« 2026年4月 | トップページ | 2026年6月 »

2026年5月

[No.1370-1]編みかけの帽子

No.1370-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
あらためて母の遺品を整理していた。
その時、ある物を見つけた。

「あるもの?」
「うん、帽子・・・それも編みかけの」

編み物が好きなことは知っていた。
だからそれほど驚きはしなかった。

「でも・・・」
「帽子だったんだよね」

もう少しで完成しそうな感じだった。
完成品が想像できたからだ。

「もしかして・・・」
「思っている通りだよ」

普段使いのためじゃない。
ある状態から"隠す”ためだ。

「・・・だよね」
「多分、編み始めたけど・・・」

状態が悪化して断念したんだと思う。
自分で編むことを。

「どうしてそう思うの?」
「病室では違う帽子を被ってたから」

それは編んだものではなかった。
あきらかに市販品の帽子だったからだ。

(No.1370-2へ続く)

| | | コメント (0)

[No.1369-2]道路の段差

No.1369-2

「仮に偶然の産物だとしても」
「有難いよね?」

あの段差は体に響いた。
それに、自転車への影響も少なくない。

「そうそう!」
「下手したらパンクしそうなくらい」

タイヤがへこむ感じがする。
段差を通る度に。

「もしかして、偶然じゃなく・・・」
「あえて段差をなくしてくれたのかも」

その可能性もなくない。
あの段差を知っていたとするなら。

「それなら感謝だよね!」
「ほんと、アレは本当にきつかった」

たかが段差、されど段差だ。
朝、あの段差は体にこたえた。

「でも、眠気が飛んで良かったかもw」
「あー、それはあるわね」

朝から喝を入れられる気分でもあった。
"ゴン!”という衝撃と共に。
J1369
(No.1369完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1369-1]道路の段差

No.1369-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、気付いた?」
「何を?」

通学路の途中に段差が大きい道路があった。
自転車で通行する際 、かなりの衝撃を受けていた。

「あぁ、あそこの・・・」
「そう言えば最近、衝撃がないね」

友人が思い出すように呟いた。
私もしばらくしてから気付いた。

「ほら、工事してたじゃん」
「確かに」

けど、その工事は段差をなくす工事ではなかった。
周辺道路の整備だったはずだ。

「よく覚えてるわね?」
「細かいところまで」

いつも通る道だからこそ気になる。
一応・・・。

「工事の恩恵?」
「多分、そうだと思う」

新しくアスファルトが敷かれた。
その厚みが結果的に段差をなくした。

(No.1369-2へ続く)

| | | コメント (0)

ホタル通信 No.624

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.606 天候不良
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:女性

前回のホタル通信に続いて、家庭菜園の話です。さすが、定番というだけあって、小説になっていますね。

天候不良は毎年心配で、2025年は天候そのものよりも、気温に悩まされた記憶があります。ようやく暖かくなってきたので種まきをすると、気温が低い日が数日続くとか。十分に暖かくなってから種まきすれば良いのでしょうが、ついフライングをしてしまうのは家庭菜園あるある?なんでしょうかw

種をまいても全部芽が出るわけでもなく、さらに芽が出た中から元気そうなものを選び育てる。選ばれなかったものは、心苦しいですが、間引きます。ベランダ、それもプランターでの栽培になりますから、そう多くは育てられません。たかが、植物なんですが、間引く際は、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
別に、特段の愛情をもって家庭菜園をしているわけではありませんが、芽生えから収穫までの間に、色々なドラマがあり、同時にこうやって小説のネタも生んでくれるわけです。

昨年は、トマトが初めて上手に育ちました。以前、育てた時は、レモンかと思うくらいに酸っぱかった記憶があります。
Jt624
web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1368-2]いつものカメ

No.1368-2

「けど、同じ場所で同じ格好なんて」
「笑っちゃうねw」

けど、どうやって場所を覚えているのだろう。
ふと疑問が湧いてくる。

「確かにそうよね」
「帰巣本能なんてあるのかしら?」

無性に調べたくなって、ググってみた。

「どうだった?」
「・・・意外」

カメは数ある生物の中でも帰巣本能が強いらしい。
餌場や寝床を完璧に把握しているようだ。

「えっ・・・すごくない!?」
「ほんと、すごい・・・」

それなら同じ場所で甲羅干しするのもうなづける。
同じ格好は別にして。

「なんか尊敬しちゃう」
「方向音痴の私と比べたら」

地図やナビがあっても迷う私だ。

「カメは何も持っていないわけでしょ?」
「スマホとか」

それなのに覚えている。
自然の神秘と言うか、すごいと言うか。
J1368
(No.1368完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1368-1]いつものカメ

No.1368-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あれ?また同じのが居る・・・」

会社の敷地内に小さな川が流れている。
そこには様々な生物が息づいている。

「えっ?何が?」
「ほら、あそこに」

一匹のカメが居る。
そこそこ大きめのカメが。

「ほんとだ・・・」
「でも、"また同じのが居るって”言ってたよね?」

その疑問も当然だ。
なぜ、同じカメだと分かるのか。

「特徴があるのよ」
「ほら・・・左足を見て」

そのカメは左足をピンと伸ばしたような恰好をしている。
昨日も今も。

「確かにちょっと変わってるね」
「それに・・・」

川に敷かれたブロックの上に居る。
いわゆる甲羅干しをするために。

「お気に入りの場所みたいw」

同じ場所で同じ格好で。
だから、同じカメだと分かる。

(No.1368-2へ続く)

| | | コメント (0)

[No.1367-2]群がるスズメ

No.1367-2

「もしかして・・・」
「私たちお邪魔かしら?」

私たちが近付いたせいでご飯にありつけない。
そんな雰囲気が漂っている。

「多分そうみたいw」
「それならこの場を離れないと」

この場を離れることにした。
ただ、一旦だけど。

「陰からこっそり見てみようよ」
「もちろん!」

私たちが離れるとさっそくご飯に群がってきた。
塀に居たスズメ以外も。

「ある意味、カオスw」
「確かにw」

ただ、スズメだけに可愛らしさは残っている。
これがハトやカラスならそうはいかない。

「お腹すいてたのかな?」

時間的には夕ご飯の時間帯だ。
もちろん、人間基準だけど。

「・・・お腹すかない?」
「輪の中に入る?」
J1367
(No.1367完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1367-1]群がるスズメ

No.1367-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
スズメが塀の上で一列に並んでいる。
ざっと見る限り10羽以上は居るみたいだ。

「何してるんだろうね?」

確かにこの数ではあまり見かけない。
何かあるんだろうか・・・。

「ん?あれ見てよ」
「・・・あーなるほどね!」

その疑問はすぐに解消されることになった。
答えは塀の下にあった。

「誰かが置いたというか」
「撒いたというか」

塀の下にお米が撒かれていた。
それも意識的に。

「誰かがご飯をあげたんだね」
「そうみたい」

それを目当てに皆、集まって来ている。
単に仲良く並んでいるわけじゃない。

「何だかザワついてるもんね」
「確かにw」

ごちそうを前に、浮足立っている。
そんな感じがする。

(No.1367-2へ続く)

| | | コメント (0)

ホタル通信 No.623

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.681 今年の始まり
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:女性

冬のホタルでは、定番と言える小説のひとつですね。実は今でも家庭菜園は続けています。

小説に書いてある通り、ブロッコリーを一度だけ育てたことがありますが、最終的に収穫には至りませんでした。育ちはしたのですが、葉っぱだけ育って、肝心のブロッコリーの本体は実りませんでした。説明が難しいのですが、例えばキャベツの周辺の葉っぱが育って、キャベツそのものはない・・・みたいな。種から育てたんですが、もしかしたら、ブロッコリーではなかった?そんな問いが若干残ってはいます。

一方、ゴーヤは定番です。なんせ手が掛かりません。うどんこ病には注意が必要ですが、トマトのように甘くなって欲しい野菜ではありませんから、失敗しようがありません。ただ、収穫時期を逸すると、黄色くなり、甘くなってしまいます。身もブヨブヨになってしまい、本来のゴーヤのポテンシャルではありません。やはり、ゴーヤは苦くないとね。

小説のラストはお決まりの展開です。植物の芽と恋愛の芽って相性がいいですよね。芽生えたり、枯れたりw
Jt623
web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1366-2]力強い手~第三部

No.1366-2

結果的に、父は母が亡くなってから6年と3か月生きた。
苦しみと悲しみに耐えながら。

「長いようで短かった?」
「・・・どうなんだろうな」

いずれ色々な問いに対しての答えが出るだろう。
その時を待つしかない。

「母はきっと分かってたんだと思う」
「こうなることを」

だからこそ、子供たちに父を託したんだと思う。
ただ、その約束を果たせたのだろうか・・・。

「答えを急ぐ必要はないんじゃない?」
「それも、その時が来るわよ」

ただ、両親を亡くし、気付いたことが二つある。

「なに?」

ひとつは、俺は子供だったんだと。
そして、もうひとつは、大人だったんだと。

「・・・分かるわよ、それ」
「私も同じだったから」

それなりに大人として生きてきても所詮子供なんだ。
父、母の前では。

「けど、亡くしたからこそ大人だと気付いた」

安心して、母と幸せに暮らしてほしい。
子供たちは大丈夫・・・3人で仲良く生きていくから。

(No.1366完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1366-1]力強い手~第三部

No.1366-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
半年前からは面会に行っても反応がなかった。
恐らく俺も俺として認識できていなかっただろう。

「それでも手を握ると握り返してきて」
「ただ・・・息子と認識した上ではなかっただろうけどw」

その力強さを今でも覚えている。
母とは対照的な力強さで。

「ちゃんと認識してたんじゃない?」
「そんなものよ」

俺のことは覚えていてほしい。
けど、母のことはもう忘れてほしかった。

「事実、忘れたんだと思う」
「どうしてそう分かるの?」

例の夢日記が途絶えていたからだ。
あれだけ頻繁に綴られていたのに。

「それが良かったのか悪かったのか」
「・・・何度も言うようだけどね」

面会に行くたびに複雑な気持ちになった。
ほぼ、寝たきりになり、生きる気力も感じない。

「父以上に無力な自分を感じたよ」
「何をどうするのが正解なんだと」

答えが見つからない。
早く楽にさせてあげたい・・そんな気持ちもあった。

「そうね、私もそんな時があった」
「お父さんも分かってなかった思う、正解なんて」

(No.1366-2へ続く)

| | | コメント (0)

[No.1365-2]力強い手~第二部

No.1365-2

「そうね・・・難しいね」
「苦しいけど思い出すことはできるからね、生きてると」

せめてあの世で母と出会えていると信じたい。
夢の中では何度も出会っていたらしいから。

「夢の中?」
「ああ、父が日記みたいなものをつけていて」

日記というより、記録に近い。
何でも記録に残すのが好きだったからだ。

「その記録とは別に」
「母が夢に出てきた時だけ別に」

夢日記と称して、夢の内容を書き綴っていた。
ひっそりと堂々と。

「楽しい夢ばかりじゃなかったみたいだけど」
「読んだんだ」

部屋の机の隅にノートが置かれていた。
何度も訪れてはいたが、気付かなかった。

「そこに色々と書かれて」
「父の母に対する強い想いもあらためて知ったんだよな」

だからこそ、耐え難い苦痛でもあったはずだ。
生きれば生きるほど。

「けど、今となっては分からないけどねw」
「・・・だね」

ただ、ここ1年はそれもままならなかっただろう。
少しずつ、認知症が進行していたからだ。

(No.1365完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

« 2026年4月 | トップページ | 2026年6月 »