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2024年7月

[No.1272-2]ビニーパン

No.1272-2

「名前が違うとか?」
「その可能性は否定できない」

でも、記憶の中にはビニーかビニしか存在しない。
ただ、何かと間違っている可能性は大いにある。

「文字じゃなくて」
「言葉を覚えてるんだよな」

記憶は文字というか映像ではない。
あくまでも・・・ビニーあるいはビニと言う音として。

「それならググると出て来そうなものよね?」
「そうなんだよな・・・」

ネットが全てにおいて万能とは思ってはいない。
けど、何かしらの情報は出てくるはずだ、今の時代。

「今は売ってないの?」
「そうみたい、知る限り」

調べても出てこない。
売ってもいない。

「そうなると・・・」
「ますます食べたくなるw」

SNSを駆使して情報を集めると言う手もある。
けど、そこまではしたくない何かがある。

「・・・分からなくもないけどね」
「思い出は美しいままでw」

けど、本心は気になって仕方がない。

「・・・作れるわよ」
「もちろん、正確に再現は出来ないけど」

そう言うと腕まくりを始めた。
J1272
(No.1272完)
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[No.1272-1]ビニーパン

No.1272-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
記憶は定かではない。
でも、その名前の響きは間違っていないと思う。

「菓子パン?」
「うん、小さい頃・・・」

と言うより、高校を卒業するまでと言った方がいい。
要は地元を離れるまでは・・・ということだ。

「うずまき型のパンで」
「小豆が散りばめられてたんだ」

しっかり焼き色も付いていた。
それに照りも良かった。

「何だか美味しそうね」
「だろ?」

別に菓子パンを馬鹿にしているわけじゃない。
けど、菓子パンと呼ぶには失礼な味だった。

「なんて名前?」
「そう!そこが問題なんだよ・・・」

最近、唐突に思い出して記憶を頼りに検索してみた。
“ビニーパン”と。

「ビニーパン?」
「多分・・・」

記憶ではビニーかビニのどちらかだと思う。
ただ、自信はない。

「で、検索結果は?」
「それが・・・」

ググってもそれらしいものがヒットしない。
ビニーもビニも。

(No.1272-2へ続く)

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ホタル通信 No.576

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.551 憧れの麦茶
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

何だかとても懐かしい気がする小説です。小学生の時、まさしく小説のようなことがありました。

お茶が気軽にペットボトルで買えるようになったのは随分と後でしたから、基本的にお茶は自宅でしか飲めません。そのため、我が家のお茶が全てであり、ごく稀に他人の家や外食した際に辛うじて麦茶にありつけた記憶があります。
たかが麦茶に・・・と思われるかもしれませんが、当時はどうしても玄米茶に馴染めず、あの酸味は子供泣かせでした。

当時の水筒は今のような真空ボトルタイプではなく、保冷が効かない透明のボトルでした。そのため、中身が丸見えで見た目は黄色です。味の前にこの色味が恥ずかしくて仕方がありませんでした。子供の頃って、こんなつまらないことを気にするんですよね。
そして前述したあの独特の酸味・・・子供には少し大人すぎる味でした。ですが、時を経て、大人になった今はむしろ玄米茶の方が良いと感じることもあります。

子供の頃は「麦茶がいい!」と言えず、結局、我が家のお茶は昔から玄米茶のままでした。でも、それはそれで良かったのかもしれません。
Jt576
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[No.1271-2]地元の本屋

No.1271-2

「2階建ての建物で」
「1階は店舗、2階は住居みたいだったけど」

窓から見える店内も2階ももぬけの殻だ。
当然、人の気配はない。

「生活感も消えて」
「看板も外され」

地元の人以外、そこに本屋があったとは思わないだろう。
もともと、小さな本屋だったこともあって。

「そっか・・・」
「分かる気がする、その寂しさ」

繰り返しになるが特に思い入れはない。
けど、思い入れがないほど町に溶け込んでいた。

「そのうち、取り壊されるんだろうな・・・」
「そうなるといよいよ寂しくなるわね」

もはやそこに何があったのかさえ気にしなくなる。
時の流れは残酷だ。

「でも新しい店がオープンするかも?」
「・・・ないことはないなw」

決して立地は良くない。
けど、ちょっと立ち寄るには丁度良い。

「出来れば花屋がいいな」
「・・・なるほどね!」
J1271
(No.1271完)
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[No.1271-1]地元の本屋

No.1271-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
地元の小さな本屋が店を畳んだ。
ほんの数か月前までは営業していたのに。

「思い入れのある本屋だったの?」
「そこまでではなかったけど」

ただ、物心がついた時にはそこにあった。
駅前の交差点の角に。

「ある意味、そこにあって当然だったからさ」
「寂しいと言うか、違和感と言うか」

何とも言えない気持ちになった。
本来あるべきものがそこにない。

「お世辞にも儲かってはなかったと思うけどw」
「失礼よ」

でも、事実だ。
正確には商売っ気がないと言った方がいいだろう。

「多分、商売をやめたと言うより・・・」

店主が亡くなったんだと思う。
年齢的に考えても。

「そうなんだね」
「だから・・・」

何とも言えない寂しさがある。
小さくても町の灯りが消えた気分だ。

(No.1271-2へ続く)

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[No.1270-2]迷子のかるがも

No.1270-2

「だから鳴いてるんやね」
「そのようだな」

かなり浅い水深の小川をちょこまかと動いている。
ただ、見渡せる範囲に親も子供たちもいない。

「はぐれたのかな?」
「そうみたいやな」

鳴き声が逆に小さくなっている。
不安気な声は心細さに変わったようだった。

「どうする?」
「どうするって・・・」

浅い川とは言え、容易に入っていけない。
それに相手は野生の鳥だ。

「手を貸すのはどうかと・・・」
「そう言うてもな・・・」

この場合、何をどうするのが正解なんだろうか?
もちろん、何もしないと言う選択肢もある。

「見守ろう・・・か?」
「・・・せやね」

野生ではよくあることだろう。
いちいち反応してはいられない。

「冷たいようだけど」
「野生に任せよう」

小さく頷く彼女がいる。
その顔に迷いはない。

「きっとそれが正解やねんな」
J1270
(No.1270完)
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[No.1270-1]迷子のかるがも

No.1270-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
どこからか鳥の鳴き声が聞こえる。
聞いたことがあるような、ないような・・・。

「ほんまや・・・」
「聞いたことがある」

専門家ではないが、何となく不安気に聞こえる。
その鳴き声が。

「あれ、見てん!」
「・・・かるがも?」

ひな鳥イコール、かるがもだ。
水鳥と言えばそれ以外、選択肢はない。

「そうみたいやな」
「近付いてみる」

驚かせないように近付いてみた。
やはり、かるがもの雛に間違いない。

「結構、小さいよな?」
「うちもそう思う」

テレビで見掛けるよりもかなり小さく感じる。
生まれたばかりかもしれない。

「・・・いないよな?」
「・・・せやね」

かるがもと言えば、アレだ。
親鳥がひな鳥を引き連れて・・・。

「・・・やっぱり、いない・・・」

子の姿は見えども親の姿はどこにもない。

(No.1270-2へ続く)

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ホタル通信 No.575

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.542 カタログギフト
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

ほぼ実話と言っても過言ではありませんが、オチの部分は創作です。そんな都合がいい展開はありませんw

とは言え、実際に誕生日を前にして何かプレゼントを贈ったのがこの小説です。相手は遠く離れた場所で働く会社の同僚で、恋愛関係や恋愛感情ではなく、一種のイベントのような感じでした。分かりやすく言えば、プレゼント交換みたいなノリです。で、何をプレゼントしようか、散々迷った挙句、特定の品を贈るのを避け、カタログギフトを贈ってしまった・・・というのが今回の小説です。

つまり、私は逃げてしまったわけです。小説にも書いている通り、プレゼントって、それが喜ばれるか、喜ばれなくても自分で決めるのに意味があると思います。偉そうですが、そんなこんなを通じて大人になるんじゃないかと思います。
まぁ、そんな偉そうなことを言っている私が一番臆病者だったわけです。それなのに自分に都合が良い終わり方をしているわけですから、「これってどうよ?」と自分で自分に突っ込みながら、今、ホタル通信を書いています。
Jt575
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[No.1269-2]目玉にこしょう

No.1269-2

「実家?」
「つまり、小さい頃からそうだった・・・と?」

物心ついた時にはすでにそうなっていた。
早い話、母親がそうだったからだ。

「そうよ」
「だから、今もそう」

別に醤油やソースが嫌なわけじゃない。
ある意味、習慣がそうさせる。

「それに食べる時じゃなく」
「作ってる最中に掛けちゃうんだよね」

だから、他の調味料の出番がない。
そう考えると簡単だ。

「美味しい?」
「もちろん!」

それもあってこしょうを掛ける。
あえて他の調味料に頼る必要もない。

「なるほど・・・」
「何だか食べたくなってきたな」

シンプルだけどそれがいい。

「じゃあ・・・明日の朝食はそれでいい?」
J1269
(No.1269完)
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[No.1269-1]目玉にこしょう

No.1269-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「何だよそれ!?」
「罰ゲーム?」

だとしたら今の時代、完全にNGだろう。
炎上必至だ。

「そんなわけないでしょ!?」
「だったら何だよ?」

目玉とは目玉焼きのことだ。
顔のパーツのことではない。

「だったら最初からそう言えよw」
「あなたが早とちりしたんでしょ・・・」

目玉焼きに“何を”掛けるか・・・。
ただそれだけのことだ。

「よくある話だよな?」
「目玉焼きに何を掛けるか問題」

私の場合、こしょうを掛ける。
加えて塩も。

「塩は分かるけど・・・」
「なんでこしょうなの?」

その理由は簡単だ。
実家ではそれが定番だったからだ。

(No.1269-2へ続く)

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[No.1268-2]決死のミミズ

No.1268-2

「相変わらず独特な感性ね・・・」
「そう?」

一匹ならいざ知らず、見える範囲でも両手近くいる。

「ミミズにフィーチャーするの凄くない?」
「あんたの言い方も相当なものよ」

彼らを駆り立てたものは何だったんだろう。
土の中にいれば死なずに済んだだろうに。

「何かあったんだろうね」
「こんなにたくさん出てきてるんだから」

居場所を追われた・・・。
そんな感じもしなくはない。

「大袈裟ねw」
「でも、可能性は否定できないわね」

いずれにしても、決死の覚悟だったに違いない。
新天地を求めて道を渡る・・・。

「そこで力尽きた・・・か」
「何だか切なくなってきたよ」

人知れず壮大な物語があった。
・・・ということにしておこう。

「それはそれとしてもう行かなきゃ遅れるわよ」
「・・・だね」

何だろう・・・少し勇気が湧いてきた。
J1268
(No.1268完)
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[No.1268-1]決死のミミズ

No.1268-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
何がそうさせるのだろうか・・・。
命をかけてまで。

「どうしたの?」
「・・・これ見て」

足元を指さす。
そこには・・・。

「なにこれ?」
「ん?えっ、えっ!?」

そこには命尽きたミミズがいた。
どうみても干からびている。

「わざわざ指さすこと!?」
「ほら、あっちも見てよ」

足元だけではなく、至る所で命尽きている。
同じように干からびて。

「ちょっとキモイ!」
「かもしれないけど」

遊歩道の脇で力尽きた感じだ。
でも、なぜこんなところにいるのだろうか?

「ミミズって土の中にいるじゃん?」
「なんでこんなところに・・・」

連日の暑さで道路は灼熱地獄だ。
例えるならフライパンで焼かれるようなものだ。

(No.1268-2へ続く)

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ホタル通信 No.574

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.673 私たちの見出し
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

話の主軸である見出しに関することはほぼ事実です。実際に高校時代、国語の授業で先生から絶賛されたことがありました。

小説の通り、何らかの文章を読んで、それに対して新聞風の見出しを付けるという国語の授業があり、記憶は定かではありませんが「古き良き時代、青春」のような見出しを付けました。
まぁ、これのどこが良かったのかは定かではありませんが、見出しって、そのワンフレーズで記事を読んでみたいとか、およその記事の内容が分かるのが望ましい姿です。単なる目次ではなく、俳句のようにそこにすべてを凝縮するような感じです。

この小説はこの見出しの思い出をベースに肉付けして、いつもの恋愛系のオチで締めくくるというパターンです。ただ、これも記憶は定かではありませんが、当初からオチが決まっており、それに向けて書き進めました。このような小説は筆が進むので、多分、30分程度で完成したんじゃないかと思います。ちなみに、このオチを含めた展開は創作です。

今の仕事と全く無関係ではなく、不思議な縁を感じます・・・というかある意味、得意としていたからこそ、何となくその道に進んだのかもしれませんね。
Jt574
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[No.1267-2]それはゴミ袋

No.1267-2

「それは・・・あぶないね」
「でしょ?」

その白い猫は一向にじゃれつくことをやめない。
今にも後輪に巻き込まれそうだった。

「そしたら・・・」
「えっ!?まさか・・・」

その心配が現実になった。
猫が後輪に巻き込まれたからだ。

「やだ・・・」
「心臓が止まりそうになったよ」

ただ、その自転車は止まる気配を見せなかった。
多少、何かを気にしている様子ではあったが。

「いやいや!」
「そんなわけないでしょ!?」

確かにその通りだ。
違和感なんてものじゃ済まされないからだ。

「それより、その猫ちゃんはどうなったのさ!」
「・・・そのことなんだけど」

口をつぐむ私を察してか、友人の顔が曇る。

「・・・そっか」
「残念だったわね」

そう・・・残念だった。
でも、残念だったのは私の方だった。

「実は白い猫だと思ってたのは・・・」
J1267
(No.1267完)
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[No.1267-1]それはゴミ袋

No.1267-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
追い風の時の通学は楽だ。
軽くこいでも前に進む。

「えぇー!」

白い野良猫が前を行く自転車を追いかけていた。

「ちょっと聞いてよ!」
「あぁー朝からうるさいぃ!」

つい声が大きくなってしまった。
それだけバカみたいな経験をしたからだ。

「ごめん・・・」
「何があったの?」

今朝の出来事だ。
いつも通り、川沿いの道を自転車で走っていた。

「そしたら・・・」

前を行く自転車の後ろを野良猫が追っかけていた。
じゃれつくような感じで。

「・・・なんか珍しい光景ね?」
「でしょ!?」

犬ならありそうな光景だ。
野良犬ではなく、飼い犬の場合だが。

「それで?」
「えぇー!ってな感じで見てたのよ」

自転車に巻き込まれないか心配でもあった。
後輪のすぐそばでじゃれついていたからだ。

(No.1267-2へ続く)

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[No.1266-2]ひっそりと静かに

No.1266-2

「ある市民グループが見つけたんだって」
「国会図書館から」

そのわりにはニュースで聞いたことがない。
今まで一度も。

「私たちだけが知らなかった?」
「それはないと思う」

けど、今は知って良かったと思う。
これも何かの巡り合わせのような気がする。

「7月26日だったそうよ」
「約80年前だけど」

その日が近い。
だからこそ、何かを感じずにはいられない。

「そうなんだ・・・」
「特別な日になりそう」

そこには縁もゆかりもない。
もちろん、訪れたこともない。

「ただ、手をわせることはできる」
「・・・だね」

歴史の中でひっそりと静かに・・・。
けど、それは確かにあった。

「模擬原子爆弾投下跡地・・・か」
「忘れられない夏になりそうね」
J1266
(No.1266完)
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[No.1266-1]ひっそりと静かに

No.1266-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「えっ・・・なにこれ?」

それは全く予期しない出会いだった。

「ねぇ、知ってる?」

昨日、地図で見つけたある場所のことを話した。

「全然、知らなかったよ」
「もちろん、私もよ」

ただ何となくパソコンで地図を見ていた。
特に理由もなく、ぼんやりと。

「そしたら・・・言葉を失ったわ」
「そうなるよね」

今まで生きてきてそんな話を聞いたことがない。
まぁ、言うほど長く生きてはいないが。

「で、ちょっと調べてみたんだ」
「どうだった?」

拍子抜けするほどいとも簡単に検索された。
ただ、内容を読んでみると・・・。

「約30年前に明るみになったみたい」
「えっ・・・そうなの?」

一般的には30年前は相当昔だ。
でも、その歴史を踏まえるとごく最近と言える。

(No.1266-2へ続く)

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ホタル通信 No.573

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.694 立ち入り禁止
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

その昔は、オチを恋愛関係に持ってくるパターンが多かったですね。逆に今はこの手の話は減ってきているように思えます。

そこそこの実話度が表す通り、小学生の時、この看板で随分と盛り上がっていたことを今でも覚えています。それも一度や二度ではなく、看板の前を通る度にw
今はこんな看板が無いと言いますか、あからさまに危険な場所が少なくなっているため、看板を立てる必要が無いと言った方がいいですね。子供の頃はそれはそれは危険な場所がありましたから。

この看板を見つけると、立ち入り禁止の場所に入りそうな行動をとるのですが、小説の通り、入ることはまずありません。ふざけてはいるものの、その危険性を子供ながらに感じていたからだと思います。そんなこんな展開から、冒頭に書いた通り、しれっと恋愛話にすり替えて行きます。自分で作っておいて何ですが、多分、最初はそんなつもりはなかったように思えます。何となくそんな展開になったので・・・という感じでしょうか。

オチの部分はありがちな創作です。男子って口だけ強気で行動に移せない臆病者!っていう展開で終わらせています。
Jt573
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[No.1265-2]ブラックタイガー

No.1265-2

「子供の頃?」
「実は母が好きで・・・」

好きだけど食べている姿は見たことがない。
いつも口癖のように“好きだ”と言っていただけだ。

「だから高級品なんだと・・・」
「昔はそうだったのかもね」

確かにその可能性はある。

「でもどうしたの急に?」
「ほら、今なら腹一杯食べてもらえたのに」

一応、普通程度に稼げるようになった。
だから、そうすることもできる。

「もう少し早く思い出したかったな・・・」

気付いた時に母は居ない。
“孝行したい時分に親はなし”とはこのことだ。

「別に貧乏じゃなかったけど」
「子供が3人いたからさ」

それなりに生活は大変だったと思う。
それは大人になったからこそ分かる。

「母にとってはごちそうだったんだろうな」

母の命日が近い。
J1265
(No.1265完)
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[No.1265-1]ブラックタイガー

No.1265-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
スーパーで、ある食材に目が留まった。

「あれ?嫌いじゃなかったっけ?」
「そうだよ」

目の前に大ぶりのエビが3匹パックされている。
そこにはブラックタイガーと書かれている。

「もしかして・・・克服した?」
「してないよw」

僕は甲殻類が大の苦手だ。
特に焼いたエビは吐き気さえ覚える。

「相変わらず重症ね」
「仕方ないだろ?」

気付けば苦手になっていた。
特別な理由はない。

「それなのに何でよ?」
「こんなに安かったんだ・・・これ」

もっと値段が高いと思っていた。
普段、見慣れていないこともあって。

「そう?いつもこんなものよ」
「そうなんだ・・・」

どうやら子供の頃のイメージとは違うようだった。

(No.1265-2へ続く)

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