[No.1203-2]胸のときめき
No.1203-2
「で、どうだった?」
「そう、慌てないの!」
もちろん、操作方法を知らない。
そもそも、レコード自体、何も知らないのだから。
「とりあえず父からレクチャーを受けて」
「いつもと立場が逆転したけどね」
特にスマホなんかは私の独壇場だ。
「なんか針の付いたレバーを持ち上げて」
「・・・はり・・・って、あの針?」
問い掛けに小さくうなずく。
そう聞きたくなるのも分かる。
「どうやら針が、こうなんていうか・・・」
音を拾うらしい。
私には全く理解できないが。
「・・・最先端技術?」
「いや、違うでしょw」
けど、そう見えなくない。
今まで見たことがないのだから。
「針を静かに下ろしたら、聞こえてくるのよ音楽が」
「とっても優しい音・・・だったな」
音楽通ではない私でさえ、今とは違うことが分かる。
柔らかく、そして伸びがいい。
「それで、これをテープに録音するの」
「昔の人は」
レコードの他にテープも残されていた。
山のように。
「なんか不便そうだけど・・・」
「何なの・・・この胸のときめきは!」
(No.1203完)
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