[No.1281-1]未来か過去か
No.1281-1
登場人物
男性=牽引役
女性=相手
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「なに見つめてるのよ?」
「あ、いや・・・」
少し離れた先に老夫婦の背中が見える。
「老夫婦?」
「夫婦とは限らないでしょ?」
彼女の疑問はもっともだ。
でも、僕にはそう見える。
「随分、自信があるわね」
「根拠はあるの?」
正直、根拠はない。
女性の背中に手を回す男性の姿がそう言わせる。
「あの雰囲気は」
「兄弟では出せないよ」
思いやりにあふれた手だ。
女性を支え、行く道に灯りを灯す。
「へぇ~」
「すごい観察力ね!」
雰囲気的にはちょっとした散歩なんだと思う。
陽が大きく傾く前に・・・と言ったところだろうか。
「で、何を考えてるの?」
「いや・・・それは・・・」
答えに困る。
考えてないからではなく、考えているからだ。
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