[No.1226-2]置き土産
No.1226-2
「それより早く追い払ってよ」
「・・・ったく」
まぁ、虐待するわけじゃないからその点は安心だ。
「分かったよ」
「あまり驚かしちゃダメだよ」
矛盾しているとも言えるセリフが聞こえた。
それが彼女の良いところでもあるが。
「はいはい」
「ちょっと待ってて・・・」
驚かさないようにごく自然にドアを開ける。
すると、スズメは一目散に飛び去ってしまった。
「・・・飛んでったよ」
「そう!ありがとう!」
毎日とは言わないが頻繁に飛んでくる。
そして、ベランダの手すりの上で休んでいる。
「ここ7階だろ?」
「彼らにとってはオアシスなんじゃないの?」
猫に襲われる心配も人間にイタズラされることもない。
ただ、ひとり彼女のことを除けば。
「何だか私が悪者に聞こえるんだけど?」
「かもしれないなw」
まぁ、彼らのことだから懲りずにまた来るだろう。
「彼らだって感謝してるんだよ」
「その証拠に、置き土産がおいてあるからw」
小指のつめの先程度の“フン”という名の置き土産が。
(No.1226完)
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