[No.1211-2]茶色の紙袋
No.1211-2
「ちょっと思い出したことがあって」
「どんなこと?」
小さい頃、近所に駄菓子屋があった。
そこで買い物をすると・・・。
「茶色の紙袋?」
「そう、それに入れてくれてた」
100円もあればその袋がいっぱいになる。
その印象が今でも尾を引いている。
「それに今、気付いたみたい」
「原点はここなんだって」
たかが駄菓子でもこの袋に入るとご馳走になる。
そんな感覚を持っていた。
「確かに子供にとってはそうよね」
「どんな高級な菓子よりも」
そう考えるとこの紙袋は魔法の袋とも言える。
美味しく見せてくれるのだから。
「実際、美味しいけどね」
「ここのパン屋さんはw」
紙袋からは小さめのバゲットが顔をのぞかせている。
それがまた紙袋と実にマッチする。
「ほんと美味しそうね・・・そのバゲット」
それが紙袋に隠れてしまうのにそう時間は必要なかった。
(No.1211完)
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