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[No.1257-1]トンボ

No.1257-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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「あれ見て?」
「なに?」

学校のグラウンドで久しぶりにそれを見た。
夕暮れのグラウンドにそれが映える。

「懐かしいね!」
「思い出すよね」

高校生の時、陸上部に所属していた。
練習終わりにはいつもそれを使っていた。

「トンボってさぁ・・・」
「青春って感じしない?」

練習そのものより、終わった後がエモい。
今風に言えば。

「そうなんだよな~」
「今のように夕日に照らされながら・・・」

静かにグラウンドを整備する。
不思議なくらい誰もしゃべらない。

「なんでだろうねw」
「充実してるからじゃない?」

練習疲れは苦ではない。
むしろ、心地よい充実感を残してくれた。

「それを噛み締めてるわけよ」
「みんな」

それは部活を経験した者にしか分からない。

「・・・だね」
「彼らもそうなんだと思う」

グラウンドを整備している彼らも無言だ。

(No.1257-2へ続く)

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