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[No.1219-1]朽ち果てた車

No.1219-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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実家の近くに放置されている車がある。
放置と言っても、道路に放置されているわけではない。

「実家に帰る道すがら」
「どうしても目に入るんだよな」

実家に続く道が少ないため、必ずそこを通る。
だから、視界に入ってくる。

「どれくらい?」
「そうだな・・・」

記憶は定かではないが、物心付いた時にはあった。
だから、かれこれ・・・年くらいは経過しているだろう。

「でも、そこそこ形は残ってるんだよな」

さすがに車内は荒れ、錆びた天井には穴が開いている。
けど、原型はしっかり留めている。

「さすが、メイドインジャパンね!」
「そこぉ?!」

彼女の思わぬ発言に声が裏返ってしまった。
確かに、そうだとは思うが。

「案外、車って頑丈だよな」
「雨ざらしになってるのに」

雨もあれば強烈な陽射しもあるだろう。
それに耐えてきたとも言える。

「車を褒める話?」
「いや、別にそうじゃないけど・・・」

痛いところを付かれてしまった。
特に何も考えずに、話し始めてしまった。

(No.1219-2へ続く)

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