[No.1251-2]あの匂い
No.1251-2
「どういうこと?」
「ほら、あれを見てよ」
その答えが近くにある。
そして、今まさに匂っている。
「畑だよね?」
「何だか荒れてるようにも見えるけど」
確かにそう見えなくもない。
でも、そうではない。
「余分なキャベツを放置してるというか」
「それって荒れてるんじゃない?」
でも違う。
説明が難しいが。
「とにかく次の野菜を育てる準備だよ」
「一言で表すと」
そのキャベツが匂ってくるのだ。
ただ、腐った匂いではない。
「・・・私は感じないけど?」
「そうなの?」
軽く発酵したような匂いだ。
ホワっとしているというか。
「その表現w」
「笑うなよ」
早春の暖かさと相まってそんな匂いがする。
だから、今、しているのだ。
「ふ~ん」
「でも、言われてみたらそんな匂いがするわね」
二人で意識的に匂いを嗅いだ。
その時、ランチのメニューが決まった。
(No1251完)
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