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2023年10月

[No.1221-1]超能力に憧れる

No.1221-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「超能力に憧れなかった?」
「えっ?!」

友人が突拍子もないことを言い放った。

「急になに?」
「だから・・・」

私の疑問を無視して超能力について語り始めた。
あれこれと。

「そりゃ、そんな能力があったら凄いけど」
「現実離れし過ぎでしょ?」

アニメや漫画に大いに影響されている。
まぁ、子供の頃なら分からなくもないが。

「悩みごとでもあるの?」
「ううん、別に」

それなら、なぜこんな話をしたのだろうか?
大抵、悩みごとに関係している・・・経験では。

「単に憧れているだけよ」
「心が読めたり、物を曲げたり」

でも、その力を何に使おうとしているのだろう。
気になったりもするが・・・。

「ちなみにその力を得たとしたら?」
「別に・・・特に何も」

だったら、なぜこんな話の展開になるのだろうか。

(No.1221-2へ続く)

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[No.1220-2]深夜ラジオ

No.1220-2

「深夜ラジオ、エッチな話題と言えば・・・」
「確かにw」

とある人物が思い浮かぶ。
我々の世代には。

「大袈裟だけど人生の先輩と言うか」
「兄貴って感じだったな」

ラジオから色々と学んだような気がする。
お色気話も人生も。

「ある意味、先生かもしれない」
「場外のw」

深夜は秘密めいた時間帯だった。
当時の俺らにとっては。

「今じゃ、深夜まで起きてることも珍しくないけど」
「昔はさぁ・・・」

12時の超えると後ろめたさを感じた。
そこがひとつのボーダーラインだった。

「分かるわかる!」
「大人の世界ねw」

そこに、とある人物の影響力があった。
アーティストであり、ラジオのパーソナリティでもあった。

「アーティストが本業ね」
「時々、それを忘れるほどだったけどなw」

深夜にピッタリの人物かつトークだった。
その人物が亡くなったというニュースが飛び込んできた。

「何なんだろうな、この気持ち・・・」

カーラジオから軽快なトークが聞こえている。
J1220
(No.1220完)
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[No.1220-1]深夜ラジオ

No.1220-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
カーラジオから軽快なトークが聞こえている。

「やっぱり、ラジオっていいよな」

最近、テレビを見なくなった。
その理由は色々とあるが。

「私もどちらかと言えばラジオ派かな?」

スマホ全盛の時代に、時代遅れかもしれない。
でも、ラジオはラジオならではの楽しさがある。

「深夜ラジオ、聞いてた?」
「もちろんよ!」

受験勉強のお供だった。
勉強に良くない影響だと分かっていても。

「でも、潤滑油的な役割もあったんじゃない?」
「かもな」

聞いているようで聞いていない。
いや、聞いていないようで聞いている?

「どっちなんだろうな?」
「さぁ~どっちでもいいんじゃない?」

当時、ラジオは貴重な情報源だった。
ネットの微塵もない時代にあって。

「ちょっとエッチな話もあったしな」
「否定はしないw」

思春期にも重なり興味津々だった。

「そう言えば・・・さぁ・・・」
「あっ・・・そうだったわね」

彼女もあることに気付いたようだった。

(No.1220-2へ続く)

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ホタル通信 No.550

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.684 意味のない行動
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

後半の「行動は」ほぼ事実なんですが、小説の背景と言いますか、根本が事実とは異なるので実話度は低めです。

つまり、後半の意味のない行動が、この小説を作るきっかけになっており、その行動を軸に肉付けして行きました。その肉付けが事実ではない、と言うことです。
さて、意味のない行動・・・夏季休暇中、帰省した時に、何度か友人と遊んだのですが、そうそう毎日と言うわけにはいきません。そんな時、意味もなく電車に乗り、降りた駅が海の近くだったわけです。
別に寂しいと言うわけでもなく、だからと言って穏やかだったわけでもなく、一言で表すと“アンニュイ”な感じでした。

前半部分も事実と言えば事実なんですが、前提となる部分をかなり脚色したため、結果的に大きく事実とは異なってしまいました。
当時はそんなことを全く考えておらず、本当に意味のない行動だっただけに、もう少し無機質な展開が良かったと後から思いました。でも、分かっていただきたいのは、意味もなく単に街ブラするのではなく、大袈裟に言えば、行き場のない心のモヤモヤみたいなものを、鎮めるのに必要な行動でした。

当日は、雨でしたね。行き交う人も少なく、少し荒れた海が見えたのを今でも覚えています。それこそ、“THE 日常”って感じでしたが、それが長い時を経て、小説になろうとは・・・。
J550
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[No.1219-2]朽ち果てた車

No.1219-2

「ただ、何となく・・・」
「昨日も見てきたばかりなんで」

車が放置されている。
それもかなりの長い間・・・ただ、それだけだ。

「でも、何か感じてるんでしょ?」
「懐かしさとか」

自分でもよく分からない。
確かに高校を卒業するまで、ほぼ毎日見ていた。

「もし、車が生きていたとしたら」
「あなたのことを見てたわけじゃん?」

彼女が突拍子もないことを言い始めた。
そんなこと、一度も考えたことがなかった。

「そりゃそうだけど」
「話がSF過ぎるよ」

あるいはホラーだとも言える。

「物にも魂が・・・なんていうでしょ?」
「ホラーに寄せようとしてる?!」

でも、そう言われるとそう思ってしまう自分もいる。
今度、話しかけてみよう。

「やめといた方がいいわよ」
「おかしな人って思われるからw」

まんまと乗せられてしまったようだ。

「でも・・・」

朽ち果ててもなお存在し続ける。
J1219
(No.1219完)
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[No.1219-1]朽ち果てた車

No.1219-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
実家の近くに放置されている車がある。
放置と言っても、道路に放置されているわけではない。

「実家に帰る道すがら」
「どうしても目に入るんだよな」

実家に続く道が少ないため、必ずそこを通る。
だから、視界に入ってくる。

「どれくらい?」
「そうだな・・・」

記憶は定かではないが、物心付いた時にはあった。
だから、かれこれ・・・年くらいは経過しているだろう。

「でも、そこそこ形は残ってるんだよな」

さすがに車内は荒れ、錆びた天井には穴が開いている。
けど、原型はしっかり留めている。

「さすが、メイドインジャパンね!」
「そこぉ?!」

彼女の思わぬ発言に声が裏返ってしまった。
確かに、そうだとは思うが。

「案外、車って頑丈だよな」
「雨ざらしになってるのに」

雨もあれば強烈な陽射しもあるだろう。
それに耐えてきたとも言える。

「車を褒める話?」
「いや、別にそうじゃないけど・・・」

痛いところを付かれてしまった。
特に何も考えずに、話し始めてしまった。

(No.1219-2へ続く)

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[No.1218-2]BILLY JOEL

No.1218-2

「あの曲?」
「というか、あの人だけどw」

何かも新鮮な時期にあって、衝撃的でもあった。
激しい曲もあれば、バラードもあった。

「名前は?」
「ビリージョエルだよ」

今でも時々、聞きたくなる。
当時を思い出す一曲には間違いない。

「知ってる!」
「知らない!だったらどうしようかとw」

あれから・・・年たっているけど記憶は新しい。
色々と思い出すことも多い。

「言い尽くされたセリフかもしれないけど」
「歌と記憶って結び付きが強いよね」

記憶に歌が結び付いているのか?
それとも歌に記憶が結び付いているのか・・・。

「どっちなんだろうな?」
「そうね~・・・」

そう言いながら考え込んでしまった。

「まっ、どっちでもいいか!」

深夜のラジオから洋楽が聞こえる。
スマホではなく、アナログのラジオから。

「当時のそんな雰囲気も好きだな」

昭和とはそんな時代だった。
J1218
(No.1218完)
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[No.1218-1]BILLY JOEL

No.1218-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
中学生からラジオを聞くようになった。
そこで本格的に“音楽”に触れた。

「歌謡曲もそうなんだけど」
「意外に洋楽も早かったよな」

単発で聞くこともあれば、特集することもあった。
そこで流行の洋楽を知った。

「今でも印象に残ってる」
「そうよね、特に思春期なら」

もちろん、歌詞の意味は分からない。
辛うじて英語を習い始めた程度だったからだ。

「でも、こう・・・伝わるものはあるよな」
「私も邦楽より洋楽から入ったよ」

大人の仲間入りを果たした気分でいた。
それに友達に差を付けられる気もした。

「今で言うマウントねw」
「そうそう!」

アイドル全盛の時代にあって洋楽は言うなれば渋い。
思春期にありがちな感情かもしれない。

「まぁ、アイドルはアイドルで好きだったけど」
「あからさまに言うのも・・・な」

好みを知られるのが恥ずかしかった。
それを洋楽で誤魔化していた側面もある。

「男子らしいね」
「だよな」

特に印象に残っているのがあの曲だ。

(No.1218-2へ続く)

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ホタル通信 No.549

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.527 目の錯覚
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

あまりにも日常過ぎて、しかも特にオチもない小説です。ただただありのままの事実を書いたに他なりません。

実話度が示す通り、ほぼ事実です。サビたドラム缶から煙のようなものが出ていることに気付く・・・でもよく見たらそれは目の錯覚であった、それだけです。
でも、これぞ、冬のホタルって感じの小説で、手前味噌ですが結構お気に入りです。事実を淡々と描くだけですから、30分も掛からずに書き終えたことも覚えています。

さすがに今はこのドラム缶はありません。ドラム缶だけではなく、それが置かれていた土地と言いましょうか・・・その一帯が更地になってしまい、何もかも無くなってしまいました。まぁ、別に何の思い入れもないわけですから、大騒ぎする必要もありませんでしたが、小説のネタを提供してくれたわけですから、心に引っ掛かるものがゼロではありませんでした。
私の小説には、このような単なるドラム缶が主人公?になったり崩れかけた壁を人間関係に例えたりと、意外に活躍してくれています。

最近は誰の共感も得ないようなそんな無責任な小説を書けていないように思えます。やはり、感性が鈍っているのでしょうか・・・そんな心配を胸に、涼しくなった街を歩いてみようかな。
T549
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[No.1217-2]止まったままのカレンダー

No.1217-2

「2018年12月・・・」
「・・・そっか」

友人はその月に何があったのか知っている。
私のそばにも居てくれた。

「カレンダーは母がめくってたからね」
「新年を迎えることは出来なかったけど」

それからカレンダーの時間が止まった。
人知れず。

「案外気付かないものね」
「あれから5年も経っているのに」

カレンダーを見て、一瞬、混乱した。
タイムスリップしたかのような感覚を覚えたからだ。

「・・・分かる」

忘れていたわけじゃないのに忘れていた。
何かとても大切なことを。

「それが何か上手く言えないけど」
「そんなものよ」

私は、とりいそぎあるものを探した。
多分、あるはずだと信じて。

「・・・カレンダーだよね?」

部屋の隅にそれが埃を被って置かれていた。
そう・・・2019年のカレンダーが。

「これで時がまた動き出したと思うの」
J1217
(No.1217完)
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[No.1217-1]止まったままのカレンダー

No.1217-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
何気なく壁に掛かっているカレンダーを見た。

「・・・ん?」

一瞬、頭が混乱した。

「昨日さぁ、実家に帰ったんだけど・・・」
「どうしたの?何かあった?」

暑さが和らいだこともあり、久しぶりに実家に帰った。
今は父がひとりで住んでいる。

「夏、帰れなかったから」
「ちょっと遅いお盆ってことで」

しばらく体調を崩していた。
それに今年の暑さも手伝って。

「それで何となく・・・」
「部屋の中を見渡していたんだよね」

壁紙の染みが以前より酷くなっている。
そんなことを思いながら、ふとカレンダーを見ると・・・。

「え・・・なになに!?」
「カレンダーが平成だったの」

平成30年・・・。
つまり、2018年のカレンダーだった。

「5年前?」
「まぁ、そうよね」

月ごとにめくるカレンダーだった。
それが、12月のままになっていた。

(No.1217-2へ続く)

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[No.1216-2]緑のブローチ

No.1216-2

「そんなことより・・・」
「それどうするのよ?」

もう一度、カメムシを指さす。

「逆にどうして欲しいの?」
「逆に・・・って、普通、取るでしょ!?」

私は別にこのままでもいい。
別に噛まれるわけでもないし。

「そう言う問題じゃなくて」
「周りが大騒ぎするから」

周りと言うより“あなたがでしょ”と言いたくなる。
でも、カメムシはどちらかと言えば嫌われ者だ。

「はいはい」
「・・・よいしょ、これでいい?」

胸元のカメムシをそっと引き離す。
なんかこの感覚が懐かしい。

「す、素手で!?」
「他に方法でも?」

刺激を与えなければ嫌な臭いは放たれない。
コツはいるけれど。

「・・・尊敬を通り越して」
「神ね」

それはそうとして言った方がいいのだろうか?
友人も緑のブローチ付けている。

「今年は大発生しているみたいよ」
「それはさっき聞いた・・・えっ・・・」
J1216
(No.1216完)
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[No.1216-1]緑のブローチ

No.1216-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ん?素敵なブ・・・!?」
「いやぁぁーーー!」

大阪出身の友人らしいノリ突っ込みだろうか。
朝から何やら騒がしい。

「どうしたの?」
「ど、どうしたの?じゃないわよ!」

友人が私の胸元を指さす。

「あれ・・・これ」
「カメムシじゃん!」

体長1.5cmほどのカメムシがくっ付いている。
鮮やかな緑色がとても綺麗だ。

「綺麗・・・ってそこ!?」
「驚かないの?」

なるほど・・・。
一般的な女子はここで驚く必要があるわけだ。

「いや・・・冷静すぎでしょ・・・」
「だって、嫌いじゃないもん」

実家が田舎だけに、カメムシなんて見慣れている。
よく家の中に入ってきたものだ。

「入ってきたって・・・」
「なに感傷に浸ってるのよw」

呆れ顔を通り越して笑ってしまっている。

「今年は大発生してるみたいだよ」

確かそんな話題がニュースで流れていた。

(No.1216-2へ続く)

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ホタル通信 No.548

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.511 手を振る子供
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

電車に向かって手を振る子供・・・こんなシーンは今でもよく見掛けます。

この話はそんなワンシーンを、3年前の失恋に結び付けたものです。ワンシーンと失恋話は本当ですが、失恋した時期やそれが駅で繰り広げられていることは事実ではありません。駅と別れの相性が良いので、そう展開させることにしました。
電車に向かって手を振る子供の無邪気さにかなうものはありません。また、それに応える運転手さんや車掌さん・・・さっき、駅と別れの相性が良いとは書きましたが、それ以上に温かい出会いも待っています。

別れと出会いと言う、全く異なる温度感を持つものが、同時に駅で繰り広げられている。特段、珍しくはないかもしれませんが、不思議な気持ちにならざるを得ませんでした。温かいシーンを目にしながら、私の心の中は冷たい過去を思い出していたわけです、ある意味、ホラーですよねw
ラストの子供と目が合い・・・のシーンは実際には起こっていないものの、心の中ではそんなことを想像しながら、この一連の経験を締めくくっていたわけです。

忘れてしまう小説もあれば今でもよく覚えている小説もあります。この小説は後者で、今でもその光景や心境を覚えています。
Jt548
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[No.1215-2]二本の虹

No.1215-2

「写真撮った?」
「撮ってねーよ」

滅多にないことだけに撮りたい気持ちはある。
でも、それはそれで・・・。

「ふ~ん、私は撮ったわよ」

意味不明なマウントを取ってくる。
どうせ、インスタにでも上げるのだろう。

「俺は心の中に・・・」
「ダサっ!」

正しく、一刀両断とはこのことだろう。
まぁ、気心が知れた仲だからこそ言えるのだが。

「そろそろ私は帰ろうかな?」
「どうぞ、お先に!」

彼女とは帰る方向が違う。
彼女は虹に近付く方向に、俺は遠ざかる方向に。

「消えないうちに撮っておいたら?」
「はいはい」

その気がない返事を返しておく。

「それじゃ、また明日」
「あぁ」

虹を背に自転車を走らせる。
振り向くと、もうそこには虹はなかった。
J1215
(No.1215完)
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[No.1215-1]二本の虹

No.1215-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「何してんだろ?」

視線の先で皆が空を見上げてスマホを構えている。
でも、その疑問はわずか数秒で解決した。

「虹か!」
「凄いよね」

同僚の女性が声を掛けてきた。

「初めて見たよ」
「私もよ」

虹自体、そう頻繁に見れるものではない。
ましてや・・・。

「こんなことあるの!?」
「だよな」

空に虹が架かっている。
それも二本、並ぶように。

「これどういう仕組み?」
「俺に聞くなよ!」

内側が濃く、外側が薄い虹だ。
それらが左側の高層ビルに伸びている。

「バームクーヘンみたいね!」
「何だよ、その例えw」

とは言え、悪くない例えだ。
七色の虹が、二列・・・カラフル過ぎるけど。

(No.1215-2へ続く)

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[No.1214-2]共感とは

No.1241-2

「とにかく、来週が楽しみだね!」
「どんな結末になるのかだな」

ドラマにありがちなつまらないラストは避けて欲しい。
途中まで散々盛り上げておいて。

「・・・マジで」
「唐突過ぎない?!」

最終回で犯人が判明した。
当り前だが。

「この終わり方はないでしょ」
「ほんとそう!」

ある程度予想は出来た。
けど、それなら犯人は誰でもいいことになってしまう。

「ちょっと待ってよ!」
「なんだよ、もぉー!」

悪態が止まらない。
期待の裏返しでもあるが。

「なんか、すごい脱力感がある」
「俺も」

ここまで盛り上げておいて、これか・・・。
でも、このドラマのおかげで話題は尽きなかった。

「・・・まだ、納得できないな」
「私もよ」
J1214
(No.1241完)
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[No.1214-1]共感とは

No.1214-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
共感を何も大袈裟に考えることはない。
それはごく身近で日常にこそ存在する。

「犯人は誰なんだろう・・・」
「・・・だよな」

ややミステリー寄りのテレビドラマだ。
犯人と言うべきキーマンが誰か分からない。

「私はあの人だと思うな」
「そうか?それなら・・・」

自分の考えを伝える。
今までのストーリーの展開を考えた上での結論だ。

「確かに・・・」
「・・・でも」

それとなく反論してくる。
もちろん、良い意味で論議が始まる。

「・・・難しいな」
「ほんと、誰なんだろう」

ふたりとも行き詰ってしまう。
でも、それはそれで構わない。

「ネットでは・・・らしいよ」
「それはベタ過ぎない?」

伏線やヒントがないため、展開が読めない。
ただ、それに反して会話は盛り上がる。

(No.1214-2へ続く)

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ホタル通信 No.547

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.676 無駄な時間
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

完全な創作です。とは言え、創作のきっかけになったであろう事実があるはずなんですが、一体何なのか・・・。

・・・と諦めかけた時、思い出しました。その昔、ちょっとだけ精神的に追い詰められていた時期があって、毎日、無力感の中で生活していました。生ける屍とまでは言いませんが、何のために生きているのか、分からなくなっていました。こんな大事なこと、忘れていたなんて・・・と言いますか、封印しようとしていたのでしょうかw

当時は、この時間を“無駄な時間”と思うことさえ考えられないほどでしたが、この小説を書く頃には、おかしな表現ですが、正式に“無駄な時間”と自分自身で認定したわけです。
でも、この無駄な時間があったからこそ、今の自分が居ることに気付いた瞬間でもありました。「あぁ、自分はこの無駄な時間を燃料に生きてきたんだ」と。
で、この気持ちを小説にしたのが、本作品なんです。こう聞くと実話度ゼロのように聞こえないかもしれませんが、プロポーズの話なんて一切、私には関係ないことですからねw

無駄な時間と思っていた“時間”も、実はその時には必要だったのかもしれませんね。そうやって、精神のバランスをとっていたのかな?と冷静に振り返っています。
Jh547
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[No.1213-2]いつもと違う夕焼け

No.1213-2

「ちょ、ちょっと待って!」
「その涙の意味は・・・」

あまりの綺麗さに感極まったのか、それとも・・・。
何かしら思い出してしまったのか。

「あら、ほんとだ」
「涙が出てる」

私の動揺をよそに、至って冷静だ。
このギャップは何なのだろうか・・・。

「泣いてたよね?」
「そうみたいだけど、意識してなかったよ」

感激してたわけでも感傷に浸ってたわけでもなさそうだ。
それなら、その涙は一体・・・。

「その涙のわけは?」
「・・・さぁ~」

表情からすれば嘘をついているようには見えない。
それにからかわれているわけでもなさそうだ。

「さぁ~・・・って言われても」
「意味もなく?」

同僚が小さくうなづく。
特に意味もなく、涙が流れたらしい。

「・・・じゃ、もう聞かないよ?」
「うん!心配させてごめんね」

そんなこともあるだろう・・・そういうことにする。
今回の出来事は。

「さっきから言えなかったんだけど」
「あなたも、泣いてたわよ」
J1213
(No.1213完)
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[No.1213-1]いつもと違う夕焼け

No.1213-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「わぁ~!綺麗ね」
「ほんと綺麗な夕焼けね」

陽が落ちるのが早くなったせいだろうか。
会社帰りに綺麗な夕焼けを見るようになった。

「でも、いつもより三割増しで綺麗じゃない?」
「・・・確かに」

三割り増しかは別にして、いつもと違う夕焼けだ。
いつもはどちらかと言えば立体感がなく平坦だ。

「なんか、こう、キラキラしてるね」

いつもは空を茜色に染めるのが夕焼けだ。
ただ、今はそうじゃない。

「雲があるせいじゃない?」
「なるほど」

うろこ状の雲と言えば言いのだろうか?
妙に立体感のある雲が茜色に染められている。

「でこぼこがキラキラしてるように見せてるのね」

でこぼこでコントラストが強調されている。
そのせいで、遠くから見るとキラキラしているように見える。

「幻想的ね・・・」
「そうだね」

しばらく夕焼けを二人して見つめる。
はたから見ればどう映るのだろうか、私たちは。

「・・・えっ!?」
「・・・泣いてるの」

気付けば同僚が隣で涙を流している。

(No.1213-2へ続く)

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[No.1212-2]俺は副音声

No.1212-2

「だから・・・こうなんだよ」
「そうか!」

物語に疑問が生じると俺に聞いてくる。
さっきのシーンは何なんだと。

「それくらい分んない?」
「分んないから聞いてるんでしょ!」

決まって俺が怒られる。
逆ギレしたいのはこちらの方だ。

「映画に集中できないよ」
「そう?私はストーリーが良く分かるわよ」

それは俺の解説があるからだ。
そうでなきゃ、疑問だらけだろう。

「ん?」
「またぁ~?」

この映画だって初見だ。
何の前知識もない。

「俺だって今見て、今理解してるんだけど?」
「それ、自慢?」

また、逆襲を食らう。
まるで俺が悪いかのように。

「そろそろ落ち着いて見させてよ」

“俺はテレビの副音声かよ!”と言いたくなった。
J1212
(No.1212完)
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