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[No.1288-2]秋の匂い

No.1288-2

「でも、紅葉はなかなか進まないな」
「なんだ、満喫してるじゃん!」

言い方は悪いけど“見ていない”と思っていた。
移り行く季節のことなんか。

「否が応でも目に入るだろ?」
「公園を歩いてるんだから」

それは一理ある。
いや、至極、真っ当な答えだ。

「それはそうねw」
「俺は俺で楽しんでるの!」

意外な言葉が返ってきた。
どうやら本当に満喫しているようだ。

「ふふふ」
「何だよ!その笑い」

それなら素直に言えばいいのに。
最初から。

「本当に風が心地いいね」
「あぁ、秋の匂いがするよ」

彼にしては粋な言葉だ。
でも、本当に秋の匂いがする。

「だろ!」
「・・・ん?」

彼の表情が曇る。
どうやら足元を気にしているようだ。

「どうしたの?」
「本当に秋の“臭い”がしてきた」
J1288
(No.1288完)
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