[No.1306-2]モノラルラジオ
No.1306-2
「寂しい?」
安物のラジオに耳を傾ける。
そこから、こもった音楽が聞こえてくる。
「自分にとってはそれが音楽だったな」
「音はよくなかったけど」
それが昭和という時代だ。
その昭和の音楽がこうやってクリアに聞ける。
「それが・・・・なんていうか」
「思い出すものも思い出せないw」
大袈裟だけど。
「まぁ、分からなくもないけど」
「やっぱり、音楽はクリアに聞きたいじゃん!」
今は逆のエフェクトを掛けないとこもった音で聞けない。
そんなやつは皆無だろうけど。
「じゃ、安物のラジオを買うか」
「イヤホンで聞けばいいじゃん!」
なるほど・・・難しく考え過ぎていた。
あの時と同じように片耳のイヤホンを使えば・・・。
「これあげる」
「なんで持ってるんだよ!?」
こうなることを知っていたかのようなタイミングだ。
「前から思ってたの」
「もしかしたら・・・なんて」
(No.1306完)
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