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2025年1月

[No.1308-1]当り前じゃない

No.1308-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
それは当り前の行為だ。
だからと言ってスルーするのは違うと思う。

「何の話?」
「交通ルールの話w」

信号機がない横断歩道の話だ。
横断しようとする人が居れば車は・・・。

「・・・手前で一時停止だっけ?」
「正解!」

とは言え、止まってくれる車はほとんどいない。
本当に“稀に”止まってくれる。

「数か月に1ヶ月くらいかな」
「止まってくれるの」

通勤経路にそんな横断歩道がある。
平日、毎日そこを通っているからこその話だ。

「ところで、当り前って?」
「そうだったわね」

止まってくれる車はルールを守っている。
ごく当たり前の行為だ。

「別に偉くはないよね?」
「・・・でもね」

何もせず、その場を通り過ぎる気にならない。

(No.1308-2へ続く)

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ホタル通信 No.594

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.557 うつむき加減
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:男性

タイトルだけでは思い出せない小説がありますが、これもそのひとつです。

実話度が示す通り、概ね事実な小説です。通勤途中に会う女子高生が妙に意識していると言うか、何となく照れ隠ししているようなことが小説のきっかけです・・・とは言え、大いに勘違いしている可能性もなくはありませんw
通勤途中ですれ違う人の中に女性は何人も居ますが、なぜ彼女に目が行ったのか・・・それには分かりやすい理由が存在します。

顔がタイプと言いますか、昔の彼女に似ていました。つまり、意識をし始めたのは私の方が先だったわけです。そう考えると、自分に都合よく考えてしまったのかもしれませんね、色んなことを。
ただ、向こうは向うで確かに何かを意識していました。別に私が熱視線を送っていたわけでもないので、あくまでも向こうの都合です。とは言え、出会いを求めていたわけでもなく、青春時代を思い出していただけかもしれません。

実はこの女子高生を描いた小説がもうひとつあります。当然、高校生ですからいずれ卒業するわけです。春の訪れと共に彼女とすれ違わなくなりました。それが嬉しくもあり、ちょっと寂しくもあり。
Jt594
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[No.1307-2]イメージ

No.1307-2

「煙突ってあの?」
「“あの”以外ないでしょw」

雪国のストーブは煙突式がメインだ。
ファンヒーターはあってもサブ暖房だ。

「そうなんだ・・・」
「だから家の中は南国w」

だから薄着になる。
暑いから。

「矛盾してない?」
「そうなのよねw」

ビールやアイスが売れる、夏よりも。

「なにそれw」
「これで分かったでしょ?」

つまり、家の中の環境が良すぎるのだ。
寒さに強くなるどころか弱くなる一方だ。

「なるほど・・・理解したわ」
「むしろ、こっちの人よりも寒さに弱いかもw」

とにかくイメージだけで決めつけてはいけない。

「ごめん!謝る!」
「そこはギャグで返さなきゃ、大阪人でしょ!?」
J1307
(No.1307完)
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[No.1307-1]イメージ

No.1307-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「さむっ!」
「意外だね」

その言葉を口にすると決まって返ってくる。
“意外”という言葉が。

「そう返ってくると思ったわ」
「あら、そうなの?」

雪国の生まれはそう思われている。
寒さに強いと。

「強くないの?」
「その逆よ!」

確かに外は寒い。
でも、家の中は暑い。

「暑い?」
「どういうことなの?」

雪国だけに暖房設備は充実している。
ストーブだって火力が全然違う。

「うちにもストーブくらい・・・」
「煙突ある?」

友人がキョトンとする。
イメージできていないようだ。

(No.1307-2へ続く)

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[No.1306-2]モノラルラジオ

No.1306-2

「寂しい?」

安物のラジオに耳を傾ける。
そこから、こもった音楽が聞こえてくる。

「自分にとってはそれが音楽だったな」
「音はよくなかったけど」

それが昭和という時代だ。
その昭和の音楽がこうやってクリアに聞ける。

「それが・・・・なんていうか」
「思い出すものも思い出せないw」

大袈裟だけど。

「まぁ、分からなくもないけど」
「やっぱり、音楽はクリアに聞きたいじゃん!」

今は逆のエフェクトを掛けないとこもった音で聞けない。
そんなやつは皆無だろうけど。

「じゃ、安物のラジオを買うか」
「イヤホンで聞けばいいじゃん!」

なるほど・・・難しく考え過ぎていた。
あの時と同じように片耳のイヤホンを使えば・・・。

「これあげる」
「なんで持ってるんだよ!?」

こうなることを知っていたかのようなタイミングだ。

「前から思ってたの」
「もしかしたら・・・なんて」
J1306
(No.1306完)
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[No.1306-1]モノラルラジオ

No.1306-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「浮かない顔ね?」
「そ、そうか・・・」

別に悩みごとがあるわけではない。
あることに満足がいかないからだ。

「満足いかない?」
「あぁ、今、音楽聞いているだろ?」

YouTubeでたまたま流れてきた音楽を聴いている。
もちろん、とてもクリアな音で。

「そりゃそうでしょ」
「今の時代」

確かにその昔はクリアな音にこだわった。
古い話になるが、良いカセットテープを使ったりして。

「ふるっ!」
「いいだろ?」

クリアな音に飢えていた時代だ。
蛇口をひねればクリアな音が聞こえる時代ではなかった。

「語彙力すごっw」
「でも、確かにそうね」

今はテレビもラジオもスマホも・・・みな音がいい。

「それが不服?」
「不服というより・・・」

なんか寂しい。
うまく言えないけれど。

(No.1306-2へ続く)

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ホタル通信 No.593

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.617 ある猫の物語
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

超短編の冬のホタルにおいて、さらにその上を行く短編です。もしかして、一番短い小説かもしれません。

書いてあることは事実なんですが、それはニュースを通じて知りえた情報であり、実際に“その駅”に行ったことはありませんが、猫好きの私とっては外せないニュースのひとつでした。そのニュースと目の前の光景をクロスさせた小説です。

目の前の光景・・・野良猫がのんびりと日向ぼっこをしている光景です。地域猫とまでは行きませんが、有志がちょっと面倒を見ているようなそんなエリアがあり、そこに数匹の猫が暮らしています。駅長として活躍している猫、そして目の前の自由な猫・・・それがあまりにも対照的であったため、こんな小説にしてみました。
皆にスターのように愛される猫も居れば、公園の陰でひっそりと生きている猫も居る。私はどちらかと言えば後者の猫に惹かれます。

今日も街のどこかの片隅で小さな命が息づいている。そして知らず知らずの内に消えて行く。彼らはそれほど大袈裟には考えていないでしょうがw
Jt593
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[No.1305-2]健康一択

No.1305-2

「本当にありきたいね」
「だから言ったろ?」

40代になると、健康を気にするようになった。
仕事以上に。

「健康だから仕事もできる・・・でしょ?」
「その通りだよ」

別に大きな病気をしたからではない。
ごく自然に健康を気遣うようになった。

「何年も前から健康一択だよ」
「神様にお願いすることは」

欲望にまみれていたあの頃が懐かしい。

「あはは!かもね」
「さすがに物欲は減ったよw」

でも、大事なことがある。
健康は健康でもあることが伴ってこそだ。

「あること?」
「そうだよ」

一人ではなく二人。
これから先もずっと。

「・・・ふふ」
「笑うなよ」

照れくさいけどこれは本心だ。

「笑ったのは私と同じだからよ」
J1305
(No.1305完)
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[No.1305-1]健康一択

No.1305-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「なにお願いしたの?」
「ありきたりなことさ」

毎年、1月2日に近くの神社に行く。
もちろん、初詣が目的だ。

「ありきたり?」
「いっぱいあるわよw」

20代の頃は欲望にまみれていた。
お金が欲しいとか、彼女が欲しいとか。

「えっ!?今も?」
「さすがにないない!」

30代になれば仕事に関する願い事に変わる。
○○が成功するようにとか、課長になりたいとか。

「意外だね」
「なんだよ、それw」

でも、不思議なもので願い事も年代によって変化する。
特に意識はしていないのに。

「じゃ、今は?」
「というか、さっきはなに?」

話がもとに戻った感じだ。

「健康だよ」
「健康!」

今年一年・・・健康でいられるよう、お願いした。
いや、本当は来年も再来年もだけど。

(No.1305-2へ続く)

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[No.1304-2]ワイハイ

No.1304-2

「書かれてない?」
「そんなこ・・・あっ!」

ようやく気付いたようだ。
似てるようだけど結構違うその言葉を。

「・・・ワイハイ」
「恥ずっ!」

単なる打ち間違えと言えばそれまでだ。
でも、そうとは思えない感じがする。

「ワイフ・・・と打ったら」
「予測変換でWi-Fiって出なかった?」

絶対とは言えないけど僕の場合は出る。

「・・・覚えてない」
「まぁ、いいじゃん!ワイハイでもw」

もちろん何も問題ない。
むしろ、大いに笑わしてもらったくらいだ。

「だからニヤニヤしてたの?!」
「ごめんごめん!」

最初見た時、ハワイの話でもしたのかと思った。
文字数は違うがパッと見た感じは同じだ。

「ハワイ・・・ってw」
「何だよ、自分でも笑ってるじゃんw」

ワイハイ・・・ダメだ・・・頭から離れない。
J1304
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[No.1304-1]ワイハイ

No.1304-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
思わず笑ってしまった。
その言葉を見て。

「さっきからなにをニヤニヤしてるのよ?」
「そ、そうか・・・」

どうやら顔に出てしまったようだ。
無意識のうちに。

「気になるわね・・・」
「なんでもないよw」

・・・と否定したそばから笑ってしまった。
もう隠しきれないようだ。

「隠しきれない?!」
「なんか私したの?」

すかさずスマホを見せる。
さっき彼女が送ってきたLINEの画面を。

「・・・これがなに?」
「よく見て見ろよw」

一応、見ているが不服そうだ。
まぁ、自分が送ったものだから仕方ないが。

「“ワイファイが飛んでない”って書いてあるだろ?」
「そうだよ」

そう・・・言葉で言えばワイファイだ。
でも、そこにはそう書かれてはいない。

(No.1304-2へ続く)

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ホタル通信 No.592

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.547 あきらめた雨男
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:男性

実話度的には20%にしていますが、ほぼ創作です。雨男だという事実だけで色々創作している小説のひとつです。

でも、雨男だという事実・・・とは変な話ですよね。まるで雨男が科学的に証明されているかのような口ぶりです。まぁ、自称“雨男”だという前提でお付き合いください。冒頭、創作だと書きましたが、起こる現象は事実です。外に出たら雨がポツリ、中に入れば雨が止む・・・勘弁してくれよ!ということが続けば雨男だと疑ってしまうのも当然です。

何度も書いていますが、雨男、雨女にまつわる話はよく書いています。ただ、最近はどうやらその神通力を薄れてきているようで特異な現象は起きていません。そもそも、偶然の産物だったと言えばそれまでですが、そう簡単に片づけられないのも事実です。
今回の小説は雨男の話をダラダラと続けながら、あきらめムードを漂わせ、それをいつもの恋愛系に結び付けるオチです。

雨男、雨女・・・もちろん、科学的な根拠はないのですが、外に出た途端、乾いた道路に大粒の雨がポツリとひとつ・・・空の上から誰か見てましたか?
Jt592
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[No.1303-2]吹き溜まり

No.1303-2

「ほら・・・案外、かたまってない?」
「一か所に」

確かに風が吹くと落ち葉は飛ばされる。
でも、不思議なほど一か所に集まってくる。

「ここも、あそこも」
「・・・そう言われるとそうね」

ある落ち葉は植え込みに。
また別の落ち葉は建物の陰に。

「風が運んでくれるんだよね」
「掃除しやすいように」

だから案外、苦労しない。
まぁ、時と場合によるが。

「随分、詳しいと言うか・・・」
「何か怪しいなw」

さすが友人・・・と言えばいいのか。
それとも・・・。

「別に何もないわよ」
「単なる吹き溜まりの話をしただけ」

もう、彼と別れて3年が過ぎようとしていた。
あの日も風が強かったっけな。

「ほんと?」
「・・・それならいいけど」

公園のベンチにも吹き溜まりが出来ていた。
J1303
(No.1303完)
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[No.1303-1]吹き溜まり

No.1303-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「すごい落ち葉ね」
「そりゃそうよ」

最近、グッと寒くなってきた。
一段も二段も。

「掃除も大変だろうね」
「確かに」

それほど広い公園ではない。
でも、木々の数は相当なものがある。

「自宅の落ち場でも苦労してるのにw」
「わかるw」

ただ、それほど苦労せずに掃除する方法がある。
特に今日のように風が強い日は。

「それって・・・」
「風で飛ばされるから?」

それだと根本的な解決にならない。
こっちが良くてもあっちが悪くなるだけだ。

「だったらなに?」

観察するまでもなく答えが出ている。
目の前に。

「目の前?」
「見たまんまよw」

風がある効果を生み出してくれる。

(No.1303-2へ続く)

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