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2025年7月

[No.1337-2]セミの恩返し

No.1337-2

「でも、大丈夫よ!」
「何の根拠もないけど」

今は根拠がなくてもいい。
その言葉だけで十分だ。

「せっかく自由になれたのに」
「その直後は・・・せつない」

ただ、食べられてしまったと決まったわけじゃない。
生き延びていると信じたい。

「たかがセミだけど」
「出会ってしまったからねw」

なぜだかセミと縁がある。
あれだけ数も居ればそうなっても不思議ではないけど。

「繰り返しになるけど」
「彼ならきっと大丈夫!」

いつの間にか、あのセミはオスになっていた。
まぁ、それもありだ。

「そうね・・・そうだよね?」
「そうそう!」

きっと生き延びている。
そう信じることにした。

会社帰り、自宅近くでセミが鳴いている。

「・・・ねぇ、君なの?」

その声に一匹のセミが“おしっこ”で反応した。
J1337
(No.1337完)
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[No.1337-1]セミの恩返し

No.1337-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「どうしたの?考えごと?」
「・・・まぁね」

昨日の今日のことだ。
多少、心配にはなる。

「まさか・・・あのセミ?」
「そのまさかw」

確かに元気に飛び立って行ってくれた。
でも、気になることもあった。

「気になること?」
「元気だったんだよね?」

元気だったのは間違いない。
それに関しては何の心配もしていない。

「じゃあ、なに?」
「ほおりなげた直後に・・・」

カラスが数匹、視界に入ってきた。
最悪のタイミングで。

「まさか・・・」
「そこまでは分からなかったんだけど」

ただ、狙っていたような気もする。
セミが飛んで行った方にカラスも向かったからだ。

「それは心配ね・・・」
「でしょ?」

手放した瞬間、厳しい世界が待っている。
弱肉強食の世界が。

(No.1337-2へ続く)

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[No.1336-2]振り向かずに

No.1336-2

「ちょっとジタバタされちゃったけどね」
「そりゃそうでしょw」

こんな元気なセミを捕まえたのは初めてだった。
大人になってからは。

「私は絶対に無理!」
「そう?案外可愛いわよ」

それにいつもと違って力強さも感じた。
それこそ、野生の力を。

「あなたの方が野生よ」
「そう?」

別に虫が好きなわけじゃない。
けど、年々、虫に対する見方が変化している。

「命は命よ、どんなに小さくても」
「・・・だね」

短い命を今謳歌している彼らだ。
一日でも長く生きて欲しい。

「それで、そのセミは?」
「もちろん・・・」

ほおりなげた、7階の窓から

「元気に飛び立って行ったわよ」
「そっか!」

あれだけ元気なら問題ないと思った。
事実、その通りになった。

「ただ・・・」
「振り向かずに飛び立って行ったけどねw」
J1336
(No.1336完)
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[No.1336-1]振り向かずに

No.1336-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
やけにセミの鳴き声が近い。

「もしかして・・・」

予想通り、セミが窓際で暴れていた。

「今年は早かったわね?」
「そうなんだよね」

いつもなら、8月に入ってから彼らに出会う。
出会うと言っても少し特殊な場所と状態で。

「ただ、今年は今までと違ったの」
「違った?」

例年、住んでいるマンションの7階でセミと出会う。
そして今年も出会った。

「うん、超元気だったのw」

いつもの彼らは息も絶え絶えだった。
命の火がいつ消えてもおかしくない状態だ。

「今日のセミは・・・」
「元気に鳴いてたわよw」

エレベーターホールの窓が開いていた。
多分、ここから迷い込んだのだろう。

「出られずに右往左往してて」
「思わず捕まえちゃったの」

びっくりするくらい簡単に。

「相変わらずねw」
「尊敬しちゃうわよ」

毎年、こういわれているような気がする。

(No.1336-2へ続く)

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