[No.1263-2]ふたつの願い
No.1263-2
「納得できない!」
「・・・だよな」
俺も納得はしていない。
けど、ある意味にホッとしている自分が居る。
「どういうこと?」
「ほら、ますます忙しくなるだろ?」
そうなるとこうしてのんびりできる時間も限られてくる。
それだけは避けたかった。
「でも、試験には落ちたくなかった」
試験には合格して、昇進は逃したい。
心のどこかでそんな気持ちがあった。
「矛盾した願いなんだよな」
「会社的にはあり得ないことだから」
けど、そのあり得ない願いが叶った。
「だから、複雑な心境だよ」
「・・・そうだったんだ」
彼女は応援してくれた。
二人で願掛けにも出かけた。
「ごめんな」
「ううん、合格したんだから願いは叶ったよ!」
そう・・・確かに叶った。
神様は迷う俺の願いを見事に叶えてくれた。
「まぁ、頑張りは無駄じゃないよ」
「これからの仕事に生きてくるさ!」
それに試験に合格したという自信が付いた。
それは変えようのない事実だ。
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