カテゴリー「(042)小説No.1026~1050」の18件の記事

[No.1034-2]水道水

No.1034-2

「ごめん!また話が脱線した」
「だと思った」

そう・・・学校で喉が渇いた時の話をしていた。

「どうしてたの?」
「そりゃ、アレしかないだろう」

運動場とかにある水道で水を飲んでいた。
室内ではなく、なぜか外の水道で。

「・・・変ではないよね」
「そうか?当時はさぁ・・・」

水道の水を飲むことは、いけないことだとされていた。
明確に禁止されていたわけではないが。

「だから、ためらいながら飲んでたよ」

先生の目を盗むようにして。

「なんで?」
「なんでだろうね、ただ・・・」

今考えると思い当たる節はある。

「多分だよ、当時の水質に問題があったと思う」
「汚れてたの!?」

そうではない。
清潔過ぎて・・・と言ったほうが角が立たなくて済む。

「あぁ・・・何となくわかる」
「当時はちょっと匂いがキツかったのかもね」

ただ、それも大きな誤解だと分かる。
それなら、自分の家だって同じだったはずだ。

「結局、飲みすぎてお腹を壊さないように・・・と」
「“先生の配慮があった”ということね」

実際、壊していたのを思い出した。
S1034 
(No.1034完)
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[No.1034-1]水道水

No.1034-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
僕らの時代の学校“あるある”だと思う。
自信はないが・・・。

「最近はマイボトルが多いよね」
「私もそうよ」

昔々はボトルではなく水筒だった。
根本的には同じものだが、おしゃれ度も性能も異なる。

「僕らの時代は透明の水筒が流行でさ」
「透明?タッパみたいね」

そう・・・用途は違うが質感はまさしくそれだ。
中身が丸見えで、ある意味便利だった。

「マイボトルの話なの?」
「あっ!じゃないよ」

少し話が脱線してしまった。
同じ水物には変わりはないが・・・。

「小学生の頃とかさぁ」
「喉が渇いたらどうしてた?」

今なら自販機やそれこそマイボトルだ。
でも、当時はそうはいかなかった。

「水筒は?」
「持ってたけど・・・」

身近で手軽なようでそうでもなかった。
水筒は特別な存在だった。

「だから、学校に持って行くのは珍しかったんだ」

夏場にほんの数日程度、持っていった。
カチコチに凍らせて。

「凍らせて?」
「夏場の定番だよ」

ただ、保温能力もなく、タオルで包む程度だった。

(No.1034-2へ続く)

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[No.1033-2]小バエの憂鬱

No.1033-2

「お風呂場の水しぶきにも耐えてさぁ」

この場所が好きなのかそれとも・・・。

「行き場所がないようにも見えた」
「なるほどね」

友達が何かを悟ったようだった。

「小バエに自分を重ねた?」
「・・・どうだろう」

曖昧な返事をしたのは認めたくないからだと思う。
小バエはまさしく今の自分そのものだ。

「それにしても・・・」
「すごいものに例えたね、自分を」

その言葉に思わず吹き出しそうになった。
確かに例えたものが・・・小さい。

「でも、あなたらしいよ」
「褒めてる?」

でも、私は小バエに何を重ねたのだろうか?
分かっているようで分かっていない。

「悩み多い年ごろじゃん!」
「それで片付けるの!?」

そう言えば長風呂した時に、フッと目にとまった。

「その時、色々考えてたのね」

小バエだって・・・考えるよ。
S1033
(No.1033完)
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[No.1033-1]小バエの憂鬱

No.1033-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
時々、お風呂場に現れる一匹の小バエ・・・。

「・・・朝からする話?」
「いいじゃん、べつに」

どこから来てどこに行こうとしているのか?
真剣に考えることがある。

「頭でも打ったの?」
「失礼ね!どこも打ってないわよ」

とは言うものの・・・。
そう思われても仕方ないのは理解している。

「あえて答えるなら、排水溝から来て・・・」

そんなの言われなくても分かっている。
生態は調査済みだ。

「それなら何で悩んでるのさ?」
「いいじゃん、べつに」

本日、2回目のセリフだ。

「まぁ、いいわ」
「で、その小バエはどうなったのさ?」

数日間、お風呂場の壁でじッとしていた。
その後、姿が見えなくなった。

「どこかに飛んで行った?」
「かもしれないし」

死んでしまったのかもしれない。
まぁ、そう考えるのが妥当だろう。

(No.1033-2へ続く)

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[No.1032-2]卵かけごはん

No.1032-2

「ところが・・・」

就職して初めて親元を離れ寮生活を始めた。
その時・・・。

「“初めて知った!”んだ?」
「それはそうなんだけど・・・」

確かにその時、知った。
でもそれ以前にある問題が僕の前に立ちはだかった。

「問題?」
「ほら、よく考えてみてよ」

僕は生卵を使った卵かけご飯を知らなかった。
ダメ押しすれば見たことも聞いたこともない。

「・・・あっ!」
「だろ?」

寮生活の初日の朝に、生卵が用意されていた。

「何なのこれって?」

ゆで卵と間違えずに済んだのは幸いだった。
戸惑う僕を尻目に他の人たちが食べ始めたからだ。

「それも躊躇なく、卵を割ってさ・・」
「それはビックリするかもね」

そこから僕の人生は変わった。
こんなに美味しい食べ方があることを知ったからだ。
S1032_20210211225601 
(No.1032完)
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[No.1032-1]卵かけごはん

No.1032-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「朝は卵かけご飯でいいの?」

答えは決まっているけど一応聞いてくれる。
その気遣いが嬉しい。

「もちろん!」
「ほんと好きだね」

逆に嫌いな人が居るのだろうか?
もちろん、卵嫌いな人は別にして。

「でもさぁ・・・」
「なぁに?」

この卵かけご飯には色々と思い出がある。

「思い出?」
「あぁ、実は・・・」

僕の実家の卵かけご飯は目玉焼きだった。
それをご飯の上にのせて混ぜる。

「生卵じゃないんだ!?」
「そうなんだけど・・・」

そもそも卵かけご飯が生卵だとは知らなかった。

「えっ・・・どういうこと?」
「そういうこと」

今でこそ“TKG”だが、当時の世はそんな欠片もなかった。
だから、他の家庭の事情なんて知る由もなかった。

(No.1032-2へ続く)

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[No.1031-2]門出の言葉

No.1031-2

「はい!これでどう?」

そこには“卒業式で言うやつ”と入力されていた。

「なんだよ!?まんまじゃないか!」
「だからそう言ったでしょ」

(あっ!そうだった)

「それより、結果はどう?」

早速、答えが出てきた。
それも検索結果の一番上に。

「あはは!みんな同じなんだね」

どうやら地方によっていくつかあるらしい。
でも、僕はこれだったと思う。

「どれ?」
「この“門出の言葉”だよ」

自信はない・・・でも、直感的にそう思う。

「それはそうと・・・」
「で、その一言ってなに?」

そうだった・・・肝心なことを話していない。

「あぁ、そうだったね」
「それはね、“6年生の皆さん!”だよ」

今でも鮮明に覚えている。

「まぁ・・・あれだね」

彼女の反応がイマイチなのも記憶に残りそうだ。
S1031
(No.1031完)
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[No.1031-1]門出の言葉

No.1031-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
今でも鮮明に覚えている一言がある。

「えー!それってフラれた時の?」
「なんでそうなるんだよ・・・」

どうやら僕はそういうキャラらしい。
いつもこんなパターンから話が始まる。

「ほら、小学生の時、あっただろ?」
「なんて言えばいいのかな・・・」

卒業式に卒業生と言葉の掛け合いを行うアレだ。
ただ、その名前が分からない。

「バカね!そんなのググれば一発じゃん!」

そんなことは僕でも分かっていた。

「え~っと・・・」
「だろ?」

どんな文言を入れてググればよいか分からない。
だからこそ、困っている。

「・・・そうだ!」

彼女が何かひらめいたようだ。

「まんまでいいじゃん!」
「まんま!?」

まんま・・・とはどういう意味なんだろうか?

「ちょっとスマホ貸して!」
「えっ!?あ、うん・・・」

この際、小さなことは気にしないようにしよう。

(No.1031-2へ続く)

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[No.1030-2]決定的瞬間

No.1030-2

「まぁ・・・偶然という点では似てなくはないけど」

言い換えれば、決定的瞬間というものだ。
さっきの1枚だってそう見れるものじゃない。

「何だか分かったような分かんないような・・・」
「私もそんな感じ」

話を広げておいて無責任だとは思う。
でも、そんなことでも話題にしたくなる日もある。

「やっぱり何かあったでしょ!?」
「何もないわよ」

でも、心に何か引っ掛かるものがある。

「それならいいけど・・・」
「最近、忙しいそうだったから心配だよ」

確かにそうだった。
大規模なプロジェクトをチームのみんなと無事にやり遂げた。

「まぁ、リーダーがあんなイケメンなら」
「あなたじゃなくてもやる気が出るわよ!」

そうだった・・・忘れてた。

「忘れてた?ほんと大丈夫?」

そう言えば彼に企画書を褒められ、重要な仕事も任された。

「もしかして・・・あなた・・・」
「ん?なに?どうしたの?」

同僚に指摘され気付いた。
私はその瞬間に恋に落ちていたんだと。
S1030
(No.1030完)
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[No.1030-1]決定的瞬間

No.1030-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
時に人は、何でもないことに想いを寄せることがある。

「今日、さぁ・・・」
「カラオケ?それともこっち?」

握った拳をクイッ!と上にあげる。

「どっちも違うわよ」
「えぇ~また合コン?」

早めに答えを言ってしまおう。
話がややこしくなる前に。

「ほら、廊下の掲示板に色々貼ってあるじゃない?」
「ん?あぁ・・・そうねぇ・・・」

同僚のテンションが急に下がったのが分かる。
でも、逆にその方が都合が良い。

「その1枚がね・・・」

何気なく掲示板を見た時、剥がれ落ちた。
その瞬間を目撃した。

「えっ!?どういうこと・・・」
「・・・というか、何の話?」

予想できた展開だ。
自分でも何を話しているのか、よく分かっていない。

「ちょっと大丈夫?」
「・・・うん、大丈夫よ」

何気なく時計をみたら、11時11分11秒だった・・・。
それとよく似ている。

(No.1030-2へ続く)

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