[No.1232-2]前の家
No.1232-2
「ダイニングもあったけど」
「ほぼキッチンw」
そこで食事をする家族の姿を覚えている。
少し窮屈とも言える場所で。
「昔はそうなんじゃないの?」
「私の家も似たようなものよ」
台所に立つ母。
すぐそばのテーブルで食事をする僕ら。
「鮮明に覚えてるんだよな・・・」
「どこに何があるか、配置まで」
冷蔵庫はここ、食器棚はあそこ・・・。
忘れることができない。
「でも、急にどうしたの?」
「前の家の話なんて」
さぁ、何でだろう・・・。
自分でもよく分からない。
「年末だから?」
「理由になってないw」
でも、歳を重ねるごとに思い出は鮮明になる。
普通は逆なはずなのに。
「あの頃に戻りたい?」
「どうだろうな・・・」
思い出は思い出のままでいい。
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