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[No.1370-1]編みかけの帽子

No.1370-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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あらためて母の遺品を整理していた。
その時、ある物を見つけた。

「あるもの?」
「うん、帽子・・・それも編みかけの」

編み物が好きなことは知っていた。
だからそれほど驚きはしなかった。

「でも・・・」
「帽子だったんだよね」

もう少しで完成しそうな感じだった。
完成品が想像できたからだ。

「もしかして・・・」
「思っている通りだよ」

普段使いのためじゃない。
ある状態から"隠す”ためだ。

「・・・だよね」
「多分、編み始めたけど・・・」

状態が悪化して断念したんだと思う。
自分で編むことを。

「どうしてそう思うの?」
「病室では違う帽子を被ってたから」

それは編んだものではなかった。
あきらかに市販品の帽子だったからだ。

(No.1370-2へ続く)

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