[No.1292-2]母の晴れ舞台
No.1292-2
「それも舞ってる姿な」
「素敵じゃない!」
ただ、それが何の舞かは分からない。
学のない俺にとっては。
「普通の人は分からないわよw」
何かのお披露目会の一枚何だろう。
ちょっとした舞台で舞っている。
「聞いてはいたんだけど」
「結局、生では見られなかったな・・・」
正直、興味がなかった。
それに、遠く離れた場所に住んでいたことも理由だ。
「とは言え・・・」
「それを口実にしていた自分も居る」
後悔とはいつも後からやってくる。
だから後悔なんだろうけど。
「で、その写真は今どこに?」
「今でも箪笥の上だよ」
どうしようか迷った。
持ち帰るべきかそのままにしておくか。
「持ち帰ればいいのに」
「そう簡単に言うなよ」
写真の居場所を考えた。
どこが一番相応しいのかと。
「馬鹿ね!」
「気付ける場所に置いてあった意味を考えてよ」
(No.1292完)
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