[No.1279-1]愛車
No.1279-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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長年、乗っていた愛車を手放した。
思いのほか、修理代が掛かったからだ。
「デザインが好きだったんだよな」
「私も好きだったよ」
角ばっているとか丸みがあるとかではない。
一言で表すと無骨なんだ。
「面構えが良いよね!」
「そうそう!」
彼女もそこがお気に入りだった。
「でもさぁ・・・」
「手放すの・・・寂しな」
まるで人との別れのようだった。
たかが、車を手放すだけなのに。
「それだけ愛してたってことでしょ?」
「・・・まぁな」
彼女と付き合い始めた時にこの車を買った。
車の歴史は彼女との歴史でもある。
「まぁ、お疲れ様ってことで」
「そうだな」
廃車になるわけじゃない。
だから、次の持ち主の手にわたることになる。
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