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2023年12月

ホタル通信 No.557

小説名:No.601 大切なものはなにか
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:男性

いわゆるすっかり内容を忘れていた小説のひとつですねwタイトルだけでは思い出せませんでした。

全体的な雰囲気としては実話に近いのですが、なぜがそれをぼかしたような作りにしている関係で実話度自体は低めです。ある時期、かなり仕事で追い詰められていた時期があり、それこそ日曜日にサザエさんが始まると、超憂うつになっていました。
それを前述したように、コミカルタッチでぼかしています。今となっては苦い思い出となっていますが、トラウマ級の暗黒の時代を経験しました。

これを話の主軸において、何となくチャップリンを仕入れてきていい具合に混ぜ込んだような作りです。ですが、これも前述した通り、書いてあることは実話に近いことばかりです。
ただ、登場する相手の女性は架空とも実在とも言えない形で登場させています。こんなことを言う女性は居るのですが、実際に交わされた会話ではありません。

最近、ある言葉を目にしました。
「乗り越えた壁はいつか自分を守る盾になる」あるアーティストの歌詞のようです。古今東西、名言は数多くあれど、これほど胸に深く突き刺さったものはありません。まさしく、今の自分がそうだからです。
Jt557
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[No.1233-2]傘がない

No.1233-2

「いつまで降り続くんやろな」
「そう長くは続かないようだけど」

こうやって雨宿りするのは、あの日以来だ。

「・・・あの日以来やな」
「えっ!?僕も同じことを考えてた」

彼女との出会いは、雨宿りだった。
こうやって肩を並べて、雨が止むのを待っていた。

「随分、濡れてたもんなw」
「言ったやろ?天気なんか気にせえへんしw」

その言葉は嘘でも本当でもあるだろう。
あの時、彼女は泣いてた。

「だったよなw」

わざと雨に降られて、涙を隠した。
僕にはそう見えた。

「ん?晴れ間が見えてきたで!」
「あっ・・・本当だ!」

思ったよりも早く雨が上がりそうだ。

「じゃあ・・・行こうか?」
「せやね!」

それから暫くして、僕らは二度と会うことはなくなった。

「こっちにおいで」

その猫は僕の声に反応して振り返った。
少しの間でもいい・・・僕が傘になろう。
J1233
(No.1233完)
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[No.1233-1]傘がない

No.1233-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
一匹の猫が、茂みの中で雨宿りをしている。
雨足は強くないものの、もっといい場所があるだろうに。

「・・・雨かな?」
「そうみたいやな」

予報通りと言えば予報通りだ。
でも、本当に降り出すとは思っていなかった。

「傘、持ってる?」
「持ってるように見える?」

聞いた僕がバカだった。
彼女はかなり小さめのポシェットしか持っていない。

「ごめん、ごめん、だねw」
「うち、天気なんか気にせえへんしw」

確かにそんな性格だ。
下手をすると雨降りでも傘をささずに来てしまうからだ。

「雨宿りしようか?」
「せやな」

予報ではこれから雨足が強くなるはずだ。
ただ、そう長くは続かない。

「じゃ、ショッピングモールに戻ろう!」

幸いにも数分前にそこを出たばかりだった。
走れば、すぐに戻れる距離だ。

「ほな、ダッシュ!」

さっきよりも雨足が強まっている。
僕らは大急ぎでモールに戻った。

(No.1233-2へ続く)

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[No.1232-2]前の家

No.1232-2

「ダイニングもあったけど」
「ほぼキッチンw」

そこで食事をする家族の姿を覚えている。
少し窮屈とも言える場所で。

「昔はそうなんじゃないの?」
「私の家も似たようなものよ」

台所に立つ母。
すぐそばのテーブルで食事をする僕ら。

「鮮明に覚えてるんだよな・・・」
「どこに何があるか、配置まで」

冷蔵庫はここ、食器棚はあそこ・・・。
忘れることができない。

「でも、急にどうしたの?」
「前の家の話なんて」

さぁ、何でだろう・・・。
自分でもよく分からない。

「年末だから?」
「理由になってないw」

でも、歳を重ねるごとに思い出は鮮明になる。
普通は逆なはずなのに。

「あの頃に戻りたい?」
「どうだろうな・・・」

思い出は思い出のままでいい。

「アルバムを覗いてみるよ、久しぶりに」
J1232
(No.1232完)
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[No.1232-1]前の家

No.1232-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
実家は僕が高二の時に建て替えた。
でも、卒業と就職を期に家を離れた。

「だから、二年くらいしか住んでない」

それもあり、建て替えた家での思い出が少ない。
と言うより、ほとんどない。

「どうして?」
「みんなの部屋が出来たこともあるだろうな」

姉と弟、そして僕。
それぞれの部屋が出来た。

「まぁ、姉は前から部屋があったけど」

建て替える前は居間に居ることが多かった。
部屋がなかっただけに。

「部屋が出来たら部屋にこもるだろ?」
「確かに」

大袈裟だけど家族がバラバラになった。
今、振り返ると。

「当時は何も感じなかったけど」
「そういうものよ」

だから、子供の頃を思い出すと・・・。
脳裏に浮かぶのは、前の家だった。

「どんな家だったの?」
「平屋でさぁ・・・」

今風に言えば2LDKだろう。
ただ、それぞれの部屋はそれほど広くはなかった。

(No.1232-2へ続く)

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ホタル通信 No.556

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.522 プレゼント
実話度:★★★★★(100%)
語り手:男性

ほぼ実話度100%の小説です。お決まりですが、作者は語り手(男性)か、プレゼントを贈った彼女です。

実話度100%なので小説の通りです。一時期、特に理由もなくプレゼント交換のようなことをしていたことがありました。最初は地域限定のお菓子が送られてきました。「贈る」ではなく「送る」になっているのは、まさしく、会社内の書類のひとつとして送られて来たからです。いわゆる社内便ってやつです。ですから、一応、周りの目を気にするわけですw

ある日、またもや何かが送られてきました。そこにはとあるキャラクターの漫画と言いますか、絵本のような格言集でした。当時、仕事でちょっと参っていた時期があってそれを気遣ってのプレゼントであったと理解しています。
さて、小説のオチ・・・実話なのでオチとは言えないのですが、ラストの「キッチリ、お返しをした」のは、物ではなく、早い話、彼女と飲みに行ったわけです。元気を取り戻した姿を見せるために・・・これは小説の通りです。

この彼女とは今でも繋がりがあるような、ないような・・・当ブログを読んでいただければ、何となく私たちの関係性が読み取れると思いますよw
Jt556
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[No.1231-2]動き始める

No.1231-2

「今の彼を紹介された・・・?」
「うん」

最近、新しい彼が出来たとは聞いていた。
けど、出会いまでは聞いていなかった。

「手袋を落としていなければ」
「そんなホラー映画なかったっけw」

この後、二人で大笑いした。
でも、確かに友人の言う通りではある。

「手袋を落としたことで」
「動き始めた・・・」

なるほど・・・これが言いたかったわけだ。
全ての始まりは“手袋”だと。

「まぁ、偶然にしては出来すぎてるかもね」
「・・・続きがあるんだよ、この話には」

続きがある・・・。
まだ、偶然の連鎖があるみたいだ。

「まだ何かあるの?」
「うん」

友人がまた神妙な顔をして語り始めた。

「その彼氏なんだけど」
「・・・高校出身なんだって」

聞き覚えがあるどころか私の母校だ。
驚くと同時にいやな予感が脳裏をよぎる。

「まさか・・・とは思うけど」
「だから、動き出したのよ、何かがねw」
J1231
(No.1231完)
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[No.1231-1]動き始める

No.1231-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、こんな経験ない?」
「何よ、唐突に・・・」

友人が神妙な顔をして、何かを語り始めた。
・・・が、よく分からない。

「どういうこと?」
「だから!ちょっとしたきっかけから!」

1か月前、片方の手袋を落としてしまったらしい。

「だから、しばらく左右別々のしてたんだw」
「そこ、笑うところじゃない!」

そのため、仕方なく新しいのを買いに行ったようだ。
その時の出来事らしい。

「で、たまたま立ち寄った店のスタッフが」
「高校時代のクラスメートだったのよ!」

地元なら、あり得る話だろう。
でも、クラスメートも上京組らしい。

「それは確かに、すごい偶然ね」
「でしょ!?」

そこから、連絡を取るようになったらしい。

「これが経験?」
「これもそうだけど、これからが本番よ!」

どうやら、ここから新たな出会いがあったようだ。

「そのクラスメートの紹介で・・・」
「もしかして・・・」

友人が小さく頷く。

(No.1231-2へ続く)

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[No.1230-2]確かにそれは

No.1230-2

「じゃあ、何で?」
「口癖みたいなものかも」

彼女曰く、頬を噛む度につい言ってしまうらしい。

「ネットで調べてみようか?」
「だね」

どうやら彼女も調べたことがないらしい。
それが当たり前だと思っていたようだ。

「どう?」
「・・・そうだな」

いくつか情報がヒットする。
ただ、明確に胃腸とは書いていない。

「体調不良の時には・・・って書いてあるけど」
「ほら、これ見て」

スマホの画面を見せる。

「・・・ほんとだ」
「胃腸・・・とは書いてないね」

とは言え、体調不良には変わりがない。
そうなると・・・。

「体調が悪いの?」
「・・・いや、特にはw」

僕を気遣って嘘を付いているわけではないだろう。
さっき言った通り、食欲は旺盛だ。

「そこ、強調しないでくれる?」
「一応、乙女なんだからw」

そう言うとまた元気に食べ始めた。
J1230
(No.1230完)
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[No.1230-1]確かにそれは

No.1230-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「痛っ!」
「どうしたの?!」

食事中、急に右の頬をおさえ始めた。

「虫歯?」
「ううん、頬を噛んじゃったみたい」

僕も時々、噛むことがある。
ただそれだけのことなのに、これが結構、痛い。

「大丈夫?」
「うん、ちょっとだけだから」

以前、ガッツリ噛んでしまったことがあった。
それこそ、歯が食い込むほど。

「胃腸が悪いのね」
「・・・胃腸?」

胃腸が悪いと頬を噛む・・・。
少なくとも僕は聞いたことはない。

「それって本当?」
「じゃないの?」

当の本人も真偽のほどは分かってないらしい。

「母が良く言ってたのよね」
「頬を噛んだ後、胃腸が・・・って」

なるほど・・・。
生活の知恵と言うか、昔からの言い伝えなのだろうか?

「で、実際、胃腸の具合は?」
「・・・大丈夫みたいw」

確かにこれだけ食べているのだから大丈夫なんだろう。

(No.1230-2へ続く)

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ホタル通信 No.555

小説名:No.517 疎遠
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

小説のきっかけとなるエピソード思い出すのに少し時間を要しました。スマホではなくメールのやりとり・・・。

実はちゃんとしたメールではなく、何と言えば良いのでしょうか・・・リアルタイムではないチャットみたいなものです。相手の掲示板に書き込むような感じです。これだと話がややこしくなるので、単純なメールに置き換えたのだと思います。
小説では、私(女性)が男性に・・・のような感じになっていますが、あえて言えば、実は逆のパターンかもしれませんよw

ブログ繋がりで知り合いになり、もちろん、ネット上だけの繋がりでした。少し変わった方で、それがかえって魅力的に見えました。定期的に、メッセージのやりとりをしていたのですが、特に大きな理由もなく疎遠になってしまいました。これはネットだからということではなく、実社会でも同じことが言えると思います。
繰り返しになりますが、特に何もなかったのですが、人の縁って不思議なものです。繋がる時も、それが切れてしまう時も、何気なくやって来て、何気なく去っていきます。

時々、思い出すことがあります。月並みですが、今どこで何をしているのかと・・・。幸せに暮らしてたらいいな。
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[No.1229-2]ジガジガする

No.1229-2

「そ、そうだよね・・・」
「たまにあるよね」

無難に答えた。
どうとでもとれる。

「ほんと、さっきから首が気持ち悪いよ」
「繊維が当たってさ」

ここに来て答えとも言えるセリフが飛んで来た。
ジガジガってもしかして・・・。

「そうそう!チクチクするというか・・・」
「・・・」

違う・・・の?
もしかして地雷を踏んだのかもしれない。

「マジでそう!」
「チクチクするというか、ピリピリするというか」

どうやら当たっていたらしい、私の考えが。
方言ではなく、擬音のようだ。

「赤くなってない?首元とか?」
「大丈夫だよ」

なるほど・・・セーターの毛糸が・・・ということか。
確かに私も経験がある。

「服の種類によっても差があるんだよね」
「この服はまだましなほう」

肌がデリケートなこともあるのだろう。
そんなことを聞いたことがある。

「ほんと嫌だよね!“いずい”って」
「・・・いずいってなに?」
J1229
(No.1229完)
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[No.1229-1]ジガジガする

No.1229-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「どうしたの?」
「さっきからモゾモゾして」

何かをしきりに気にしている。
それに、さっきから浮かない顔だ。

「首の辺りが・・・」
「ジガジガするのよね」

聞いたことがない擬音だ。
いや・・・方言の可能性もある。

「寒くなってきたから」
「今日からセーターを着たんだけど」

どうやら服が関係しているようだ。

「・・・ジガジガするんだ」
「そうだけど?」

もしかして私が知らないだけだろうか?
この擬音のような方言のような言葉を。

「着始めだから」
「慣れるまで時間が掛かるのよね」

確かに服が関係している。
慣れるまでとはどう言う意味だろうか?

「だよね~」

完全にタイミングを逸してしまった。
今さらその言葉の意味を聞き辛い。

「あなたもそんなことあるでしょ?」
「えっ!私・・・」

突然、キラーパスが飛んで来た。

(No.1229-2へ続く)

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[No.1228-2]本当は薄明薄暮

No.1228-2

「単純に寝てるのかな?」
「可能性はあるよね」

猫に、夜の集会があることは知っている。
それこそ、部活帰りに見たことがある。

「夜更かしが過ぎて?」
「かもしれないねw」

でも、それだけではないと思う。
人に慣れてはいるものの、一応、野良猫だ。

「そんなにのんびり寝てられないと思うな」
「野生動物ってそうじゃん?」

確かに友人の言う通りだ。
気を抜けばそれは命にかかわる。

「じゃ、何でなんだろうね?」
「さぁ・・・」

単純に考えれば、夜行性で話は済む。
実際、そうなのだから。

「そういうことでw」
「そうねw」

多分、今日も居るだろう。
いつもの遊歩道に。

「もしかして、これが発見?」
「もしかしなくてもそうだよ」

あらためて言われると小恥ずかしい。
バカバカしくも感じるからだ。

「分かってそうで分かっていない・・・」
「猫ってそんな生き物じゃん」
J1228
(No.1228完)
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[No.1228-1]本当は薄明薄暮

No.1228-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
私が知らないだけかもしれない。
でも、ちょっとした発見だった。

「通学路に野良猫がいるじゃん?」
「あらたまって何よ?」

多分、5、6匹は居ると思う。
毛色の違いからすれば。

「いつ見かける?」
「いつって、それは・・・」

言いかけて言葉に詰まる。
あることに気付いたらしい。

「日中はさておき、朝は見かけない・・・」
「でしょ?」

さすがに日中は学校に居るので見れない。
けど、朝、学校に来る時も見かけない。

「夜・・・か」
「そうなんだよね」

部活帰りに、よく見かける。
それぞれの猫が均等に距離をとり、座っている。

「夜は居るけど朝はいない」
「これだけ長く学校に通っていても」

本当に見かけた記憶がない。
ビックリするくらいに。

「・・・なんで?」
「こっちが聞きたいくらいよw」

朝が弱い猫って聞いたことはない。
けど、犬に比べると、寝ているイメージは強い。

(No.1228-2へ続く)

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