カテゴリー「(041)小説No.1001~1025」の50件の記事

[No.1025-2]迷子

No.1025-2

「おまけに土地勘もないし・・・」
「それ雪国初心者あるあるかもしれないよ

雪がなければ、建物などから判断できていたはずだ。
もちろんスマホもケータイもない時代だ。

「標識や看板も見えなくて・・・」
「ぜーんぶ、雪だもんね」

まさしく、雪山で遭難した気分だった。
迷った上に、吹雪き始めたのが決定打となった。

「もう、右も左も分かんなくなってさぁ・・・」
「そりゃそうよ!街中だって油断大敵よ」

さすが道産子、分かっている。

「で、どうなっちゃったの?」
「仕方なく、大きな道路に出て」

タクシーを拾うことにした。
大袈裟だけど体力も尽き果てそうだったからだ。

「で、タクシーを拾って行き先を告げたら」
「もしかして・・・」

その“もしかして”だった。
運転手から、良い意味で乗車拒否された。

「親切に、すぐそこですよ・・・と教えてくれて」
「まぁ、僕を見て察してくれたと思うよ」

関西弁に加えて雪山で遭難しかけたような風貌だった。

「そうでもなきゃ、ほんと遭難してたかも」
「大袈裟な!・・・と言えないのが冬の怖さね」

結果、無事に帰路に着くことができた。
それから・・・年が経過した。

「もう迷いはしないよ、色んな意味でね」
S1025
(No.1025完)
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[No.1025-1]迷子

No.1025-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「昔と比べると減ったよな?」

少しづつではあるが減っていると思う。

「そうかもしれないね」

地球温暖化の影響かもしれない。

「そんなにエコな人だったっけ?」
「からかうなよ、素直な意見だよ」

除雪が昔より進んだ可能性もある。
それで勘違いをしている可能性は否定できないが。

「ここに来たときなんかさぁ・・・」
「僕の背の高さをゆうに超えてたぞ」

・・・年前にここに新入社員として配属された。
公私共に、初めての北海道だった。

「確かにそんな感じだったかも」
「だろ?」

除雪は入るものの、道路脇に残されたままになる。
それがどんどん積み上がっていった。

「それで、初めて来た年に・・・」

うれしさのあまり、近所を散策してみることにした。
なんせこれほどまでの雪を見たことがなかったからだ。

「“これが雪道か!”なんてはしゃいでたよ」
「初めてならそうなるのも無理ないよ」

とにかく、雪深い道をただただ歩いた。
ところが・・・。

「いざ、帰ろうとしたら」
「・・・帰り道が分からなくなって」

見えるものと言えば雪の壁と一面の銀世界だった。

(No.1025-2へ続く)

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[No.1024-2]近すぎると見えないもの

No.1024-2

「さっき、自分でいうてたやろ?」
「不思議な理由を?」

彼女が大きくうなづく。

「“そう見られるものではない”っていうてたやん」
「そ、そうだけど・・・」

確かに言った。
実際、そんなに見た記憶もない。

「“見られない”じゃないねん」

どういう意味だろう・・・。

「気付いてないだけ」
「・・・さっきの俺みたいに?」

彼女が首を横に振る。

「違うの?」
「逆やで!遠くにいるから気付けるんや」

何だか混乱してきた。
遠くにいるから気付けるとは・・・。

「虹は遠くから見るから見えるんで」
「近くにいたら何も見えへん」

何となくわかり始めてきた。
確かにそうなのかもしれない。

「もし真下に居ても見えないのかもな」

実際どうかはわからない・・・でも、そんな気がする。

「近すぎると見えないものもあるんや」

そうだと思う・・・俺らの関係のように。
S1024 
(No.1024完)
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[No.1024-1]近すぎると見えないもの

No.1024-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あれ見てん!」
「どこ?」

彼女が窓の外を指差す。
俺には見慣れた車窓の風景にしか見えないが・・・。

「どこ見てんねん!」
「あの背が高いビルのあたりや」

なるほど・・・そういうことか。

「虹だね!」

言われて気付くレベルの虹が出ている。
今にも消えそうな雰囲気だ。

「よく気付いたな?」
「うち、目がええねん!」

加えて若さもあるのだろう。
なんとも羨ましい限りだ。

「せやけど、虹って不思議やね」
「そうだな」

珍しくはないが、そう見られるものでもない。
人生の中で何回、虹を見たのだろうか?

「七色のアーチ・・・」
「自然が作り出した1級の芸術品だね!」

自分でも言うのもおこがましいが見事な表現だ。
これで彼女の心を鷲づかみ・・・。

「・・・なに気取ってんねん!」
「うちがいいたいのは」

彼女が言いたいのはそこじゃないらしい。

(No.1024-2へ続く)

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[No.1023-2]彼の目利き

No.1023-2

「社交辞令!?」
「あはは!」

彼が笑い始めた。

「だって」
「何でも美味しいって言うから・・・」

もちろん、お惣菜が美味しいのは認める。
でも、お惣菜まで褒めるのはちょっと違うと思う。

「う、うまく言えないけど!」

私としては少し遠慮をして欲しい。
私の料理よりはちょっと味が落ちるとか・・・。

「そうか?美味しいぞ」
「だから、それは分かってるって!」

なんとも煮え切らない。
こっちとしてはそこを理解して欲しい。

「ほんと乙女心を分かってないんだから!」

はっきり言えば私の手料理だけ褒めて欲しい。

「俺はね、俺好みの惣菜を選んでくれる・・・」
「そんな目利きを褒めているつもりなんだよ」
S1023 
(No.1023完)
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[No.1023-1]彼の目利き

No.1023-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「美味しい!」
「ありがとう・・・」

食事の度に味を褒めてくれる。
それはそれで嬉しいけど・・・。

「なんだよ?」
「ん?・・・なんでもないよ」

決して嘘を付いているとは思っていない。
でも、少し気になっていることもある。

「なんでもないけど・・・」

時々、料理の手を抜くことがある。
忙しい時とか、疲れた時とかはお惣菜で済ませる。

「それを気にしてたのか?」
「俺は全然気にならないけど」

気にしているのはそこじゃない。
彼はお惣菜も“美味しい”と口にする。

「だって本当だろ?」
「そうなんだけど・・・」

彼には悪いけど何でも美味しいと言っている気がする。
社交辞令のように・・・。

(No.1023-2へ続く)

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[No.1022-2]ネコの嘆き

No.1022-2

「うずくまる・・・ねぇ・・・」

基本、家の中でもそんなことが多い。
気付けば、タンスの上に居ることもある。

「そんな感じで、ほら、あるでしょ!」
「そう言われても・・・」

夏はエアコン、冬はストーブ。
それぞれ、一番良いポジションを見つけ出す。

「そこまで出てたらもう一息!」
「あのねぇ・・・」

本格的なクイズの様相を呈してきた。
車の屋根のネコから、随分と話が展開している。

「ほら・・・アレを忘れてるよ!」

家の中で今と昔で変わったこと・・・。
あらためてクイズを思い出してみる。

「なんかテレビのクイズみたい・・・」
「・・・あっ」

確かにあった。
大きく変わったものが。

「テレビ・・・ね!」
「そうぉ!」

ブラウン管が液晶に変わった。
それにより、ある姿が見れなくなった。

「ネコがテレビの上に・・・でしょ?」
「正解!」

冬になるとテレビの上は彼らの特等席になる。
けど、今は・・・彼らの嘆きが聞こえてきそうだ。
S1022
(No.1022完)
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[No.1022-1]ネコの嘆き

No.1022-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
ネコが車の屋根でうずくまっている。

「気持ちよさそうね」
「今日はポカポカ陽気だもん!」

まさしく冬の午後のひと時と言った感じだ。
通り抜ける風も心地よい。

「ネコってやっぱり“見つける”天才だよね」

冬は暖かい場所を、夏は涼しい場所を。

「それは間違いないね」
「うちのネコもそうだもん」

ただ、夏は車の下にいることも多いから注意が必要だ。
だから、出掛ける前には下を見るクセが付いた。

「けど、最近、可哀そうで」
「なにが?」

友人もネコを飼っている。
それも私よりもかなり昔から。

「家の中で、今と昔で」
「大きく変わったこと・・・なにか分かる?」

突然、クイズが始まった。
でも、かなり掴みどころがない問い掛けだ。

「範囲が広すぎない?」
「もう少し、ヒントを・・・」

とは言え、この流れからすればネコは関係するだろう。
だとすれば・・・。

「今のシチュエーションがヒントよ」

つまり、ネコが車の上でうずくまっていることらしい。

(No.1022-2へ続く)

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[No.1021-2]2次元の悲劇

No.1021-2

「悲劇!?」

・・・と言う割には、無責任にも顔は笑っている。

「体育際・・・早い話、運動会なんだけど」
「うちの学校では、応援用に・・・」

大きな看板に、絵や文字を書いて応援するのが伝統だった。

「この流れからすると・・・」
「君の想像通りだよ」

その看板に絵を描くことになった。
あろうことに、その絵は僕の一押しのキャラだった。

「僕が言ったわけじゃなく」
「クラスの連中がさぁ・・・」

もちろん、好意ではない。
あきらかな冷やかしだった。

「それで描いたの?」
「まぁ、仕方なく・・・」

とは言え、そんなに上手く描けるわけがない。
相手は今まで描いたことがない大きな看板だからだ。

「それで?」
「描くには描いたけど・・・」

雰囲気だけ辛うじて似せることができた。
ある大きな特徴があったからだ。

「本気の描写で似てないのも」
「辛いものがあったな・・・」

時を経て、こんな話をするなんて思ってもみなかった。
それも女子の前で。
S1021
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[No.1021-1]2次元の悲劇

No.1021-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「一昔前は大変だったんだぞ」
「そうなの?」

能天気なところが若干気にならなくもない。

「今じゃ“オタク”って言葉も普通だけどさ」

昔は若干、ヤバめの意味で使われた。
特に僕みたいなアニメ好きは。

「アニメ最高じゃん!」
「今は・・・な」

その昔は、それを口にするのがためらわれた。
クラスメートから冷ややかな目で見られていたからだ。

「なんでよ?」
「ほら、特に美少女キャラ・・・」

思春期も重なり、そっち方面に興味が沸いていた。
もちろん、今で言う3次元も興味はあったが。

「ほら、2次元のキャラってある意味、理想でさ」
「それはあるね!」

高校時代は、特にアニメに入れ込んだ。
“見る”だけではなく、“書く”ようにもなった。

「えっ”?書くって・・・」
「書けるの!?」

アニメ好きが高じて、キャラのイラストを書くようになった。
もちろん、趣味の範囲ではあるが。

「へぇ~知らなかった!」

アニメ好きな仲間同士で、イラストを披露し合うこともあった。
それがクラスに知れ渡り、悲劇への幕開けとなってしまった。

(No.1021-2へ続く)

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