[No.1209-2]何もなかった
No.1209-2
「男子ってそんなとこ、あるよね?」
「それは否定しない」
見えないはずの出口も見えた。
それも入れ口とさほど変わらない場所に。
「それに出口の向うには何もないし」
「何もない?」
出口の向うには異次元が広がっていると噂があった。
もちろん、信じてはいなかったが。
「子供らしいね!」
「信じてはいなかったけど・・・ほら・・・」
何らかの期待は持っていた。
それだけの雰囲気を持っていたからだ。
「そんなもんだから」
「何もないんだよ、なにも・・・」
拍子抜けもいいところだ。
「でも、小さい頃は楽しめたんでしょ?」
「その森で」
楽しめたと言うより、怖くて入れなかった。
奥深くには。
「それが“楽しめた”って言うのよ?」
「そ、そうなのかな~」
そう言われるとそう思わなくもない
「当時を思い出しながら歩いてみたら?」
「何ならお供するわよ、怖いなら」
(No.1209完)
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