[No.1297-2]違う景色
No.1297-2
「景色を知った?」
「うん」
先週、実家に帰った。
その時、ふとある行動を思い付いた。
「で、その行動って?」
「座る場所を変えたの」
食卓テーブルの座る場所を変えた。
今まで母が座っていた場所に。
「私が南だとしたら母は北」
「お互い対面していたの」
だから、場所を変えると見える景色がまるで違う。
同時に母が見ていた景色を知った。
「それだけなんどけど」
「いつもこんな景色を見てたんだって」
見慣れた部屋なのに初めてような感覚だった。
でも、よく考えればこうして見るのは初めてだ。
「そう言われたらそうよね」
「私も座る場所は決まってた」
家族とはそう言うものだ。
別にルールがあるわけでもないのに。
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