[No.1364-2]力強い手~第一部
No.1364-2
「気持ちはわかる」
「でも、そう簡単にいかないのも事実」
父の命と仕事を天秤にかけていた。
そんな自分が嫌になる。
「そんなことないよ」
「私たちは私たちなりに責任もある」
それでも、そう簡単に割り切れるものではない。
それこそ、あれこれ考えずに電車に飛び乗れば良かった。
「弟から、今週末までもたないかもって」
「連絡が来た時でさえ・・・」
翌日の午後から施設に向かう予定でいた。
その判断が一生の後悔を生んだ。
「・・・で、施設に向かう途中に」
「弟から連絡がきた」
父が旅立った・・・と。
その訃報から約2時間後、父と再会した。
「本当は施設に向かってたんだけど」
「斎場になってさぁ・・・」
見舞いに行くつもりが、そのまま帰らぬ人になった。
「せめて看取りたかった・・・な」
「勝手な言い分だけどね」
父の顔を見た時、2か月前よりも痩せていた。
体格が良かった父だけにそのギャップもあった。
「もう、落ち着いた?」
「・・・そうだな、何だか気が抜けた感じ」
正直、そんな気持ちだ。
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