[No.1256-1]なぞの根っこ
No1256-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「これ見てよ」
「なに?」
前から不思議に思っていたことがある。
それが今も目の前にある。
「根が生えてる?」
「そうなんだよな」
流し用排水口のゴミ受けから根が生えている。
容器の底の2ミリ程度の穴から。
「何の根なの?」
「こっちが聞きたいよ」
根と言ってもモヤシのような太いものではない。
それこそ、糸くずレベルの極細の根だ。
「心当たりは?」
「それが・・・」
ゴミ受けを掃除している時のことだ。
非常に小さな粒を見つけることがある。
「粒?」
「あぁ、極小の豆みたいな」
例えるなら、マスタードの粒がそれに似ている気がする。
でも、そうそうマスタードは口にしない。
「仮に・・・仮にだよ」
「それがマスタードの粒だとして」
それが発芽するとは思えない。
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