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2025年3月

ホタル通信 No.602

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.666 気合
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:男性

この小説はある試験の会場での出来事を描いたものです。ある・・・とは書きましたが、隠す必要もなく英語の試験です、有名な。

さて、僕はと言うと・・・一応、勉強はしていたものの、悪い意味で緊張していませんでした。まぁ、そんなに良い結果が出ないことは分かっていましたから。ところが、髪の長い女性陣は髪を後ろで束ね始めて、まるでいざ出陣!と言わんばかりの気合の入りようでした。僕と違って緊張もあったと思います、もちろん、勉強の成果がきちんと出せるか・・・そんな緊張だったと思います。

そんな光景を羨ましくもあり、また、美しくもありという感じで見ていました。ある意味、余裕でしたね。結果が分かっているだけにw
でも、身が引き締まる思いもあり、ちゃんと勉強しないといけないと言う気持ちにもさせられました。本来は周りが見えないくらいに集中しないといけないですよね。残念ながら諸事情もあって、それは実現することなく、終わりを告げてしまいました。

ですが、今は別の資格に向けて勉強中です。ただ、デジャヴのようにあの時と同じく、超スローペースですがw
Jt602
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[No.1323-2]桜咲く

No.1323-2

「皮肉なものねw」
「たしかにねw」

最後の最後で桜が気になった。
理由は分からないけど。

「来年は・・・お互い違う場所で・・・か」
「・・・そうだね」

お互い別々の大学に進むことになった。
だから、来年の今頃はそれぞれの場所で桜を見ることになる。

「もう少し桜を楽しんでいかない?」
「賛成!」

数分で通り過ぎる道を時間を掛けて歩く。
時々、立ち止まりながら。

「来週には散りそうね」
「うん」

その頃にはお互い新天地に居る。
そして新生活が始まる。

「もしかしてお祝いしてくれた?」
「・・・桜が?ないないw」

むしろ、気付かずにいた私たちに何かを教えてくれた。

「桜・・・咲く・・・か・・・」
J1323
(No.1323完)
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[No.1323-1]桜咲く

No.1323-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あっ!」
「あっ!」

友人とほぼ同時に声が出た。
申し合わせたわけじゃないのに。

「うそでしょ!?」
「・・・だよね」

朝、学校に来た時には咲いていなかった。
でも、帰りなったら八分くらい咲いている。

「今日は暖かかったけど」
「こんな短時間で咲くの?桜って・・・」

私も同じ疑問を持った。
確かに朝は咲いていなかった。

「咲くみたい・・・だね」
「こんなこと初めてかも」

今年で3年目だ。
こうして桜の開花を目にするのは。

「今まで気にしてなかっただけ?」
「それもあるわね」

桜は見慣れている。
それに咲こうが散ろうが私たちには関係なかった。

(No.1323-2へ続く)

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[No.1322-2]時を知る

No.1322-2

「何だか分かったような」
「分からないような・・・」

毎朝、同じ時間の同じ車両で出会う人が居る。
原理はそれと同じだ。

「その人も同じ時間に?」
「そうよ、毎日ではないけど」

さすがに電車のようにはいかない。
お互い、自転車だから。

「向こうも出掛ける時間はいつも同じみたい」
「だから、決まった時間に出会うわけね?」

少なくとも5年は続いている。
決まった時間にすれ違う行為が。

「だから、その人とすれ違えば」
「いつもの通りだということか・・・」

言い換えればすれ違わないと遅れている。
多分、わたしの方が。

「ある意味便利ねw」
「そうね、時計代わりにして申し訳ないけどw」

そう言うと同僚がクスクス笑い始めた。

「なによ?」
「いや・・・今は11時半頃かなってw」

何の脈略もなく、時間を言い当てた。
J1322
(No.1322完)
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[No.1322-1]時を知る

No.1322-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・いつも通りね」

家を出るのが少し遅れた。
でも、いつものと同じ時間に会社に着くだろう。

「何で分かるの?」

同僚に朝の出来事を話した。
遅れてもいつも通り着くであろう根拠を。

「簡単よ」
「答えは・・・すれ違う人」

やや困惑した顔をしている。
でも、すぐに閃いたような顔に変わった。

「すれ違う人が声を掛けてくれるんだ!」
「な、わけないでしょw」

確かにほぼ毎日、同じ人にすれ違う。
だからと言って、知り合いではない。

「違うんだ・・・」
「そんなに自信あったの!?」

ただ、考えようによっては当たっている。
声を掛けてはくれないが。

「当たってる?」
「そうよ」

その人の存在自体が重要なんだ。

(No.1322-2へ続く)

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ホタル通信 No.601

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.690 最後の手紙
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

話のきっかけはあるものの、実話度はかなり低めです。何だか分かったような分からないような・・・散らかった小説ですね。

かなり前の小説なので覚えてはいませんが、かなり苦労して作った感じが出ています。恐らく何も考えず作り始めたものの、オチが思いつかず、苦し紛れの一撃を!みたいな感じです。時々、「なんでこんな小説を作ったんだろう?」と思うことがありますが、この小説もまさしくそうであり、読み返してみても何だかよくわかりませんw

冒頭、きっかけ・・・と書きましたが、高校時代に小説と似た経験をしたことがあり、それをモチーフして書き始めたものの、書けば書くほど嘘っぽくなり、それなら・・・と思い、どんどん事実から遠ざかって行きました。もしかしたら、ある事実から逃げたかったのかもしれません。それが意識的なのか無意識なのかは別にしても。

ある事実・・・彼から渡された手紙、そこに書かれていたのは・・・。もちろん、ハッピーエンドではないことは容易に想像できるでしょうw
Jt601
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[No.1321-2]きれいな夕焼け

No.1321-2

「ワクワク?」
「そう!ワクワク!」

夕焼けは晴れ。
明日、晴れる。

「と、言われてるのは知ってるけど」
「実際そうなの?」

100%そうなのかは知らない。
でも、雨が降った記憶はない。

「自然に口から出ちゃうのよね」
「“明日は晴れだって”」

だから何だか嬉しくなる。
雨よりは晴れの方がいい。

「たしかに」
「晴れなら出来ることも多いし」

だからワクワクする。
表現が正しいかどうかは別にしても。

「じゃあ、明日は晴れね?」
「あっ!そうだねw」

明日は何をしようか・・・。
ワクワクしてきた。

「私もw」
「・・・ほんと・・・きれいな夕焼けね」
J1321
(No.1321完)
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[No.1321-1]きれいな夕焼け

No.1321-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
学校帰り、目の前にきれいな夕焼けが広がる。

「綺麗だね!」
「ほんと息を呑むくらい・・・」

これぞ夕焼けと言わんばかりの茜色の空だ。
加えてまばらな雲が良いアクセントになっている。

「久しぶりに見たよね?」
「そうだね」

それもそのはずだ。
随分、陽が落ちるのが遅くなってきたからだ。

「あっ!そうか!」
「春が近付いているもんね」

部活の関係で帰るのが遅くなる。
最近まで帰り道は明るい月が出ていた。

「帰る時間は変わってないけど」
「季節は変わってきている」

表現に韻を踏んでみた。
我ながら良い表現だと思う。

「上手いこというねw」
「でしょ?」

これからしばらくは夕焼けをみる機会が増えるだろう。
ただそれだけなのに何だかワクワクする。

(No.1321-2へ続く)

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[No.1320-2]降ってきたらどなたでも

No.1320-2

「でも、なんであそこに・・・」
「私たちのためじゃない?」

駅から会社までにはそこそこ距離がある。
だから誰かが置いてくれたんだ。

「都合よく考え過ぎじゃない?」
「この辺りに会社なんていくらでもあるじゃん」

根拠はない。
でも、なぜかそんな気がする。

「じゃあ、会社の誰かが?」
「かもしれない」

意外に傘は溜まる。
私もロッカーの中に4~5本入っている。

「ビニール傘だけど」
「分かる分かる」

急な雨で仕方なく傘を買う。
それが積もり積もって・・・のパターンだ。

「もしかして・・・やっかい払い?」
「その可能性はある」

捨てるのは忍びない。
だからと言って使いもしない。

「・・・・私も提供しようかな」

降ってきたらどなたでも。
J1320
(No.1320完)
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[No.1320-1]降ってきたらどなたでも

No.1320-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
通勤途中の一角にそれはある。
誰が設置したか分からないが・・・。

「それ知ってる!」
「確か1年前くらいからだよね?」

私の記憶でもそれくらいだ。
1年前くらいにそれが置かれていた。

「誰が置いたんだろうね?」
「さぁ・・・それは不明」

あるときから傘が数本置かれるようになった。
ゴミ箱ような傘立てと共に。

「まぁ、有り難いんだけど」
「使う気にはならないよね」

その傘立てにはこう書いてある。
“降ってきたらどなたでも”

「確かにw」
「使った途端、料金を請求されそうw」

もちろん、そんなことはない。
でも、そんな怪しげな雰囲気はある。

「置いた人に怒られるわよw」
「だねw」

善意だとは分かっている。
余った傘を無償で提供したのだろう。

(No.1320-2へ続く)

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ホタル通信 No.600

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.563 勿忘草
実話度:★★★★★(100%)
語り手:男性

一部、脚色していますが、ほぼ事実です。ネット上で知り合い仲良くなりました。尚、不適切な関係ではありませんのでw

最初はチャットでやり取りしていましたが、同じ地域に住んでいたこともあり、実際に会ってみよう・・・という流れに自然になりました。小説では“奈央”が本名のように扱われていますが、本当のところは不明なんです。チャット上のハンドルネームが綾、そして僕と会って明かしてくれた名前が奈央。でも、これさえも偽名かもしれません、悪意はないと思いますが。

小説では全く触れていませんが、彼女、かなり複雑な家庭環境で育っており、苗字は何度も変わっていたそうです。だからこそ、嘘か本当かは分かりませんが、下の名前を教えてくれたんだと思います。彼女にとって唯一変わることがない大切な名前・・・それが奈央でした。ただ、そう長くは関係は続かず、自然消滅のような感じで彼女は姿を消しました。そんな過去を秋晴れの空の下、思い出している小説でした。

今でも時々、思い出すことがあります。決して交わることがない世界で生きてきた二人が出会ってしまった・・・大袈裟ですがw
Jt600
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[No.1319-2]緑のおばさん

No.1319-2

「で、どうしたの?」
「まぁ・・・あれだ・・・」

煮え切らない返事になるのは後ろめたさがあるからだ。

「挨拶、返してないの!?」
「・・・うん」

その人の前を通り過ぎるなら挨拶してもいいと思う。
でも、そうはならない。

「別にいいじゃん!」
「離れてても」

そう言う気持ちがないわけではない。
ただ・・・。

「ただ・・・なによ?」
「恥ずかしいだろ?」

小学生たちのように元気ではいられない。
一応、体裁が気になる。

「体裁・・・ってw」
「せっかく、声を掛けてもらってるんだからさ!」

とは言え、やっぱりテレがある。
それこそ小学生たちも居るわけだし。

「その人・・・待ってるかもね」
「あなたからの返事を」

そう言われると・・今度、返して見ようか、挨拶を。
J1319
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[No.1319-1]緑のおばさん

No.1319-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
“おはようございます”と聞こえてきた。
小さな交差点の向こうから。

「緑のおばさん・・・って言えばいいのかな?」
「ほら、通学の安全確保している人」

さすがに“緑”ではないが、役目は同じだ。
黄色い旗を持ち、横断歩道に立っている。

「私の家の近所にも居るわよ」
「小学校が近いせいもあって」

そのおばさんらしき人から声を掛けられた。
“おはようございます”と。

「小学生に間違われた?」
「笑えないw」

どこをどう見ても高校生だ。
小学生の欠片も見当たらない。

「それに僕は・・・」

その人が立つ交差点の手間で曲がっている。
つまり、その人とはかなり距離がある。

「だから最初は」
「誰に言ってるのかな・・・と」

だから気付くのが遅れた。
それが僕に向けられていることに。

(No.1319-2へ続く)

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[No.1318-2]吠える犬

No.1318-2

「でも、ここ数年は・・・」

人間で言えばおじいちゃんだ。
さすがに体力に衰えが見え始めた。

「そうなるよね」
「でも、長生きして良かったじゃん」

幸い大きな病気にもならずに済んだ。
それが長生きに繋がったと思う。

「昔はうっとおしかったけど」
「居なくなると・・・ね」

余計に寂しくなる。
なんなら、ずっと吠えていて欲しかった。

「・・・だね」
「あぁ・・・」

遅かれ早かれ別れはくる。
それは生き物である以上、避けられない事実だ。

「母に一番なついていたから」
「母の隣に写真を飾ることにした」

今頃、天国で母と再会している。
・・・きっとそうだ。

「もう、吠えるなよw」

いや・・・思う存分、吠えていいぞ。
J1318
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[No.1318-1]吠える犬

No.1318-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
実家で長年飼っていた犬が死んだ。
かれこれ15年以上、生きた。

「あの吠えるワンちゃん?」
「そうだよ」

吠える・・・今となっては懐かしい。
子犬の時代からよく吠えられたものだ。

「俺なんか部外者だから」
「狂ったように吠えられたなw」

吠え癖があるせいで売れ残っていた。
でも、何かの縁で家にやってきた。

「姉が買ってきたんだよね」
「物好きだよなw」

俺は実家を離れていたから完全によそ者だ。
帰省の度、長時間吠えられた。

「だからさ」
「全然可愛くないw」

実家に住む父と母。
そして、姉夫婦とその子供だけになついていた。

「それでも・・・」

徐々に仲良くなった。
元気なころには散歩に連れ出すこともできた。

(No.1318-2へ続く)

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ホタル通信 No.599

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.562 涙の量
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

その昔はこの手の小説をよく作っていました。小説を作る何らかのきっかけはあったと思いますが、実話度が示す通り、全て創作です。

経験がなかったわけではないものの、多分、ドラマや映画の影響で生まれた小説だと思います、自分で言うのも何ですが。涙・・・は小説向きと言うか、色々な展開が出来ますよね。その中でも“涙が枯れる”なんて王道中の王道でしょう。ただ、記憶は定かではありませんが、オチが最初から決まっていたわけではなく、書きながら流れに任せたような感じです。

流す涙の量には限界がある・・・これが涙が枯れる原因と思いきや実はそのうち泣こうにも泣けなくなる。遠回しに女性の強さを表現してみました。ただ、その強さは揺るぎないものではなく、“どうでもいい”と言う冷めたもので、女性の切り替えの早さも表現してみました。この辺りは冒頭に書いた通り、ドラマや映画の影響が随所に出ていると思います。

今はなぜかこんな小説を書かなくなりました。理由は特にありませんが、筆が進まないんですよね、不思議とw
Jt599
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[No.1317-2]追いかける少女

No.1317-2

「待ってあげたらいいのに」
「当然、そう思うよな?」

多分、最初はそうだったと思う。
ただ、それが続いたんだろうとも思う。

「それって親の問題?」
「さぁ、どうだろうね」

と言いつつも何となく答えを持っている。
わずか1分ほどの差に答えがある。

「1分に?」
「そうだよ」

その女の子はわざと遅れているのだ。
出発時刻に。

「それって変じゃない?」
「だったらなんで小走りになるの?」

その疑問ももっともだ。
わざと遅れて、後から追いかける・・・確かに変だ。

「簡単に言えば」
「シャイなんじゃないかな」

当り前だが8時前に皆が集合する。
でも、かなり前から来ている人も居るはずだ。

「照れ屋さんなんだ・・・」

だから、皆が動き出してから合流しようとする。
それなら、さほど会話を必要としない。

「昔の僕と同じだよw」
J1317
(No.1317完)
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[No.1317-1]追いかける少女

No.1317-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
出社時間が変わったことで出会う人も変わった。
その一人がある少女だ。

「何だか意味深ね・・・」

朝、集団登校中の小学生たちに出会う。
10名居るか居ないかの集団だ。

「で、そこから少し遅れて女の子が・・・」
「小走りに目の前を通り過ぎるんだよね」

最初は別に気にも留めなかった。
でも、それが何日か続いた。

「さすがにおかしいと?」
「そうなるだろ?」

ただ、のけ者にされているような感じではない。
単に女の子が遅れているだけだと思う。

「どうしてそう思うの?」
「時間だよ」

僕は7時55分を過ぎた頃に7階のエレベータ-に向かう。
待ち時間もあるから、1階には8時ちょっと前に着く。

「そしたら小学生たちが丁度やって来て・・・」
「だから多分、8時出発」

その出発時間に遅れているのだ。
その女の子は。

「名推理ね!」
「かもなw」

その集団から遅れること約1分という感じだろうか。

(No.1317-2へ続く)

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[No.1316-2]歯を抜く

No.1316-2

「順調よ」
「ちょっと、違和感があるけどね」

二十数年、付き合ってきた歯だ。
無くなるとさすがに違和感がある。

「そりゃそうよ」
「しばらくは違和感が続くと思うよ」

同僚にしてはしごくまともな意見だ。
たまには良いことを言う。

「何よ、“たまには”ってw」
「まぁ、当たってるけど」

同僚曰く、自分も抜いた経験があるという。
しかも、調子が悪かったみたいだ。

「腫れちゃって」
「それは大変だったね」

幸い私はこの通り元気だ。
それも“やけに”らしい。

「すっきりした?」
「それはそうね」

ここ1年、不快感が続いていた。
それが綺麗さっぱり取り除かれたからだ。

「不快感も歯もw」
「上手いこというわねw」

ただ、寂しい気もある。
あったものがなくなるということは。
J1316
(No.1316完)
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[No.1316-1]歯を抜く

No.1316-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「おはよう!」
「・・・今朝はやけに元気じゃない?」

他人にはそう見えるらしい。
そのつもりはないのだが。

「男でもできたの?」
「あのね・・・」

すぐそっちの話題に持ち込もうとする。
同僚の悪い癖だ。

「せめて“彼”っていいなさいよ」
「出来たの!?」

ただでさえ気分が乗らない月曜日だ。
輪をかけて疲れる、朝から。

「否定するのも面倒だわ」
「歯を抜いたの!」

昨日、歯を抜いた。
親知らずを1本。

「さっ!仕事、仕事!」
「詳しく聞きなさいよw」

朝からコントをしているようだ。
息の合った相方と。

「冗談よw」
「で、経過はどうなの?」

さすが相方・・・ではなく同僚。
一応、体調を気遣ってくれる。

(No.1316-2へ続く)

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ホタル通信 No.598

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.691 車のゲーム
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:男性

この話、意味が分かると怖い話ではありませんが、それに似たようなオチが付いていますね。

さて、車のゲームに関する部分は事実です。時々、地元の動物園が入場無料になることがあって、その時、よくそのゲームで遊んだものです。
もしかしたら今でも古めの遊園地や温泉宿にありそうです。車はその場に固定されており、ハンドルを回すと車体が右や左に向きを変えるだけのシンプルなものでした。蛇行した道が動くのでその道にあわせてハンドルを回すわけです。

記憶は定かではないのですが、ただただ動く道にあわせて車を傾けるだけなので、特に上手い下手を判定するシステムもなく、得点もありませんでした。一定の時間動いて、それが過ぎれば止まるだけでした。それでも嬉しかったんですよ、家庭にゲームなんかなかった時代でしたから。1ゲーム、10円か20円くらいだったと思います。今思えば“たったの10円”ですが、当時はそれでも贅沢でした。

今でもその写真はあります。でも、今は懐かしいと言うより、少し寂しい気持ちになります。そこに今は亡き、母も写っているからです。
Jt598
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