[No.1250-1]あの時の空
No.1250-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「昨日、あの時の空を見たんだ」
「あの時?」
会社帰りに、桃色に近い夕焼け空を見た。
雲はまばらで、どことなく寂しげな空だった。
「俺ってさぁ」
「10年前にここに転勤してきただろ?」
初めての転勤だった。
しかも、かなり遠い場所へ。
「知ってる」
「その時に見た空と?」
会社の寮に向かう途中にその空を見た。
昨日と同じように何とも寂しげな空だった。
「それって・・・」
「心境がそう見せてるんじゃないの?」
確かにそれは否定できない。
初めての転勤で不安しかなかったからだ。
「でも、昨日は」
「そんな心境ではなかったんだよな」
だからこそ、似ている空が思い出させてくれた。
そう思っている。
「不安と期待が」
「そのまま空の色に表れたのかな、当時は」
寮に向かう足取りは重い。
まぁ、新生活は誰もがこんな感じだとは思うが。
「そんな時もあったんだなって」
妙な懐かしさを覚えた。
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