« [No.1280-2]あの日の私 | トップページ | [No.1281-2]未来か過去か »

[No.1281-1]未来か過去か

No.1281-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------

「なに見つめてるのよ?」
「あ、いや・・・」

少し離れた先に老夫婦の背中が見える。

「老夫婦?」
「夫婦とは限らないでしょ?」

彼女の疑問はもっともだ。
でも、僕にはそう見える。

「随分、自信があるわね」
「根拠はあるの?」

正直、根拠はない。
女性の背中に手を回す男性の姿がそう言わせる。

「あの雰囲気は」
「兄弟では出せないよ」

思いやりにあふれた手だ。
女性を支え、行く道に灯りを灯す。

「へぇ~」
「すごい観察力ね!」

雰囲気的にはちょっとした散歩なんだと思う。
陽が大きく傾く前に・・・と言ったところだろうか。

「で、何を考えてるの?」
「いや・・・それは・・・」

答えに困る。
考えてないからではなく、考えているからだ。

(No.1281-2へ続く)

| |

« [No.1280-2]あの日の私 | トップページ | [No.1281-2]未来か過去か »

(051)小説No.1276~1300」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.1280-2]あの日の私 | トップページ | [No.1281-2]未来か過去か »