[No.1271-2]地元の本屋
No.1271-2
「2階建ての建物で」
「1階は店舗、2階は住居みたいだったけど」
窓から見える店内も2階ももぬけの殻だ。
当然、人の気配はない。
「生活感も消えて」
「看板も外され」
地元の人以外、そこに本屋があったとは思わないだろう。
もともと、小さな本屋だったこともあって。
「そっか・・・」
「分かる気がする、その寂しさ」
繰り返しになるが特に思い入れはない。
けど、思い入れがないほど町に溶け込んでいた。
「そのうち、取り壊されるんだろうな・・・」
「そうなるといよいよ寂しくなるわね」
もはやそこに何があったのかさえ気にしなくなる。
時の流れは残酷だ。
「でも新しい店がオープンするかも?」
「・・・ないことはないなw」
決して立地は良くない。
けど、ちょっと立ち寄るには丁度良い。
| 固定リンク | 0
「(050)小説No.1251~1275」カテゴリの記事
- [No.1275-2]レンズ越しの青空(2024.08.24)
- [No.1275-1]レンズ越しの青空(2024.08.22)
- [No.1274-2]学生の集団(2024.08.21)
- [No.1274-1]学生の集団(2024.08.07)
- [No.1273-2]ニセモノが好き(2024.08.04)
コメント