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[No.1270-2]迷子のかるがも

No.1270-2

「だから鳴いてるんやね」
「そのようだな」

かなり浅い水深の小川をちょこまかと動いている。
ただ、見渡せる範囲に親も子供たちもいない。

「はぐれたのかな?」
「そうみたいやな」

鳴き声が逆に小さくなっている。
不安気な声は心細さに変わったようだった。

「どうする?」
「どうするって・・・」

浅い川とは言え、容易に入っていけない。
それに相手は野生の鳥だ。

「手を貸すのはどうかと・・・」
「そう言うてもな・・・」

この場合、何をどうするのが正解なんだろうか?
もちろん、何もしないと言う選択肢もある。

「見守ろう・・・か?」
「・・・せやね」

野生ではよくあることだろう。
いちいち反応してはいられない。

「冷たいようだけど」
「野生に任せよう」

小さく頷く彼女がいる。
その顔に迷いはない。

「きっとそれが正解やねんな」
J1270
(No.1270完)
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