« [No.1270-2]迷子のかるがも | トップページ | [No.1271-2]地元の本屋 »

[No.1271-1]地元の本屋

No.1271-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
地元の小さな本屋が店を畳んだ。
ほんの数か月前までは営業していたのに。

「思い入れのある本屋だったの?」
「そこまでではなかったけど」

ただ、物心がついた時にはそこにあった。
駅前の交差点の角に。

「ある意味、そこにあって当然だったからさ」
「寂しいと言うか、違和感と言うか」

何とも言えない気持ちになった。
本来あるべきものがそこにない。

「お世辞にも儲かってはなかったと思うけどw」
「失礼よ」

でも、事実だ。
正確には商売っ気がないと言った方がいいだろう。

「多分、商売をやめたと言うより・・・」

店主が亡くなったんだと思う。
年齢的に考えても。

「そうなんだね」
「だから・・・」

何とも言えない寂しさがある。
小さくても町の灯りが消えた気分だ。

(No.1271-2へ続く)

| |

« [No.1270-2]迷子のかるがも | トップページ | [No.1271-2]地元の本屋 »

(050)小説No.1251~1275」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.1270-2]迷子のかるがも | トップページ | [No.1271-2]地元の本屋 »