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2024年6月

[No.1264-2]やさしい夢

No.1264-2

「でも、それくらいなら・・・」
「この夢の良い所はここからなんだよ」

女性が上着を掛けてくれた後、周りの雰囲気も変わった。
次々と僕のところにやってくるようになった。

「食べ物やお金・・・」
「色んなものを僕にわけてくれた」

その時、経験したことがない幸せに包まれた。

「だよねw」
「夢の中とは言え」

その後、間もなくして夢から覚めた。
そして今に至るわけだ。

「なるほど」
「それなら人に話したくもなるわね!」

そう・・・特に目の前に居る人には。

「ん?どうして?」
「それは・・・」

その女性とはまぎれもなく彼女だった。

「えっ!?」
「そうだったの?」

驚きながらも何だか嬉しそうな表情だ。
それに夢と同じやさしい表情でもある。

「ありがとう・・・な」
「夢でしょw」

いや・・・現実でも助けてくれたことも含めたお礼だ。
J1264
(No.1264完)
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[No.1264-1]やさしい夢

No.1264-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
多分、初めての夢だった。
起きた瞬間、何とも温かい気分になった。

「どんな夢?」
「興味ある!」

寒空の下、なぜか裸の自分が居る。
どうやら、ホームレスの設定らしい。

「設定ってw」
「いいだろ?」

ホームレスの自分を遠くから見ている。
いわゆる神の目線だ。

「それに裸ってw」
「仕方ないだろ?夢なんだから」

裸で道に座り込んでいた。
ただ、そこにいやらしさはない。

「それで?」
「しばらくそこに座っていると・・・」

一人の女性が目の前を通り過ぎた。
けど、通り過ぎた後、戻ってきた。

「そしたら、自分が来ていた上着を」
「僕に掛けてくれたんだ」

白い目で見られている僕に躊躇なく。

「・・・優しい人ね」
「あぁ、どう見ても僕は危ない人だろw」

その優しい笑顔を今でも覚えている。

(No.1264-2へ続く)

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ホタル通信 No.572

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.540 ネコの居場所
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:女性

ほぼ実話です。と言いますか、昔、実家でネコを飼っていたのでその思い出をそのまま書いただけですw

フッと昔に飼っていたネコのことを思い出し、そう言えばテレビの上がお気に入りだったな・・・と。でも今の時代は、それは無理だな、と気付いたのが小説のきっかけでした。
当時のテレビ台は、単に台に乗っけるタイプではなく、四方を壁に囲まれたような台で、テレビを収納するようなタイプでした。そのため、テレビの上は開放されておらず、天井が存在したわけです。ネコって、そんな狭いスペースが好きなんですよね。

でも、丁度、しっぽが画面に垂れ下がり、「こら!」と声を掛けるも、しっぽが可愛く反応するだけです。まぁ、こんなやりとりもネコ好きには至福の時間だと言えるのでしょうね。話を戻すと、テレビがブラウン管から薄型テレビになったことでネコの居場所をひとつ奪ってしまう結果となりました。前述した通り、狭い場所に加えて、心地よい暖かさも感じられますからね、昔のテレビは。そこがどんなに心地よかったことでしょう。

今後、もしネコちゃんを飼うことがあったら、そんな昔の環境を出来る限り、再現したいと考えています。彼らはやっぱり、自由気ままが似合ってますから。
Jt572
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[No.1263-2]ふたつの願い

No.1263-2

「納得できない!」
「・・・だよな」

俺も納得はしていない。
けど、ある意味にホッとしている自分が居る。

「どういうこと?」
「ほら、ますます忙しくなるだろ?」

そうなるとこうしてのんびりできる時間も限られてくる。
それだけは避けたかった。

「でも、試験には落ちたくなかった」

試験には合格して、昇進は逃したい。
心のどこかでそんな気持ちがあった。

「矛盾した願いなんだよな」
「会社的にはあり得ないことだから」

けど、そのあり得ない願いが叶った。

「だから、複雑な心境だよ」
「・・・そうだったんだ」

彼女は応援してくれた。
二人で願掛けにも出かけた。

「ごめんな」
「ううん、合格したんだから願いは叶ったよ!」

そう・・・確かに叶った。
神様は迷う俺の願いを見事に叶えてくれた。

「まぁ、頑張りは無駄じゃないよ」
「これからの仕事に生きてくるさ!」

それに試験に合格したという自信が付いた。
それは変えようのない事実だ。

「そうね、そんなあなたが好きよ」
J1263
(No.1263完)
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[No.1263-1]ふたつの願い

No.1263-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
本来、あり得ない願い事が叶った。

「それで、どうだったの?」
「えっと・・・」

経営職の候補者として数々の試験に挑んだ。
ここ数カ月間。

「・・・ダメだった・・・とか?」
「ううん、合格したよ」

そう・・・試験にはすべて合格した。
それも追試ではなく一発で。

「そうなの!?」
「でも、その割には・・・」

確かに彼女言う通りだ。
本来ならもっと喜んでいい。

「実は試験には合格したんだけど」

諸事情で昇進には至らなかった。
合格イコール昇進のはずなのに。

「諸事情・・・って?」
「年齢とか、業績とかだって」

ここ最近、会社の業績が思わしくない。
加えて組織の若返りも必要だと言う。

「あなただって十分若いじゃない!?」
「そうなんだろうけど」

結局、試験には合格したが、昇進は果たせなかった。
前代未聞のことだった。

「他にも俺と同期のやつも」

同じ理由で昇進を逃したらしい。

(No.1263-2へ続く)

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[No.1262-2]なぜこんな場所に

No.1262-2

「ある問題?」

かなり深刻な問題だ。
ただ、私と言うより、それと言うか・・・。

「それ?」
「そう!サナギのことだけど」

サナギには今朝、気付いた。
でも、少なくとも、数日前からそこに居ただろう。

「それがなに?」
「だから!」

会社までは片道30分だ。
つまり、往復で1時間の距離を走っている。

「かなりの振動が伝わってると思わない?」
「サナギに」

風に揺られるのとはわけが違う。
悪影響が出なければいいが。

「それなら取っちゃえば?」
「そう簡単に言わないでよ」

取れるものならとっくに取っている。
けど、取ることができないから困ってる。

「どうしてよ?」
「剥がしたら死んじゃう・・・おそらく」

経験がある、子供の頃に。
サナギは壊れやすい。

「だから明日から電車で通うことにするから」
J1262
(No.1262完)
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[No.1262-1]なぜこんな場所に

No.1262-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(ん?何だろう・・・)

自転車の前輪の中心に何かくっ付いている。
もしかして・・・。

「で、何だったのよ?」

今朝の出来事を同僚に話した。

「最初、噛んだガムだと思ったのよ」
「いたずらされたって!」

本当に噛み終わったガムだと思った。
色も形も。

「でも良く見たら・・・」

恐る恐る顔を近づけてみた。
すると・・・。

「だから何なのよ!?」
「サナギ、何かしらの」

イメージするなら蝶のサナギだ。
その形を口で伝えるのは難しい。

「サナギ!?」
「多分、そうだと思う」

明らかに何らかの意思を持った形をしていた。
それに何よりも・・・。

「ピッタリとくっ付いているんだもん!」

でも、だからこそ、ある問題があった。

(No.1262-2へ続く)

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ホタル通信 No.571

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.533 Perfect Sky
実話度:☆☆☆☆☆(0%)
語り手:女性

実話をもとにしているとは言え、そもそも掴みどころがない小説を書くことが多い中、その中でも時より空想チックな話を作ることがあります。

この小説、実話度が示す通り、全くの創作で、最初にタイトルを決めて、それに合いそうな話をでっち上げましたw肝心のタイトルですが、アイドルグループと言えば良いのでしょうか・・・その方々の曲のタイトルを拝借しました。では、なぜ、数ある曲のタイトルからそれを選んだのかと言うと、たまたま映画を見に行った時に、その曲のPVが流れていたからです。

ですが、曲もグループも知らず、ただ「いい曲だな」と思い、うる覚えの歌詞やメンバー構成などから、調べに調べてようやくその曲に辿り着いたわけです。ですから、この小説、中身よりもタイトルに思い入れがあり、だからこそ、中身は空想チックなんです。
本来なら、曲に辿り着く様子を小説にしても良かったのですが、その手の小説は覚えているだけでも1つ書いているため、あえて今回のような掴みどころない小説にしたわけです。ただ、空をテーマにした小説はかなり書いており、まさしくどこまでも続く空のように、ネタの可能性は無限だと思っています。

空の向うには何があるのか・・・その時々の心情や置かれている環境によってその答えは違ってくるとは思います。その答えを求めて、今日もその空を眺める自分が居ます。
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[No.1261-2]たまには追い風

No.1261-2

「気持ち良かった?」
「そう!追い風、最高!」

帰路の途中で追い風に変わった。
すると・・・。

「例えるならヨットね」
「風を受けて走る」

友人があきれた顔で私を見ている。

「まんまの例えじゃん」
「そ、そうかな」

でも、その例え以外あり得ない。
ヨットに乗ったことはないけれど。

「追い風がこんなに楽だなんて」
「知らなかったよ」

まるでアシスト自転車のようだった。
これまた乗ったことはないけれど。

「何なのよ、それw」
「どっちも想像じゃん」

とは言え、その気持ち良さは爽快だった。

「で、結局、何が言いたいのさ?」
「えっ・・・と」

・・・何が言いたかったのだろう。
今さらだけど。

「た、たまにはいいよね、追い風も?」
J1261
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[No.1261-1]たまには追い風

No.1261-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「前に話したこと、覚えてる?」
「何よ、唐突に・・・」

以前、友人にあることを話した。
ある理不尽なことを。

「理不尽・・・」
「もしかして・・・向かい風のこと?」

さすが友人、察しがいい。
理不尽の一言でそれが何か当ててきた。

「そう!その向かい風のこと」
「で、その風がどうしたって?」

昨日の会社帰りのことだ。
いつもの通り、自転車を漕いでいた。

「また向かい風が?」
「そうなんだけど今回はちょっと違うの」

そう、今まではどの方向に進んでも向かい風になる。
それが理不尽、極まりない。

「違う?」
「今回は・・・」

追い風になった。
不思議なくらい。

「・・・なら良かったじゃん」
「そうなんだけど!」

それが何とも気持ちよかった。

(No.1261-2へ続く)

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[No.1260-2]量産型な私

No.1260-2

「あははw」
「確かに今は・・・ね」

友人が笑うのも無理はない。
今は個性の塊だからだ。

「いつから、変わったの?」
「・・・いつだろう」

変わったタイミングを思い出せない。
ただ、高校を卒業するまでは変わらなかった気がする。

「何かきっかけがあったはずよね?」
「多分、そうだと思う」

大学に進学して何かに目覚めた可能性がある。
サークルとかを通じて。

「まぁ、いずれにせよ」
「悪いことじゃない」

今はむしろ、人と同じであることが嫌いだ。
ファッションはもちろん、考え方ですら。

「随分な変わりようねw」
「ほんと笑っちゃうくらい」

小さい頃はほんと量産型だった。
今ふうに言えば。

「量産型ってw」
「ガンダムじゃあるまいし」

でも、一言で言えば量産型だった。

「今はシャア専・・・」
J1260
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[No.1260-1]量産型な私

No.1260-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
今ふうな表現かどうか分からない。
けど、表すならそれが似合う。

「私ね、子供の頃は・・・」

とにかく人と同じでなきゃ嫌だった。
同じがいいと言うより、違うことが嫌だった。

「なんか分かるような分からないような」
「私もそんな感じw」

例えば、小学生の時の裁縫セットだ。
欲しかったわけじゃないけど、皆に揃えた。

「ほら、家にあるならそれで良かったのに」
「あえて買ったんだよね」

皆と違う・・・それが嫌だった。
ただ、明確な理由はなかった。

「反抗期?」
「ではないと思う」

とにかく、人と違うことを嫌った。
ある意味、目立ちたくなかったのかもしれない。

「あるいは・・・」

人と違うことに不安を覚えていた。
何となくだけど、そんな記憶もある。

「なるほど」
「それはあるかもね」

今では到底考えられないけれど。

(No.1260-2へ続く)

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ホタル通信 No.570

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.665 投稿職人
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

今思えば投稿職人の気質はこうしてブログとして花開いているのかもしれません、自分で言うのも何ですが。

始まりは中学生の時、学習教材の情報交流の場に投稿したのが始まりでした。そこから、他の雑誌やラジオに活動の場をひろげて小説に書いてある通り、編集部からも特別扱いされていた時期がありました。
ただ、内容に関しては幼稚と言うか、くだらないダジャレや下手くそなイラストが中心でした。それでも、当時から何かを考え、それを形にする・・・という創作活動は冒頭に書いた通り、今のブログに通じるものがありますね。

不思議なもので現在の仕事も少し似たところがあり、企画したり、資料を作ったりと「考える」ことが多く、それが苦にならないのは昔からの職人気質が関係しているのだと自己分析しています。当時は有名になりたいとか、一目置かれたいと思ったわけではなく、単に投稿が掲載されたり、読まれたりすることに素直に喜びを感じていました。

その割にはブログ止まりで、SNS関係は全く興味はありません。まぁ、自己満足のブログですから、視聴者ゼロでも続けて行くことに喜びを見出していますw
Jt570
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[No.1259-2]アップハンドル

No.1259-2

「知らなかった」

当時は不良のシンボルでもあった。
不良と言っても、ちょっと悪ぶった程度だが。

「不良ってw」
「だから当時は・・・だよ」

今はむしろおしゃれに見える。
車高の低い自転車に似合う。

「さっきは後付け感がどうのこうのってw」
「あははwだったよな」

いずれにせよ、僕にとっては懐かしい。
今さらだけど。

「ほんとよ」
「この自転車、もう2年は乗ってるのよ?」

なぜだか、この話題を持ち出さなかった。
特に理由はない。

「ただ・・・」
「最近、フッと思い出すことが増えて」

何度も目に入っていたはずなのにそれに気付かない。
けど、ある時、急にそれに気付く。

「ふ~ん・・・でそれだけ?」

何かに気付けという顔がそこにあった。
J1259
(No.1259完)
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[No.1259-1]アップハンドル

No.1259-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
中学生の時、自転車であるものが流行った。
それは今でも見掛けることがある。

「アップハンドルって知ってる?」
「正式な名前かどうか分からないけど」

ただ、そのブームは数年で終わった。

「アップハンドル?」
「ハンドルだよね、何かの?」

あれこれ説明する必要はない。
それが目の前にあるからだ。

「もちろん」
「ちなみにそれだよ、それ」

彼女の自転車を指さした。
そのアップハンドルがあるからだ。

「それ・・・って、これのこと?」
「そうだよ」

彼女の自転車は中古品だ。
それもあって前の持ち主が改造したようだ。

「改造?」
「最初はそのハンドルじゃない」

その自転車にそぐわないハンドルだからだ。
後付け感が半端ない。

(No.1259-2へ続く)

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[No.1258-2]給食の匂い

No.1258-2

「機械の匂い?」
「ほら、大釜というか」

テレビでもたまに見かけるあの大きな釜だ。
そこで大量の食材を調理する。

「あぁ、あれね」
「給食のおばさんが使う」

そう!それだ。
昔風に言えば。

「その釜と食材が相まって」
「独特の匂いがするんだよ」

とは言え、あくまでも僕がそう思うだけだ。
でも、僕にはそうとしか感じない。

「・・・ちょっと待って」
「私も意識して嗅いでみるから」

同僚が鼻をクンクンし始めた。

「どうだい?」
「・・・そうね」

しばらく沈黙が続いた。

「・・・まぁ、言ってることは分かる」
「確かに食材以外の何かも感じるわね」

しばらくそこから離れることが出来なかった。
J1258
(No.1258完)
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