« ホタル通信 No.622 | トップページ | [No.1364-2]力強い手~第一部 »

[No.1364-1]力強い手~第一部

No.1364-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
“お父さんを頼むね”

その言葉が何度も頭をよぎる。
その度に後悔にも似た感情が押し寄せてきた。

「その言葉を俺は守れただろうか・・・」

「急だったね」
「本当は、今週末、行くつもりだったけどね」

父の容態が良くないと弟から連絡が来た。
元気ではなかったが、悪いということもなかった。

「甘く考えていたかもな」
「距離があることをいいことに」

父は4年前くらいから施設で暮らし始めた。
自ら入居を希望したからだ。

「仕方ないよ、遠いのは事実なんだから」

隣の県とは言え、施設までは3時間以上掛かる。
その距離が迷いを生じさせた。

「言い訳になるけど・・・ね」

今までも何度か容態が良くない時があった。
だから、また同じだろうとも考えていた。

「ただ、熱が下がらなくて」
「以前よりは緊迫したのも事実」

なのに都合よく考えていた。
少し違うが、“すっぱいぶどう”と同じだ。

「あれこれと考える自体、間違っている」

後先考えず行動すべきだった。
今・・・振り返るとだけど。

(No.1364-2へ続く)

| |

« ホタル通信 No.622 | トップページ | [No.1364-2]力強い手~第一部 »

(054)小説No.1351~1375」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ホタル通信 No.622 | トップページ | [No.1364-2]力強い手~第一部 »