[No.1202-1]寂しくなんてない
No.1202-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「俺はそう感じたことはなかったけどな」
「記憶の中では」
母からの手紙にはこう書いてあった。
“子供たちには寂しい想いをさせてしまって”と。
「どうしてそんなこと書いたのかな?」
「多分・・・共働きだったからかな」
でも、フルタイムでがっちり働いているようではなかった。
聞いたことはなかったが、手伝い程度・・・と思っていた。
「振り返ると母がどんな仕事をしていたのか・・・」
「知らなかったんだな、と」
言い訳がましいが、子供なんてそんなものだろう。
母も積極的には話さなかったし。
「そうかもね」
「私なんか今でも知らないw」
でも、それを寂しいと感じたことはなかった。
むしろ、思春期の頃は居なくてよかったくらいだ。
「悪い子ねw」
「だな、いま思うと・・・思春期とは言え」
結局、そんな母の想いを知らずに大人になった。
そして、家を離れて働きに出た。
「母が後悔してたとしたら・・・」
「“そんなことはなかったよ”と言ってあげたかった」
けど、それは実現せずに終わった。
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