« 2023年12月 | トップページ | 2024年2月 »

2024年1月

[No.1240-2]冬の終わり

No.1240-2

「口話悪く言えば・・・」
「面倒になったからかな?」

会えない時間が苦ではなくなった。
むしろ、肩の荷が下りた気分だった。

「肩の荷ってw」
「笑わないの!」

でも本当にそうだった。
ホッとしたと言うか・・・。

「無理してたんじゃないのか?」
「・・・かもしれないね」

どちらかが連絡をすれば状況は変わったはずだ。
でも、お互い行動を起こさなかった。

「そうなると意地の張り合いと言うか・・・」
「だよな」

張る意地なんてなかったはずなのに。

「まぁ、そんなもんじゃないのか?」
「無責任な言い方だけど」

結局、別れを切り出すこともなく卒業を迎えた。
だから、正確には別れていないことになる。

「なるほど」
「そこは笑ってよw」

冬の終わりになると思い出してしまう。
ただ、彼に未練があるわけではない。

「青春とはそんなもんだろ?」
J1240
(No.1240完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1240-1]冬の終わり

No.1240-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
ある歌の歌詞が心に染みる。
まるであの頃の私たちのようだからだ。

「高校の時、付き合ってた人が居たの」
「何だよ、あらたまって?」

付き合っていたことを彼は知っている。
以前、私が話したからだ。

「自然消滅・・・だったよな?」
「よく覚えてるわねw」

特にきっかけとなるものはなかった。
すれ違いの積み重ねだったと思う。

「で?」
「そうだったわねw」

最初は週一で会っていた。
けど、ある時・・・。

「用事が出来て会えなかったことがあったの」

それは嘘じゃなかった。
本当に用事ができた。

「けど、次の週・・・」

会ってもトキメキがなかった。
2週間ぶりだったのに。

「それから、だんだんと会う間隔が長くなって」
「自然消滅?」

喧嘩したわけでもない。
会いたくないわけでもなかったのに。

(No.1240-2へ続く)

| | | コメント (0)

ホタル通信 No.560

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.523 気の早い桜
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:女性

最初にお詫びしなければなりません。実話度が高いにも関わらずラストの行動の意味が説明できません。

さて、それはさておき、桜の話はほぼ事実です。家の近くにだらしないゴミ置き場があります。ゴミ置き場って、一度、清潔感が崩れて行くと、なし崩し的に汚れていくような気がしています。ここの置き場もそんな感じです。
そんな場所のすぐそばで、季節外れの桜が咲いていました。あまりも鮮やかだったので、当初は作りものだと思っていました。ところが・・・これが小説を書くきっかけでした。

桜が開花するメカニズムはネットに譲るとして、簡単に言えば2月1日以降の気温の合計が、規定の温度を超えると開花するようですから、早咲きの桜はその場所だけ、条件が良かった・・・ということになりますね、理論的には。
ただ、自然界の出来事ですから、理論通りには行かないこともあるでしょうし、近くにゴミ置き場があるのでその影響かも知れません。
状況は以上の通りですが、冒頭に書いた通り、ラストの行動が説明できません。ここに行き着くまでの伏線として、「主張、存在感」があるのですが、これらを実現させるために、車をUターンさせた“はず”なんですが・・・。

意味が説明できない理由は、ここの部分は“創作”で“事実”ではないため、もしかしたら答えはなく、単なる匂わせだけなのかもしれません。
Jt560
web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1239-2]輝く文字

No.1239-2

「その行為自体がおしゃれなのかもな」
「今の若い子はね」

逆に集中できるのかもしれない。
実はどちらかと言えば俺もそういうタイプだ。

「そうだったわね」
「電車の中、だっけ?」

もっぱら勉強は電車の中でする。
通勤途中の電車の中で。

「静かすぎるのも・・・」
「だから丁度いいんだよな」

静かすぎると余計に雑音が気になる。
時計の音とか、家のきしむ音とか・・・。

「なら、カフェでもいいじゃん?」
「似合わないだろw」

さすがにこの歳で、それはない。
ここは若者たちに任せたい。

「そうかな?」
「意外に似合いそうよ?」

そう言われると試したくなる。
例え、お世辞や冗談だとしても。

「じゃ、お言葉に甘えて」
「頑張って!」

おもむろに参考書を開いてみた。
何だか文字が輝いて見えた。
J1239
(No.1239完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1239-1]輝く文字

No.1239-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「学生が多いね」
「なんで学生って分かるんだよ?」

何となく理由は想像つく。
でも、あえて聞いてみた。

「だって勉強してるじゃん」
「ノートとか広げてるでしょ?」

いつの頃からか、カフェで見掛けるようになった。
もはや風物詩とも言える。

「そうだけど社会人も居るだろうな」
「それは・・・そうだね」

ただ、彼らは二極化している。
真面目に勉強している人、そして・・・。

「振りをしてる人」
「ほら、あの人なんて」

ノートや参考書らしき本が溢れている。
テーブルの上は。

「でも、スマホをいじってるw」
「さっきから見てるけど、ずっと」

一向に勉強する気がなさそうだ。
それどころか、むしろスマホに夢中だ。

「それ、カフェあるあるw」
「でも、それも“あり”だよね?」

確かにカフェや時間をどう使おうが個人の自由だ。
逆に、そういう使い方もあるだろう。

(No.1239-2へ続く)

| | | コメント (0)

[No.1238-2]となりに君が

No.1238-2

「大丈夫か?」
「うん、もう平気」

大袈裟だが峠は越えた。
けど、気を抜くと再び痛みが襲ってくることもある。

「それ、あるあるなw」
「とにかく、ありがとう」

これまでも何度か足がつったことがあった。
その度に彼に助けられた。

「でも、もう夜中は勘弁してくれよw」
「ごめん、ごめん!」

とは言うものの、好きで足がつっているわけじゃない。
それは理解して欲しいところだ。

「じゃあ、もう寝るぞ」
「私も!」

意味もなく、彼の手を握る。
彼は彼で、その手を握り返してくれた。

「おやすみ」
「あぁ・・・」

力ない返事の後に、彼の寝息が聞こえてきた。

「はやっw」

「○○!」
「あ、足がつったぁ・・・」

その瞬間、無意識に彼の名前を呼んでしまった。
でも、彼からの返事はなかった。

「あっ・・・出張だった」
J1238
(No.1238完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1238-1]となりに君が

No.1238-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「○○!」
「あ、足がつったぁ・・・」

その瞬間、無意識に彼の名前を呼んでしまった。
でも、彼からの返事はなかった。

「○○!」
「あ、足がつったぁ・・・」

その瞬間、無意識に彼の名前を呼んでしまった。

「・・・ん?!」
「ど、どうしたんだよ!」

彼が慌てて声を掛けてきた。

「いてて・・・左足が・・・」
「つったのか?」

大きく頷く私が居る。
でも、薄暗い中、伝わっているかどうか分からないが。

「ちょっと待って」
「それにしてもよくつるよなw」

彼が左足を持ち上げる。
手慣れた手つきで処置を始めた。

「・・・そうかな」
「そうだよw」

学生時代、陸上部に所属していたと聞いていた。

「何度もつったことがあるよ」
「準備運動してないとな」

そう言いながらさらに処置が進む。
痛みは徐々に治まって行った。

(No.1238-2へ続く)

| | | コメント (0)

ホタル通信 No.559

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.659 初夢
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

タイトル通り、実際に見た夢をそのまま小説にしたのである意味実話度は100%ですが、所詮、夢は夢なので20%にしています。

夢なので、これ以上でも以下でもありませんが、初夢が妙にリアルと言うか、ホラー要素も含んだものでした。初夢がこれですから、今年1年どうなることかと思いましたねw
ただ、初夢に限らず、この手の夢を見ることが多く、たまたま初夢にあたってしまったような感じです。多分、この手のホラー話が好きなのことと、この手の話を某スマホアプリに投稿していることもあるかもしれません。

つまり、日頃、ホラー話のネタを考えていることが夢に影響を与えているのだと思います。話は反れてしまいますが、何気ない日常を描いている当ブログとは言わば真逆の作品を作っているわけですから、自分でも不思議に思っています。
さて、小説に戻ると、ラストの夢から覚めるまで、全て夢の中の出来事です。普通、起きた瞬間に忘れてしまいがちですが、この夢はまるで小説にしてくれと言わんばかりに記憶に残っていました。

夢を題材にした小説はなるべく作らないようにしているのですが余りにも印象に残ったものは逆に積極的に小説にしようと思っています。
Jt559
web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1237-2]老人と犬~アップデート~

No.1237-2

「なになに?」
「そのアップデートって!」

例の犬の首輪にLEDが付いていた。
緑に輝くLEDが。

「LED?」
「そっ!灯りの役目もあるんだろうけど」

さすがに周りを照らすほどの明るさはない。
でも、周囲に存在を知らしめるには十分だ。

「危なくないために?」
「だろうね、遊歩道は真っ暗だし」

小さな川沿いの道で、街灯はない。
辛うじて家から漏れる光が道を照らしている。

「自転車も多いからさ」
「私もそのひとりだけど」

自分と犬を守るためだろう。
もちろん、自転車を加害者にしないためにも。

「なるほど・・・アップデートしてる」
「でも、もうひとつあるのよ」

アップデートしているのは何も犬だけではない。

「お爺さんも何だが元気になってたの」
J1237_20240117194301
(No.1237完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1237-1]老人と犬~アップデート~

No.1237-1     [No.818-1]老人と犬

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
会社帰り、ほぼ毎日会う老人が居る。
いや、正確には老人と一匹の犬だが・・・。

「それって前、話してくれた・・・」
「そうそう!」

犬の散歩のため、時間に正確だ。
会社帰りの私も同じだった。

「また、犬が?」
「うん」

ただ、前と状況が違う。
居なくなったわけではない。

「・・・じゃない?」
「むしろ、いい話」

前は犬の姿が消え、やきもきしていた。
でも、今回は違う。

「いい話って・・・」
「アップデートしてたのw」

日が落ちるのが早くなってきてから気付いた。
そのアップデートに。

「えっ・・・アップデート?」

言葉の意味は微妙だが、私はそう思っている。

(No.1237-2へ続く)

| | | コメント (0)

[No.1236-2]靴を洗う

No.1236-2

「洗ってた?」
「うん、私じゃないけどねw」

新しい記憶では、高校生の時だ。
母が、スニーカーを時々洗ってくれた。

「スニーカーというより」
「上履きのような感じの靴だったな」

紐で結ぶタイプだったがシンプルな作りだった。
お気に入りで3年間、同じ靴で過ごした。

「もちろん、痛んだら買い替えたけどね」
「同じのにw」

母が靴を洗う・・・当たり前のように過ごしていた。
結構、重労働だったと思う。

「ブラシのようなもので」
「ゴシゴシ洗ってた」

そんな姿を覚えている。

「昔はそうだったかもね」
「今のスニーカー、ひ弱かもw」

もし、洗えないのが本当ならそうなる。
表現は適切ではないが。

「けど、汚さないように大事に履くよ」
「だね!」

ひょんなことから、また母のことを思い出した。
思い出の中に、常に母が居る。

「当時は“ありがとう”の一言も言えなかったな・・・」
「別に求めていなかったと思うよ、お母さんは」
J1236
(No.1236完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1236-1]靴を洗う

No.1236-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
かれこれ1年以上履いているスニーカーがある。
でも、1度も洗ったことがない。

「というか、洗えない」
「店の人が言ってたんだよね」

もちろん、種類にもよると思う。
それに洗い方によっては洗えるとは思う。

「私も聞いたことがある」
「イコール、“履き潰せ”ってことよね?」

確かに店の人もそう言っていた。
私たちが勘違いしているだけかもしれないが。

「そうそう!」
「でも、汚れたらどうしたらいいんだろう・・・」

まぁ、それを真剣に調べたわけじゃない。
だから、良い方法があるとは思う。

「そもそも“洗えない”ってことが」
「本当かどうかもあるけどねw」

店員を疑っているわけではない。
でも、何らかのセールストークということもある。

「だよね」
「それに洗濯機は無理だとしても」

つけ置き洗いなら、素材を痛めないように思える。
素人判断だけど。

「そう言えば・・・」
「思い出したことがある」

昔はスニーカーを洗っていた。

(No.1236-2へ続く)

| | | コメント (0)

ホタル通信 No.558

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.610 恐竜と怪獣
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

タイトルを見ただけで内容を思い出す小説です。随分と昔のことですが、今でも当時のことをよく覚えています。

実話度が示す通り、ほぼ実話です。小学生の頃、ウルトラマンが好きだった関係で怪獣が好きになりました。ゴジラはウルトラ怪獣ではないものの、ジャンルは同じと言っても良いでしょう。
ある日、母がデパートに行くついでに珍しく、おもちゃを買ってきてくれることになりました。もちろん、私は“怪獣”をリクエストしたわけです。怪獣の人形・・・マニアっぽく言えばソフビです。ただ、二つも三つも・・・と言うわけにはいかなかったので、ひとつだけお願いしました。ウルトラ怪獣なら何でもいいよ、と。

ところが・・・結末は小説の通りです。母が買ってきたのは怪獣ではなく、恐竜でしたw
もともと恐竜が好きで、この流れで怪獣も好きになったので、一目でそれが恐竜であることが分かりました。怪獣に比べたら恐竜の見た目は明らかに地味ですからね。
ただ、そこで「これじゃない!」と言うわけにもいかず受け取りました。そんな母親との出来事を少し視点を変えて小説化したのが本作です。

でも、残念な思い出ではなく、母が私のために数ある怪獣の中から吟味して、その結果として恐竜を選んでくれたことを今でも嬉しく思っています。
Jt558
web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1235-2]世界が変わる

No.1235-2

「納得せずにアドバイス頂戴よ」
「そう言われても・・・ね」

アドバイスを拒んでいるのではない。
出し惜しみをしているわけでもない。

「私もどちらかと言えば苦手な方だから」

私も引きずる方だ。
何事も。

「聞く人、間違えた?」
「かもしれないw」

でも、その昔、ある行動で切り替えることが出来た。
誰にでもすぐ出来る行動だ。

「えっ!是非、教えて!」
「それは・・・ね」

その昔、何となくその行動をして見た。
そしたら、見える世界が変わった。

「気持ちどころか」
「世界が変わったよ」

決して大袈裟じゃない。
本当にそうだった。

「早く教えてよ」
「お風呂よ、お・ふ・ろ」

友人がキョトンとした顔をしている。
無理もない。

「湯船に入ったら」
「いつもとは反対の向きに座ってみてよ」
J1235
(No.1235完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1235-1]世界が変わる

No.1235-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
世界は変わる、一瞬にして。
まぁ、世界の大きさは人それぞれだが・・・。

「気持ちの切り替えってどうしてる?」
「いきなり何よ?!」

友人が唐突に質問を投げかけてきた。
悩み事でもあるのだろうか?

「ほら、落ち込んだ時とか・・・」
「・・・失恋でもしたの?」

彼が居るのは知っている。
でも、仲良くしていたはずだ。

「失礼ね!今でもラブラブよ」

久しぶりに“ラブラブ”という言葉を聞いた。
何だかこっちが恥ずかしくなる。

「あら、そう・・・」
「っていうか、紛らわしい質問しないの!」

一応、逆切れしておく。
いや、今回は逆切れではない。

「ごめん、ごめん」
「ただ単純に聞いただけ」

友達曰く、特に背景はないらしい。
それならそうと言って欲しいところだ。

「私、気持ちの切り替えが苦手で」
「まぁ、確かにそうだね」

それこそ、失恋した時は酷かった。
数年もそれを引きずっていたからだ。

(No.1235-2へ続く)

| | | コメント (0)

[No.1234-2]初めての挫折

No.1234-2

「挫折?」
「急に難しくなったのを覚えてる」

具体的には覚えていない。
でも、ついて行けなくなったのは間違いない。

「で、フェードアウトw」
「あははw」

もしかしたら、人生初の挫折だったかもしれない。
今、振り返ると。

「乗り越えようとは?」
「するわけないだろw」

あっさり、教室に通わなくなった。
親から何も言われなかったこともあって。

「だから、そこそこ思い出があるんだよ」
「その小屋に」

実家に帰る時、否が応でもその小屋の前を通る。
そして通る度にあの頃を思い出す。

「不思議な存在だよ」

でも、その小屋もいつまで建っていることやら・・・。
今は、人が出入りしている雰囲気がない。

「でも、あなたには見えてるんでしょ?」
J1234
(No.1234完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0)

[No.1234-1]初めての挫折

No.1234-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
実家の近くにそろばん教室があった。
教室と言っても、プレハブ小屋で質素な作りだった。

「小屋だけは今でもあるんだよな」
「さすがにそろばん教室はやってないけど」

その小屋も何度か建て替えられているはずだ。
記憶にあるそれと今は違うからだ。

「通ってたの?」
「あぁ、何でか分からないけど」

多分、自分から行きたいと言ったと思う。
近所の子供らも通っていたから。

「当時はそろばんが流行ってたし」
「そうなの?」

小学校の授業でもあった気がする。
曖昧な記憶ではあるが。

「多分、そろばんよりも」
「教室自体が珍しかったんだと思う」

習うより、通うことに価値を見出していた。

「子供らしいねw」
「でも、一応、勉強はしたぞ」

2級を取得し、1級で挫折した。

(No.1234-2へ続く)

| | | コメント (0)

« 2023年12月 | トップページ | 2024年2月 »