[No.1267-2]それはゴミ袋
No.1267-2
「それは・・・あぶないね」
「でしょ?」
その白い猫は一向にじゃれつくことをやめない。
今にも後輪に巻き込まれそうだった。
「そしたら・・・」
「えっ!?まさか・・・」
その心配が現実になった。
猫が後輪に巻き込まれたからだ。
「やだ・・・」
「心臓が止まりそうになったよ」
ただ、その自転車は止まる気配を見せなかった。
多少、何かを気にしている様子ではあったが。
「いやいや!」
「そんなわけないでしょ!?」
確かにその通りだ。
違和感なんてものじゃ済まされないからだ。
「それより、その猫ちゃんはどうなったのさ!」
「・・・そのことなんだけど」
口をつぐむ私を察してか、友人の顔が曇る。
「・・・そっか」
「残念だったわね」
そう・・・残念だった。
でも、残念だったのは私の方だった。
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