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2024年10月

[No.1290-2]彼の呪縛

No.1290-2

「もしかして」
「この流れなら・・・」

答えを聞かずとも当たっていると思う。
そんな表情をしている。

「それよそれ!」
「じゃ、彼の誕生日なんだね」

小さく頷く私が居る。
声に出して答えればいいものの。

「呪縛と言うくらいだから」
「相変わらず、察しが良いね」

私が答える前にすべてお見通しだ。
まぁ、それほど難しくはないとは言え。

「それなら呪縛よねw」
「お金を下ろすたびにねw」

思い出すのではない。
常に覚えている。

「あははw」
「忘れるわけにはいかないからね」

覚えているだけで何の感情も持っていない。
もちろん、今でも・・・なんてことは微塵もない。

「元彼、ボロクソに言われてるw」
「ほんとだw」

彼には悪いけど事実だ。
まぁ、私の責任でもあるが。

「替えたら?」

でも、そうしない私も居る。
J1290_20241031220901
(No.1290完)
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[No.1290-1]彼の呪縛

No.1290-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
それが呪縛になろうとはその時は思わなかった。

「えっ!?呪縛・・・」
「うん、大袈裟かもしれないけど」

大学に通い始めたころの話だ。
ほどなくして彼氏ができた。

「なになに!?自慢話?」
「違うわよw」

高校生の時にも彼氏はいた。
でも、付き合っているというほどではなかった。

「やっぱり自慢話じゃんw」
「そうかもw」

大学入学にあわせて銀行口座を開設した。
これ自体には大きな意味はない。

「まぁ、そうよね」
「必要だもんね」

ただ、ここで浮かれた気持ちが出てしまった。
それが後々の呪縛になろうとは・・・。

「え~何だろう・・・」
「あれよ、あれ」

口座開設と言えばあれだ。
“あれ”と言うほどのことではないが。

「暗証番号よ」
「暗証番号?」

4桁の数字とは言えば誕生日だ。
でも、自分の誕生日は使えない。

(No.1290-2へ続く)

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ホタル通信 No.585

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.652 三輪車の犬
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

後半はほぼ実話ですが、後半に至るまでの過程と言いますか、なぜ三輪車になったのか、その理由は創作です。

実は学校と言うシチュエーションも事実ではないのですが、本当に車輪を付けたワンちゃんを何度か見掛けたことがありました。そんな感じのワンちゃんをテレビで見たことがあったのでそれ自体はそれほど驚きはなかったのですが、ハンデを追いながらも元気に散歩するワンちゃんが愛おしく感じました。小説に書いた通り、市販品のような完全なものではなく、どこか手作り感が残る温かみのあるものでした。

さて、話を戻すと、なぜ車輪を付けることになったのかは分かりません。事故なのか病気だったのか、あるいは先天性のものだったのか・・・。そんなことを思いながら見ていたのですが無邪気なワンちゃんの姿に今が幸せならそれでいいのかな?と、ホッとする自分が居ました。決して同情や物珍しさでではなく、一匹のワンちゃんとして、本当に可愛かったですね。

そう長い期間、見掛けていませんでした。それが何を意味するのか深く考えてはいません。単に時間が合わなくなっただけでしょうから。
Jt585
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[No.1289-2]ご自由にお使いください

No.1289-2

「じゃ、あなたが第1号になってあげたら?」
「いやよw」

白い椅子だけに汚れが目立つ。
ましてや外だ・・・高架下とは言え基本雨ざらしだ。

「どうせなら木の椅子にすればいいのにね」
「そうよね」

いわゆるベンチなら雨ざらしでもOKだろう。
でも、それは無駄なほど豪華な椅子だ。

「その椅子じゃ・・・ね」
「クッション、いらなくない?」

ふかふかのクッションが汚れの元凶だ。
椅子のチョイスが良くない。

「まぁ、誰かが座ってくれること」
「祈りましょw」

いつしか神頼みになった。
たかが、椅子に座るだけなのに。

「それはさておき・・・」
「のんびりしてる場合じゃないわよ!」

これだからよく遅刻する。

帰り道、また椅子の話題になった。

「誰か座ってるかな~」
「座ってるわけないじゃ・・・ん?」

白い椅子に白い猫が座っていた。
J1289
(No.1289完)
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[No.1289-1]ご自由にお使いください

No.1289-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「これ誰が置いたかな?」
「さぁ~?」

通学路の途中にほんの僅かな高架がある。
小川沿いの道に交差するような感じで。

「半年前くらいからだよね?」
「・・・そうだね」

高架のお陰でその下で雨宿りが可能だ。
私たちの雨宿りポイントのひとつだ。

「ご自由に・・・とは言うものの」
「座る気にはなれないねw」

そんなある日、そこに白い椅子が二脚登場した。
“ご自由にお使いください”の張り紙と共に。

「お世辞にも綺麗じゃないしw」
「置いてくれた人には悪いけど」

悪気はないと思う。
むしろ、親切心だと思う。

「そうよね」
「灰皿もあるし、そもそも・・・」

雨宿りもできるし、夏なら日陰にもなる。
そんな場所でひと時の休憩を提供してくれる。

「褒めてるじゃんw」
「ほんとだw」

ただ、やはりそこで休んでいる人を見掛けたことはない。

(No.1289-2へ続く)

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[No.1288-2]秋の匂い

No.1288-2

「でも、紅葉はなかなか進まないな」
「なんだ、満喫してるじゃん!」

言い方は悪いけど“見ていない”と思っていた。
移り行く季節のことなんか。

「否が応でも目に入るだろ?」
「公園を歩いてるんだから」

それは一理ある。
いや、至極、真っ当な答えだ。

「それはそうねw」
「俺は俺で楽しんでるの!」

意外な言葉が返ってきた。
どうやら本当に満喫しているようだ。

「ふふふ」
「何だよ!その笑い」

それなら素直に言えばいいのに。
最初から。

「本当に風が心地いいね」
「あぁ、秋の匂いがするよ」

彼にしては粋な言葉だ。
でも、本当に秋の匂いがする。

「だろ!」
「・・・ん?」

彼の表情が曇る。
どうやら足元を気にしているようだ。

「どうしたの?」
「本当に秋の“臭い”がしてきた」
J1288
(No.1288完)
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[No.1288-1]秋の匂い

No.1288-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
散歩するには良い季節になってきた。
夏場は控えていただけに心が弾む。

「たかが散歩だろ?」
「それ、全国の散歩ファンを敵に回したわよ!」

私は散歩が好きだ。
こうして会話しながら歩くことが。

「散歩ファン?」
「聞いたことないぞ」

それはそうだ。
今、思い付きで発したからだ。

「たかが散歩、されど散歩よ」
「ふ~ん・・・」

反応がイマイチのくせにこうして付き合ってくれる。
それはそれで有り難い。

「散歩は一人より二人」
「二人より三人?」

いや、三人は必要ない。
二人で事足りる。

「なんだよ、それw」
「二人がいいの!」

正確に言えば“彼”がいい。
悪態をつかれても。

「面倒臭いやつだなw」

風が心地よい。
季節は秋も深い。

(No.1288-2へ続く)

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ホタル通信 No.584

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.643 心にシール
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

ラベルの話ですが、あえて隠す必要はありませんが、いわゆる「テ」から始まるあの製品のことです。

本当は後半のことだけを書きたかったのですが、話の入り方が分からずに無理やり別のラベルから入ったような記憶があります。とは言え前半の話も全くの創作ではなく、実際、仕事で使っていました。
今も売っているのかは定かではありませんが、当時、文字を印刷することは一般家庭では無理でした。加えて、音楽と言えばカセットテープが主流だったわけですから、そのオシャレ感を求めて、転写シールを使っていました。

ただ、結構大変だった記憶があります。もちろん、転写する作業も大変でしたが、一文字一文字、転写するわけですから、一列に文字を綺麗に並べることが至難の業でした。特に曲名が長いとそれはもう大変でした。でも、当時は楽しんでいましたね。苦労したからこその喜びもあるし、何よりもオシャレでしたから。もちろん、手書きは手書きで味がありますが、それなりに背伸びしたい年頃ということも相まって一時ハマっていました。

時は流れ、CDさえ過去の遺物になりそうな現代において、何とも贅沢な時間を過ごさせてもらいましたw
Jt584
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[No.1287-2]vs小学生

No.1287-2

「バカみたいw」
「そう笑うなよw」

と言う自分自身が一番笑っている。
確かに馬鹿げた行動だ。

「で、先に長袖を着た方が負けってことね?」
「そう言うこと!」

ただ、負けるのは分かっている。
でも、それは寒さに負けるからではない。

「どう言うこと?」
「さっき言ったように・・・」

いつまでも半そでを着ていると周りの目が気になる。
いつまで半そでを着ているんだと。

「要はその視線に負けるわけねw」
「そう言うこと」

敵は小学生であって小学生ではない。
本当は自分自身との戦いだ。

「名言みたいに言うわねw」
「だろ?」

とは言え、一応、張り合っているのだ。
無駄な戦いだと分かっていても。

「大人vs小学生ってことだよ」
「何言ってんのよ!小学生vs小学生でしょ?」
J1287
(No.1287完)
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[No.1287-1]vs小学生

No.1287-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
それほど真剣でもないが一応、張り合っている。

「張り合っている?」
「誰と?」

相手はなかなか手ごわい。
と言うより、負けるのは分かっている。

「小学生だよ」
「ほら、今も目の前に」

集団登校している小学生が目の前を通り過ぎて行く。
何人も何人も。

「小学生!?」
「何を張り合っているのよ?」

毎年、密かに張り合っている。
いつまで半そでいられるか・・・を。

「・・・はぁ?」
「何それ?」

同僚から至極、真っ当なリアクションが返ってきた。
まぁ、そうなるだろう。

「ほら、これから冬に向かうだろ?」
「だから、いつまで半そでいられるか、だよ」

会社では半そでのワイシャツを着ている人は残り少ない。
僕もその一人だが。

(No.1287-2へ続く)

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[No.1286-2]角砂糖

No.1286-2

「小さい頃な・・・」

角砂糖に憧れたものだ。
子供には無縁のものだったからだ。

「無縁?」
「ほら、コーヒーとか紅茶に入れるだろ?」

それらは基本、大人の飲み物だ。
ただ、ある時・・・。

「チャンス到来?」
「よく分かったなw」

さすがにコーヒー、紅茶は無理だった。
けど、ココアを飲む機会に恵まれた。

「ある意味、ココアも大人の飲み物よw」
「そうなんだけど、お子ちゃま向けの・・・」

簡単に言えばミルクココアだ。
本格的なココアではない。

「それって元から甘くない?」
「俺、甘党なんでw」

それが濃い茶色に溶けて行った。
ゆっくり、ゆっくりと。

「何だか・・・素敵w」
「今思えば優雅な時間だったかもな」

サッと溶けては消えて行く、今とは違った。

「ほんと、ひょんなことからね」
J1286
(No.1286完)
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[No.1286-1]角砂糖

No.1286-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「砂糖、入れないの?」
「あぁ・・・そうだな」

最近・・・いや、もう数十年も見ていない気がする。
今、そのことに気付いて手が止まってしまった。

「そう言えば砂糖って」
「これだよな?」

手に持ったスティックシュガーに目を配る。

「そうだけど」
「逆にそれ以外あるの?」

その疑問は最もだ。
アイスコーヒーならシロップだけど。

「ほら、角砂糖だよ」
「角砂糖?」

カフェに行こうが喫茶店に行こうが見たことがない。
その昔、砂糖と言えば角砂糖だったのに。

「確かに・・・」
「けど、そもそも家でも買ったことないよね?」

そう言われてまた気付く。
そうだ・・・家でも買ったことがない。

「存在自体を忘れてた」
「でも、よく気付いたわね?」

ほんと不思議だ。
でも、こう言うことはひょんなことから思い出すものだ。

(No.1286-2へ続く)

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ホタル通信 No.583

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.642 工事のおじさん
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:女性

小説のタイトルを見た時、「こんな小説、書いたっけ?」と思いました。でも、読み返してみると鮮明に思い出しました。

皆さんも経験したことがあると思いますが、工事中の道路で誘導してくれる人・・・おじさんと決めつけるわけではありませんが、一般的なイメージでおじさんとさせていただきました。悪い意味ではなく、仕事ですから淡々と誘導すればそれで責任は果たしているわけです。こちらも、そこにそれ以上のものもそれ以下のものも求めてはいません。

そんな時、小説のようなおじさんと出会ったわけです。一期一会と言うのもおこがましいくらいの、ただすれ違うだけの存在の私たちに、申し訳なさそうに頭を下げてくれるおじさん・・・印象に残らないわけはありません。仕事に真摯に向き合っていると言えばそれまでですが、それなら安全に誘導すれば事足りています。それ以上のことを意識的にしていると言うより、人格そのものがそうさせているのだと感じました。

一期一会もおこがましい・・・と前述しましたが、私たちにとってはそれ以上の出会いでした。
Jt583
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[No.1285-2]昭和にプレイバック

No.1285-2

「スマホと言えば・・・」
「昭和の電話みた?」

昔は電話することをダイヤルを回すとも言う。
その意味がようやく分かった。

「回す?」
「何を?」

いまだに意味を知らない人が目の前にいた。
それはそれで驚きだ。

「ほらこれ見てよ」
「この丸い穴を押すの?」

話題を変えた方がいいだろう。
話が長くなりそうだ。

「私達から見たら不便でも」
「当時は当時でそれが普通だったんだろうね」

もちろん当時の最新技術もあったはずだ。
それは今の私たちと同じ感覚だと思う。

「どの映像を見ても楽しそうね」
「人も街も・・・」

そう・・・人だけではなく、街も楽しそうだ。
音は聞こえなくても。

「そうね、雑然としてるんだけど」
「令和にはないよね?」

お世辞にもおしゃれとは言えない。
けど、活気に満ち溢れている。

「なんだかんだ言って・・・」
「大好きじゃん!昭和」
J1285
(No.1285完)
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[No.1285-1]昭和にプレイバック

No.1285-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
最近、動画でよく見かけるものがある。
ちょっとしたブームのようだ。

「確かに見掛けるわね」
「何が良いんだろうね?」

世の中的にもレトロブームのようだ。
純喫茶なるものも流行っているらしい。

「そうよね」
「私もあまり興味がない」

昔の街並みや生活ぶりを見ても不便なだけだ。
現金しか使えない時代なんて・・・。

「他にも突っ込みどころが沢山あるわよ」
「suicaなんてないからねw」

それどころか、改札に駅員さんがいる。
切符を切ったり、定期を確認したりしていると言う。

「もはやカオスw」
「だよねw」

時代が違うと言えばそれまでだ。
でも、ここまで違うと逆に清々しくもある。

「たださぁ・・・」
「なに?」

何度か見ていると良い意味で毒されてくる。
令和にはない温かみと言うか・・・。

「実は私も・・・」

単なる物珍しさではない。
スマホの画面越しに人の温かみが伝わってくる。

(No.1285-2へ続く)

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[No.1284-2]運動会の梨

No.1284-2

「変わった想い出だねw」
「ある意味そうだよな」

運動会そのものより、梨の印象が強い。
梨が入っている以外、何のエピソードもないのに。

「今も好きなの、梨?」
「もちろん!」

面倒だけど自分で皮をむいて食べる。
皮をむくこと自体は手慣れたものだ。

「へぇ~すごいじゃん!」
「そう難しくはないだろ?」

教わったわけではないけど、ようはあれだ。
門前の小僧・・・だ。

「だから、母親流かな」
「皮のむき方、芯の取り方」

もしかしたら味ではなく形の思い出かもしれない。
ひらがなの「く」に似た形だ。

「形ってw」
「だいたいそんな形になるんじゃない?」

確かにそうだと思う。
でも、芯をどれだけ取るか、その程度が違う。

「なにそれw」
「そういうことだよ」

完全に芯を取るのではない。
少し残して混じり合う食感と酸味を味わう。

「そこまで思い入れがあるんだね」
「そうだな」

でも、その思い出は運動会の中にある。
家族で食べる昼食を今でも思い出す。
J1284
(No.1284完)
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[No.1284-1]運動会の梨

No.1284-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
秋の気配を感じ始めた時、あることが頭をよぎる。

「地域によって違うけど」
「俺の所は・・・」

運動会と言えば秋だった。
秋と言えば運動会だった。

「逆にしただけじゃんw」
「で、あることって?」

運動会の思い出よりもその印象が強い。
自分でも理由は分からないが。

「梨だよ、梨」
「運動会、関係なくない?」

そう・・・一般的には全く関係がない。
ただ、俺の場合は違う。

「お弁当と言うか」
「ほら、昼食の時」

親と食べる昼食に梨が入っている。
運動会には必ずと言っても良いほどに。

「好きだったの?」
「好きだったよ」

でも、梨だけに限った話ではない。
果物は全般的に好きだ、今でも。

「じゃあ、何で梨なの?」
「そりゃ、秋だからだろ?」

答えのようで答えになっていない。
秋と言えばどちらかと言えば、世間的には柿だろう。

「でも、梨なんだよなw」

だから、秋の気配と梨が簡単に結びついてしまう。

(No.1284-2へ続く)

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ホタル通信 No.582

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.546 やるじゃん!
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

実話度100%にしたかったのですが、ラストのセリフが事実だったのか、創作だったのかハッキリと覚えていません。

ほぼ100%の小説で僕と彼女の行動は小説の通りで、僕はと言えば彼女のお伴でした。だからと言って嫌だったわけではなく、むしろそんな自分を楽しんでいたくらいです。もう少し舞台となった場所を書けば、そこは名古屋市のある会場でした。私が大阪在住なので、いわゆる遠征に行ったわけです。まぁ、私はあくまでもお伴ですがw

私は周辺で時間をつぶしながらライブの終わりの時間を待っていたわけです。そろそろ終わりかな?と思う少し前に戻ったわけですが、そこで会場に入れなかったファンの方々が盛り上がっていました。
小説にも書きましたが、もし自分がそのアーティストだとしたら、こんな嬉しいことはないですね。そこまでして応援してくれる人に対して黙っているわけにはいられません。もしかしたら、そんな思いが“そして最後に・・・会場の外、ありがとう!!”というフレーズを生み出したかもしれませんが、本当に会場で言っていたような、そんな記憶もあるんですよね。

目の当たりにした光景、経験をもとにした小説なので筆が進みました。ただ、繰り返すようで恐縮ですが、例のフレーズが事実なのか創作なのか・・・それが気になっています。
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[No.1283-2]ボス猫の心変わり

No.1283-2

「心境の変化でもあったのかな?」
「どうだろうね」

さすがに触れられる距離までとはいかなかった。
でも、もう一歩・・・という所までは縮んだ。

「それほど遠くに逃げなかったし」
「何なら振り向いて・・・」

私を待っているようだった。
普段は一目散に逃げてしまうのに。

「だからもう一度近付いてみたの」

さすがにそれ以上近付くことは許してくれなかった。
でも、やはりいつもとは違う感覚を覚えた。

「やっぱり、心変わりしたのかな?」
「そうね」

それほど顔を合わせる仲でもない。
それに特段、親切にした覚えもない。

「よく分からないけど」
「時間が解決したのかもしれないな」

人間社会でもそんなことがある。
良くも悪くも時間が解決してくれることが。

「それ、私たちのこと?」
「さぁ~どうだろうねw」

あのボス猫もきっとそうだ。
時間が私たちの距離を縮めてくれたんだ。
J1283
(No.1283完)
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