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2024年11月

[No.1297-1]違う景色

No.1297-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
気持ちひとつで見える世界が変わる。
そんな場所が身近にあった。

「何かあったの?」
「ううん、別に」

そう聞きたくなる気持ちも分かる。
唐突にこんなことを言うと。

「それにしては哲学っぽくない?」
「だよね」

でも、本当だ。
別に悩んだりしているわけではない。

「まさか・・・」
「違うわよw」

友人が目を輝かせている。
それだけで言いたいことが分かる。

「否定、早っ!」

こう言うことは早めに否定した方がいい。
あれこれ聞かれる前に。

「本当に何もないわよ」
「ちょっとした行動で・・・」

見える景色が変わった。
同時に見ている景色を知った。

(No.1297-2へ続く)

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[No.1296-2]バイト君

No.1296-2

「たしかに高校生っぽいね」
「でしょ?」

返事が出来なかったわけじゃない。
単に慣れの問題だ。

「私たちだってそうだったよね?」
「新入社員のころは」

どう返していいか分からない。
相手の行為に対して。

「だから彼もそうだと思う」
「でも、嬉しそうで良かった」

私もようやく素直にお礼を言えるようになった。

「そりゃそうでしょ」
「こんな美人に声を掛けられたらw」

もちろん、本気で言ってるのではない。
いじっているのだ。

「はいはい」
「そうでしょうね!」

友人のいじりはさておき、心が洗われるようだ。
忘れていたものを思い出すようでもある。

「大袈裟ね」
「そうでもないわよ」

どんな仕事でも一生懸命にやる。
その姿勢は見習いたい。

「今の仕事に不満でも?」
「そうね、あなたが居るからねw」
J1296
(No.1296完)
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[No.1296-1]バイト君

No.1296-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
よく行く大型スーパーでたまに見掛ける。
多分、バイトだと思う男子を。

「男性じゃなくて男子?」
「うん、若い子だから」

ただ、マスク越しなので断言はできない。
あくまでも個人的な見立てだ。

「で、好きになったわけだ?」
「違うわよw」

担当としては買い物かごの回収係のようだ。
その瞬間しか見ていないけれど。

「なんか、いいのよね」
「誠実さが伝わってくると言うか」

たかが回収、されど回収だ。
丁寧に回収して回っている。

「それだけで?」
「ううん、この前・・・」

彼と話す機会が巡ってきた。
もちろん、ちゃんとした会話ではないが。

「私がかごを戻そうとしたら」
「直接、回収してくれて」

お礼を言うと照れくさそうにしていた。

「それだけ?」
「そうよ」

それで十分だった。

(No.1296-2へ続く)

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ホタル通信 No.588

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.695 ショートカット
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:女性

実話度が表す通り、ほぼ事実です。まぁ、実家周辺のことを書いているので必然的にそうなりますよねw

さて、タイトルにもなっているショートカットの畑の脇道は今でも存在しています。ただ、ここを通ったとしても本来の道との差はほんのわずかです。実はショートカットしていた頃は玄関の位置がショートカットする側に近く、本来の道からは遠かったために、これが有効でした。
ところが、高校生の頃に家を建て替えた時に玄関の位置が変わり、ショートカットしても本来の道を通ってもほぼ変わらなくなりました。

ただ、何となく得した気分になれると言いますか、子供心に戻れると言いますか、つい、実家に帰った時にやってしまいました。前述した通り、脇道はあるにはあるのですが、畑自体はもう作物は作っておらず荒れた状態になっています。これはこれで寂しいもので時の流れを感じずには居られません。実家の場所は袋小路になっており、抜け道として使われることもなく、通る車も人もご近所さんだけです。

ほんと何にもない実家ですが、言い換えればとても静かな場所で空気も澄んでいます。このホタル通信を書いている時に、不意に襲ってくるノスタルジア・・・思いは尽きません。
Jt588
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[No.1295-2]ボロボロなハガキ

No.1295-2

「さて・・・と」

歯ブラシのコーナーは入り口の近くにある。
すぐに希望の歯ブラシを手に入れた。

「残り9分w」

時計を確認してから店内を物色する。
怪しまれない程度に。

「・・・へぇ~」
「こんな商品があるんだ」

目的がない物色も悪くない。
暇つぶしにはもってこいだ。

「そろそろかな」

時計を確認してからゆっくりとレジに向かう。

「来たぞ」
「ぴったりね!」

すぐにレジの順番が回ってきた。

「あっ!そうだ」
「割引してくれるハガキがあったんだ!」

そう言うとバッグの中からハガキを取り出す。

「・・・何だよ、それ」
「ボロボロじゃん!」
J1295
(No.1295完)
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[No.1295-1]ボロボロなハガキ

No.1295-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
笑のツボは突然やってくるものだ。

「なに買うの?」
「風邪薬とそれから・・・」

ドラッグストアに買い物に向かう。
よく行く全国チェーンの店だ。

「じゃあ、ついでに」
「歯ブラシも買おうかな」

マイナーではないけどあまり見掛けない。
だからついでに買っておこう。

「いいわよ」
「ついでだし」

ドラッグストアと言えどちょっとしたスーパーだ。
いや・・・店によってはそれ以上の品揃えだ。

「歯ブラシ選んでおいて」
「分かった」

店に着くなり別行動が始まる。
まぁ、理由は想像が付く。

「10分後くらいでいい?」
「いいわよ」

化粧品の品定めが始まる。
買おうが買うまいが。

(No.1295-2へ続く)

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[No.1294-2]全員集合!

No.1294-2

「家に到着~!」
「重かった・・・」

おでんの具材たちはなかなかの重量物だ。
これだけ集まると。

「まずは大根ね!」
「いいね~!」

僕は掛け声担当だ。
料理は全くと言っていいほど無縁だ。

「邪魔!」

とは言え、ここは引き下がろう。
とりあえず、ソファーに避難することにした。

「何かあったら呼んで」
「分かった」

ややしばらく掛かるだろう。

「さてと・・・全員集合!」
「えっ!?ちょっと待って!」

いきなり集合の合図だ。
僕は何をさせられるのだろうか?

「ん?なに?」
「何って・・・呼んだだろ?」

彼女はポカンとした顔をしている。

「私は、具材たちを全員集合って言ったの!」
「何だよ、それ!」
J1294
(No.1294完)
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[No.1294-1]全員集合!

No.1294-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「今日、おでんにする?」
「いいね!」

冬にはまだ早い。
でも、秋も大分、深まってきた。

「そうと決まれば買い物ね!」

今時期になると無性に食べたくなる。
フライング気味で少々気が引けるが。

「牛すじ、多めに」
「分かってるって!」

おでんの具では牛すじが一番好きだ。
その次は餅入り巾着だ。

「そろそろ出かけるわよ」
「下準備に時間が掛かるんだから」

確かにそうだ。
おでんはやっぱり、染みてて欲しい。

「はいはい!」
「お買い物バック、よろしくね!」

意気揚々と二人で出掛ける。
たかがおでんの具材の買い物だけなのに。

「まずは大根ね」
「それから・・・」

近所のスーパーで手早く具材を揃えた。

(No.1294-2へ続く)

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ホタル通信 No.587

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.549 犬の遠吠え
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

自分でいうのもなんですが、多分、勢いだけで作った小説のようですね。何とも散らかった小説で、読むのに苦労します。

前半はほぼ事実であるため、それがかえって混乱を招くような感じです。当ブログの特徴としてあえて詳しい描写をしない無責任な展開が多く、これもそのひとつです。現場を見ている作者が、脚色もせずそのまま文字にしてしまうために読者の置いてきぼり感は半端ありません。

小説のきっかけは覚えていませんが、おそらくタイトルにもなっている犬の遠吠えが印象に残ったためだと推測します。珍しくはありませんが、頻繁に目にするものでもありません。
その犬の遠吠えをそのままテーマにするのではなく、作者自身が遠吠えの意味を調べたことで「あっ!」と思い、こんな話になったのではないでしょうかwそんなこんなが、冒頭に書いた通り、まとまりがない散らかった感に繋がっていると思います。

何度も書いていますが、何でも恋愛に結び付けてしまう悪い見本の小説ですが、それはそれで当ブログの味でもあります。
Jt587
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[No.1293-2]嗚咽

No.1293-2

「それでも達筆は」
「変わらずだったけど」

多少の文字の乱れがあった。
でも、力強く書けていた。

「母は強し?」
「あぁ、本当にそう思った」

自分のことより子供のこと。
本当は自分が一番不安なはずなのに。

「それが母親ってものよ」
「説得力がありすぎるw」

その手紙は傍らに置いてある。
形見の帽子と共に。

「いつか・・・また開いてみるつもり」
「・・・そうだね」

勇気がないのではない。
大事にしたい・・・上手く言えないけど。

「うんうん、分かる」

大事にしたいけど箪笥の奥に眠らせておく気はない。

「そうだね」
「その方がいいと思う、私も」

彼女の母親はすでに他界している。
母親だけでなく父親も。

「次に開ける時、教えて」
「どうして?」

その答えを数年後に知ることになった。
J1293
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[No.1293-1]嗚咽

No.1293-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
泣いたことは何度もある。
でも、嗚咽したことは一度しかない。

「いつ?」
「母が亡くなった時」

でも、亡くなった瞬間ではない。
葬儀の前に・・・だ。

「葬儀が始まる前に」
「弟から手紙を渡されて」

それは母からの手紙だった。
そこには僕にあてた思いが綴られていた。

「それを見た瞬間に・・・」

それまで堪えていたものが崩壊した。
それが嗚咽となった。

「それならそうなるよね」
「初めての感覚だったな・・・」

泣くのとは違う。
それこそ、腹の底から何かを吐き出すようだった。

「だからその手紙は」
「もう一度、開けられないw」

考えるだけで涙が溢れる。
そこに色々な想いが巡るからだ。

「自分の死期は知ってたみたい」
「僕たちは隠していたつもりだったけどね」

手紙にもそう書いてあった。
熱があり、上手く書けない状態でありながら。

(No.1293-2へ続く)

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[No.1292-2]母の晴れ舞台

No.1292-2

「それも舞ってる姿な」
「素敵じゃない!」

ただ、それが何の舞かは分からない。
学のない俺にとっては。

「普通の人は分からないわよw」

何かのお披露目会の一枚何だろう。
ちょっとした舞台で舞っている。

「聞いてはいたんだけど」
「結局、生では見られなかったな・・・」

正直、興味がなかった。
それに、遠く離れた場所に住んでいたことも理由だ。

「とは言え・・・」
「それを口実にしていた自分も居る」

後悔とはいつも後からやってくる。
だから後悔なんだろうけど。

「で、その写真は今どこに?」
「今でも箪笥の上だよ」

どうしようか迷った。
持ち帰るべきかそのままにしておくか。

「持ち帰ればいいのに」
「そう簡単に言うなよ」

写真の居場所を考えた。
どこが一番相応しいのかと。

「馬鹿ね!」
「気付ける場所に置いてあった意味を考えてよ」
J1292
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[No.1292-1]母の晴れ舞台

No.1292-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
実家の箪笥の上に一枚の写真が飾られている。

「何の写真?」
「まさか・・・元彼の?」

無神経な俺でさえ飾る場所は選びたい。
もし、そうだとしたら。

「なわけないだろ」
「しかも実家だろ?」

冗談なのかマジなのか。
それともやきもちなのか・・・。

「やきもち?違うわよw」
「あなたのことだから・・・」

実家に置き忘れてきたと言いたいらしい。
さすのが俺もそれはない。

「あのな・・・」
「母の写真だよ」

ここは早めに結論を言った方が得策だ。
元彼の話を広げられないためにも。

「お母さんの?」
「あぁ、見たことがない姿のな」

聞いたことはあった。
俺が実家を離れた辺りから日本舞踊を習い始めたことを。

「そうなんだ~」
「じゃぁ、着物姿・・・ってことね?」

簡単に言えばそうだ。

(No.1292-2へ続く)

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ホタル通信 No.586

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.653 節目のとき~それから~
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

タイトルを見て、思い浮かべていた内容ではないことが分かり少し驚きました。

タイトルはそれほど拘りなく付けているのですが“節目のとき”というほどですから、もう少し気の利いた話かと思いきや、何とも言い難い内容になっています。
実は“身近な物が壊れる”という話は書いており、次々と壊れて行く様に一時は恐怖すら覚えていたのですが、ネット情報によれば悪い前兆ではないことを知って一応の安堵を得ました。まぁ、科学的な根拠は何もないですがw

その“壊れる”現象と人間関係・・・恋愛に結び付けたわけです。冬のホタルではお馴染みの手法で、読み返してみるとちょっと恥ずかしくなるくらいです。ただ、実際に関係が壊れるのは些細なことからであり、気付かない内に、それが進んで行きます。「蟻の穴から堤も崩れる」と言うことわざが適切かどうか分かりませんが、事の発端はいつも蟻の穴ほどの小さな出来事だと思いました。

実話度は高くないですが、これと似た経験は何度もしてきました。崩れる前に持ち直したこともあれば、そのまま崩れ落ちてしまったことも。
Jt586
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[No.1291-2]巡る

No.1291-2

「とんだハプニングだったな」
「でも、これもいい思い出よ」

そんなこんなで今日に至る。
そして、ここも今話題の場所だ。

「よく当選したよな?」
「引きが強いからね!」

来館は抽選だった。
それもかなりの倍率だったみたいだ。

「ほら、見えてきたわよ!」
「あれか!」

意外なほど街に溶け込んでいる。
言われないと見過ごしてしまいそうだ。

「何する?」
「そうだな・・・」

体験もできるし展示物も多い。
2~3時間は楽しめそうだ。

「じゃ、私は巨大コントローラーで!」
「俺も!」

彼女の歩く速度が上がって行く。
急ぐ必要もないのに。

「おいおい、俺たちは後1時間後だぞ?」
「いいじゃん、別に」

入場までまだ時間がある。

「待ってる時間も大事なの!」
「本当は待ちきれないくせにw」
J1291
(No.1291完)
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[No.1291-1]巡る

No.1291-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
かれこれこれで何軒目だろう。
ミュージアムと呼ばれる施設を巡るのは。

「そうね・・・」
「5軒目・・・かな?」

思い出しながら指を折ってみる。
1、2・・・確かに5軒目くらいだ。

「去年、行った・・・面白かったね!」
「チョコレートが大変なことになったよなw」

帰省中、台風の影響で1日滞在が延びた。
そのついでにそのミュージアムを訪れた。

「そうそう!」
「だってチョコが出てこないもんだもんw」

ハンドルを回すと1枚、チョコが出てくる。
でも、回しても出てこなかった。

「だから何度も回したら」

今まで詰まっていた分が出てきた。
20枚ほど。

「びっくりしたよね!」
「それもあるけど・・・」

おひとり様、1回転、1枚。
ハンドルの近くにはそう書いてあった。

「罪悪感が・・・ね」
「わざとじゃないけど」

戻すわけにも行かず、やむなくいただくことにした。

(No.1291-2へ続く)

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