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2026年4月

[No.1365-1]力強い手~第二部

No.1365-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「気が抜けた?」
「ある意味、これで良かったんだと」

母が亡くなってから父はすっかり元気を失くした。
それでも何とか実家で暮らしていた。

「でも、辛かったんだろうね」
「趣味も目が行かなくなって」

日に日に生きる気力を失っていた。
それは止めようがなかった。

「うちの場合もそうだったな」
「世間的にもそうなんだろうな」

父の興味を引くような話題も無駄に終わった。
結局、色々、重なり父は施設を選んだ。

「寂しかったというよりも」
「気力が湧かなかったからだと思う」

何もかも面倒で。
それこそ、食事の支度までも。

「特に男性はそうだろうね」
「そうそう、慣れてないもんね」

施設に入っても、ずっと母のことを考えていた。
時より、面会に行った時も上の空だった。

「母への想いが強ければ強いほど」
「それが逆に自分を苦しめる結果になって」

だから、ようやくそれから解放された。
まぁ、それは私の勝手な判断だけども。

(No.1365-2へ続く)

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[No.1364-2]力強い手~第一部

No.1364-2

「気持ちはわかる」
「でも、そう簡単にいかないのも事実」

父の命と仕事を天秤にかけていた。
そんな自分が嫌になる。

「そんなことないよ」
「私たちは私たちなりに責任もある」

それでも、そう簡単に割り切れるものではない。
それこそ、あれこれ考えずに電車に飛び乗れば良かった。

「弟から、今週末までもたないかもって」
「連絡が来た時でさえ・・・」

翌日の午後から施設に向かう予定でいた。
その判断が一生の後悔を生んだ。

「・・・で、施設に向かう途中に」
「弟から連絡がきた」

父が旅立った・・・と。
その訃報から約2時間後、父と再会した。

「本当は施設に向かってたんだけど」
「斎場になってさぁ・・・」

見舞いに行くつもりが、そのまま帰らぬ人になった。

「せめて看取りたかった・・・な」
「勝手な言い分だけどね」

父の顔を見た時、2か月前よりも痩せていた。
体格が良かった父だけにそのギャップもあった。

「もう、落ち着いた?」
「・・・そうだな、何だか気が抜けた感じ」

正直、そんな気持ちだ。

(No.1364完)
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[No.1364-1]力強い手~第一部

No.1364-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
“お父さんを頼むね”

その言葉が何度も頭をよぎる。
その度に後悔にも似た感情が押し寄せてきた。

「その言葉を俺は守れただろうか・・・」

「急だったね」
「本当は、今週末、行くつもりだったけどね」

父の容態が良くないと弟から連絡が来た。
元気ではなかったが、悪いということもなかった。

「甘く考えていたかもな」
「距離があることをいいことに」

父は4年前くらいから施設で暮らし始めた。
自ら入居を希望したからだ。

「仕方ないよ、遠いのは事実なんだから」

隣の県とは言え、施設までは3時間以上掛かる。
その距離が迷いを生じさせた。

「言い訳になるけど・・・ね」

今までも何度か容態が良くない時があった。
だから、また同じだろうとも考えていた。

「ただ、熱が下がらなくて」
「以前よりは緊迫したのも事実」

なのに都合よく考えていた。
少し違うが、“すっぱいぶどう”と同じだ。

「あれこれと考える自体、間違っている」

後先考えず行動すべきだった。
今・・・振り返るとだけど。

(No.1364-2へ続く)

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ホタル通信 No.622

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.688 私はそんなに偉くない
実話度:★★★★★(100%)
語り手:男性

タイトルだけでは思い出せなかったのですが、読んでみると「あーなるほど!」と。

この小説、よく出来ていると思いませんか?でも、実話度100%ですから、私の力ではありません。それこそ“神が与えてくれた小説”と言えるんじゃないかとw日常を小説風にするのが当ブログですから、ちょっとしたことでも拾っています。じゃないと、すぐにネタ切れになって行き詰ってしまいます。特にここ数年は常に危険水域で、ギリギリの攻防が続いています。

なので、このような天から降って来たようなネタは大変有難いです、本当に。小説の通り、聞き耳を立てているわけではないですが、常にネタを追い求めてはいるでしょうね。これを個人的には“感性”と呼んでおり、ネタを見つけられない、感じられなくなったその時は当ブログを終わらせるつもりです。
今は辛うじて続けられていますが、感性も鈍りつつある今日頃ごろで心配な反面、小さなことでも気付ける感性は逆に磨かれているかもしれません。

つい最近も、長らく通っているはずの会社の帰り道で、同じ日にネタを3つも仕入れることが出来ました。そんな日もあるんですよね。
Jt622
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[No.1363-2]その瞬間

No.1363-2

「案外、知らないものね」
「それは言えてる」

近くに居ながら気付かない。
なんか恋愛に似ている。

「なになに、急に恋バナ?」
「ち、違うわよ」

とにかく、たまにはいい。
こうやって意味もなく遠回りするのも。

「でも、あまりのんびりしてると」
「すぐ陽が落ちるわよ」

実際、少しづつ暗くなり始めている。
まぁ、これはこれで趣があるが。

「ん?」
「どうしたの?」

近くの1本の外灯に火が灯る。
その瞬間、見たことがない場面に遭遇した。

「・・・初めてみたかも」
「私もよ」

マンションの無数の屋外灯に火が灯る瞬間を見た。
J1363
(No.1363完)
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[No.1363-1]その瞬間

No.1363-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「やっぱり明るいといいよね」
「ほんとそう!」

春が近づくにつれ、18時頃でもまだ十分明るい。
そうなると、まだ家に帰りたくなくなる。

「寄ってく?」
「もちろん!」

空が明るいと一日が長く感じる。
一日の長さは変わらないはずなのに。

「風景が変わって見えるよね」
「言えてる」

見慣れた風景が違って見える。
それだけでも価値がある。

「少し遠回りしない?」
「賛成!」

駅までの道のりを時間を掛けて歩く。
普段通らない道をあえて行く。

「なんか新鮮!」
「隠れた名店を見つけたりしてw」

その可能性はある。
これから向かう店もかつてそうだったからだ。

(No.1363-2へ続く)

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[No.1362-2]年上の女の子

No.1362-2

「女子の方が成長が早いんじゃない?」
「色々な面で」

それは否定しない。
特に精神年齢は。

「男の子は無邪気に走り回ってる反面」
「その女の子は」

他の子たちをしっかりまとめていた。
リーダーシップを発揮して。

「だから思い出したんだよ」
「そう言えば居たな・・・って」

自分が小学生の時にも居た。
口うるさい学級委員長が。

「男子がだらしないからでしょ?」
「口うるさくなるのは」

そうとも言えるし、そうとも言えない。
女子はそんなことが好きなのだ。

「全世界の女子を敵に回すわよw」
「事実だろ?」

ただ、構われて嬉しかった記憶もある。
J1362
(No.1362完)
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[No.1362-1]年上の女の子

No.1362-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
その光景を見た時、口うるさい委員長を思い出した。

朝、小学生の集団に出会った。
どうやら集団登校する直前のようだった。

「よく観察してるわね」
「逆だよ、観察せざるを得なかったんだよ」

朝から、道路上を駆け回っていた。
そこを自転車で通行する必要があるのに。

「で、徐行してたら」
「色々、聞こえてきたんだよ」

ある女の子が年下であろう男の子を注意していた。
“ちゃんと並びなさい”と。

「なんで年下と分かるのよ?」
「ランドセルの大きさかな」

もちろんランドセルが大きいのではない。
体が小さいから大きく感じるのだ。

「どう見ても1年生w」
「女の子はしっかりしてるし」

身長も頭一つ分、大きかった。

(No.1362-2へ続く)

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ホタル通信 No.621

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.711 赤いシート
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:女性

小説のラストに書いている通り、赤いシートの名前ってあるんでしょうか?あらためてググってみると・・・。

ほぼ実話です。社会人になって勉強もままならない、とは書きましたが、それでも学生時代よりも勉強量は増えました。それに誰に言われるわけでもなく自主的に。今でもそうですが、多分、目的が大きく違うからだと思っています。社会人になると、大袈裟に言えば、生き抜きていくためには勉強は欠かせません。今の頑張りが、その昔にあれば違う人生があったんじゃないかな、と思うことも多々ありますw

さて、冒頭でググってみた結果です。掘り下げていませんが、どうやら「赤シート」らしいです。そのまんまですね、逆に安心しました。この赤シートは今でもお世話になっています。随分と勉強量は落ちましたが、それでも赤シートがあるだけで、何となく勉強している気にはなりますw
デジタルの参考者があるのかどうかは分かりませんが、デジタルなら、文字を隠したり出したりすることは簡単ですよね。でも、赤シート独特の使用感と言いますか、ひと手間必要なところに何か魅力を感じています。

今でも赤シートは現役で活躍していると思いますので、レトロではないのでしょうが、私にとっては色々と思い出が詰まっている“赤いシート”です。
Jt621
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[No.1361-2]方言の良いところ

No.1361-2

「てか、これ見て」
「チラシだよね?さっき見たじゃん」

いわゆるデジタルチラシと呼ばれるものだ。
さっき隅々まで見たばかりだ。

「店じゃなくて・・・」
「ほら、ここ」

友人が文字を指さす。
北海道展の言わばキャッチフレーズを。

「・・・これ」
「久しぶりに見たw」

見たと言えば良いのか、聞いたと言えばいいのか。

「懐かしい・・・」
「絶対、ここでは使わないw」

ただ、つい出てしまいそうにはなる。
便利な言葉だからだ。

「方言ってさぁ」
「その言葉でしか表せない気持ちがあるよね」

他の言葉では置き換えることができない。
出来たとしても、ピッタリではない。

「そうそう!なんかしっくりこないよね」
「あー思いっ切り“わや”って言いたい」
J1361
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[No.1361-1]方言の良いところ

No.1361-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「北海道展、やってるみたいだよ」

デパートで定期的に催す北海道展。
離れて暮らす道民としては楽しみで仕方ない。

「どんな店が来てるの?」
「ほら、これ」

友人がスマホを見せてくれた。

「○○来てるね!」
「久しぶりだよね!」

帰省の度に食べてはいる。
でも、それでも食べたい地元の味だ。

「他には?」
「どれどれ・・・」

友人も道民だ。
だからこそ、親しくなれた。

「この豚丼、美味しそう!」
「初めて聞く名前だね」

地元に居ても知らない店は多い。
いや・・・地元に居るから油断している。

「油断てw」

北海道展で知った店も多い。

(No.1361-2へ続く)

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