、それも楽しさの一部だと言えよう。

「じゃ、たまに生育状況を知らせてよ?」
「了解!」

我が子同然に可愛がってくれる親戚のおばさん・・・。
友人はそんなポジションなのかもしれない。
S1047
(No.1047完)
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[No.1047-1]赤いレモン

No.1047-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
そろそろ今年も始めようと思う。

「えっ!?まだ正月気分?」
「あのね・・・」

冗談ではなく、本気でそう言うからたちが悪い。
さすがの私もそこまでのんびりはしていない。

「じゃあ、何を?」
「そろそろ覚えてよね!?」

それをかれこれ10年くらい続けている。
春の恒例行事と言ってもいいだろう。

「・・・なんだ、アレか!」
「わざわざ“アレ”って言う必要ある?」

いちいち面倒な友人だ。
周りに人がいたら聞き耳を立てられそうだ。

「アレはアレじゃん!」
「はいはい・・・」

ようやく気温も落ち着いてきた。
今週の週末あたりが良いだろう。

「今年は何にするの?」
「いつものアレと・・・」

友人につられて、自分も“アレ”と言ってしまった。
アレとはゴーヤのことだ。

「他には?」
「うん、今年はトマトに再チャレンジしようかと思って」

家庭菜園を始めたころ、トマトを育てたことがあった。
けど、見事に失敗した。

「強烈に酸っぱかったよね」

それはトマトではなく、赤いレモンだった。

(No.1047-2へ続く)

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[No.1046-2]夜の猫

No.1046-2

「いつものことだけど」
「今日は特に多かったな」

場所が場所だけに寄ってくるのだろうか?
こんないい匂いがすれば猫も黙ってはいない。

「みんな仲良く座ってたよ」
「不思議よね」

夜になると俗に言われる集会が始まる。
お互い微妙な距離をとって佇んでいる。

「昼間ならケンカが始まるのにね」
「そうそう!」

昔、実家で飼っていた猫もそうだった。
私が顔を出すと急に強気になって・・・。

「どうしたの?」
「目が潤んでいるよ?」

思わぬところで思い出してしまった。

「あっ・・・うん、ちょっとね」
「あれ?あなたも目が赤いよ」

友人も何かを思い出して潤んでしまったのだろう。

「これ?さっき外で猫たちと飲んでたの」
S1046 
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[No.1046-1]夜の猫

No.1046-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇねぇ~聞いてぇ~!」
「また猫の話?」

友人が猫なで声を出しているからではない。
動かぬ証拠があるからだ。

「なんで分かったの!?」
「あのね・・・」

三流の探偵でもすぐに分かる。
その位、簡単だということだ。

「服、見てよ」
「服?あぁ・・・なるほどね」

ここに来る途中に“いっぱい”じゃれあったのだろう。
猫の毛がびっしりと付いている。

「一応、居酒屋さんなんだからね!」
「分かってるわよ、手は洗いました!」

いつもこんな調子だ。
不潔とは言わないが、相手は野良なので。

「それなら良いけど」
「で、どんな話?」

私も嫌いではない。
むしろ、彼女が持ち込む話題に興味がある。

(No.1046-2へ続く)

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