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2023年7月

[No.1201-2]日常とは

No.1201-2

「ついに終わったね」
「けど、続くからいいじゃん!」

確かに放送は終わったけど、本当の終わりはまだ先だ。
それに予想が当たっていた、時期こそ未定だけど。

「やっぱり・・・編、やるんだって!」
「いい流れだな」

放送が終わって残念だけど次の楽しみが出来た。

「ほんと、今から楽しみ」
「盛り上がるだろうな!」

現に僕たちだけでも盛り上がっている。
最初は何もわからずに、見てたのに。

「最後の敵は劇場で」
「それまではテレビがいいんじゃない?」

また、さっきの続きになった。
気持ちは分かる、しゃべり出したら僕も止まらない。

「そうだな・・・難しい選択だな」

最後の敵の前の展開も秀逸だ。
できれば、これも劇場で見てみたい。

「うまくオーバーラップしてくれたら最高だよな?」
「それな!」

話が尽きることがない。

「そろそろ寝るか、明日、出張だし」
「私もついて行こうかな、小さくなって」

そう言うと、僕のボストンバッグに入るまねをした。
1201
(No.1201完)
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[No.1201-1]日常とは

No.1201-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------

それが流行り出してから随分後にそれにハマった。
僕も彼女も。

「今週で終わりか・・・」
「次は秋ごろだと思うな」

そのアニメは期間を空けながら続いている。
その最新シリーズが今日で終わる。

「毎週楽しみにしてたのに!」
「だな」

気付けば二人とも夢中になっていた。
アニメが特に好きじゃなかった二人が。

「次は・・・編をテレビ放送した後に」
「最後はやっぱり、劇場でしょ!」

悪くない。
かなり良い線を行く予想だ。

「でも、劇場版、長くならない?」
「最後の戦いはかなり長かったぞ」

僕の考えも話してみた。
今となってはこれだけでも十分通じる。

「・・・そうね、それもアリだね」
「だから、テレビでもうひとつ挟んでから・・・」

全体を知っているからこその予想だ。
これも悪くないと思う。

「どっちにしても楽しみね!」
「あぁ、待ち遠しいよ」

そんなこんなの話をしているうちに、放送が終わった。

(No.1201-2へ続く)

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[No.1200-2]道なき道を行く

No.1200-2

「そう言えば、実家の近所にもあったな」

あぜ道のようなものがあった。
正確には、そこまで立派なものではなかったが。

「それこそ、踏み固められた道って感じ」
「人の足で何度も」

もちろん、そこに道が出来たのは理由がある。

「理由?」
「それがないと・・・」

向うに行くのに相当な時間が掛かる。
早い話、ショートカットの道だ。

「回り道をしたら、10分くらいかかるだろうね」
「それは相当な差があるわね」

畑の作物を避けるように上手くそれは出来ていた。
だから直接的な迷惑は掛かっていない・・・とは思う。。

「そのうち、暗黙の了解ってやつで」

あたかも最初からそれが存在していたようになった。
もはやあぜ道の域を超えて、普通に道になった。

「それが今でもあるんだよね」
「もう・・・年も経ってるのに」

その道も、今通っている道と同じだ。
先人を切った人がいて、その後に続いた人も。

「道なきを道を行く・・・」
「そこに道は開かれん・・・ってやつだね」

いつか、私も。
1200
(No.1200完)
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[No.1200-1]道なき道を行く

No.1200-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ここ、通れるみたいね」
「ほんとだ」

一刻でも早く照りつける日差しを避けたい。
そのために、ショートカットできる道を見つけた。

「ここから公園内に入れそうよ」

大袈裟に言えばけもの道だ。
何人も人が通ったことで道が出来たようだ。

「足元、気を付けてね」
「木の根が張ってるようだから」

時々、このような道を見つける。
まぁ、ずるいと言えばずるい道なんだが・・・。

「やっぱり、木陰は涼しいね」
「この道、開拓した人、神!

木々を縫うように道が続いている。
今の私達の状況を知っているかのように。

「そうだよね」
「誰かが最初の一歩を踏み出さないと・・・」

道は生まれなかっただろう。

「それに、これに続いた人も」

確かに一人では道は作れない。
何か月も何年も掛けて、この道は生まれたのだろう。

「何だか壮大な話をしてる?私たち?」
「かもしれないw」

日差しを避けたつもりが話は何だか熱くなってきた。

(No.1200-2へ続く)

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ホタル通信 No.540

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.682 超能力
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

オチである最後の数行を除いて、ほぼ実話です。中学生の時学校帰りに、通り過ぎる車のナンバー当てをしていました。

たかが四桁・・・実際は一桁の時もあれば二桁、三桁の時もありますから、当てずっぽうであっても、そう簡単には当たりません。ですから、二回連続で当たった時は、超能力と言いたくもなりますよね?
でも、小説に書いたように、驚きと共にある種の恐怖を覚えました。今まさに超能力に目覚めたと・・・思春期によくある、まぁ、中二病ってやつですね。自分を特別な存在のように感じたと言いますか、僕は選ばれし人なんだとw

そういうことを本気で信じてしまうからこそ、中二病なんでしょうが、当時はそのようなテレビ番組も多く、得られる情報もテレビがほとんどでしたから、そうなっても不思議ではありませんでした。
このような状況があり、三回目にトライするのが私、友人とも、急に怖くなり、足早に帰ったことを覚えています。そんなこんなな中学生でしたが、実は今でも何気なく、ナンバー当てをしている時があります。もちろん、誰にも言わずに、心の中だけでひっそりとですが。

ラストは冒頭に書いた通り、創作です。一言で言えば、彼女が逆プロポーズしたような感じに仕立てています。そして、超能力を使って、その日を当ててみた・・・というオチですね。もちろん、超能力ではなく、行動力といいましょうかw
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[No.1199-2]お弁当の絵文字

No.1199-2

「さて・・・と」

名古屋コーチンをベースにした炊き込みご飯だ。

(うまい!)

さすがに声には出せないので心の中で大きく叫んだ。

「この煮玉子もうまいんだよな」

おかずに煮玉子やおひたしが付く。
これが炊き込みご飯とマッチする。

「美味しいのはさておき・・・」
「忘れないようにしないと」

食後は満足感が優先され、忘れることが多い。
一種の儀式のようなことを。

「さてと・・・食べ終わったことだし」
「忘れないうちに送るとするか!」

その時、僕に電話が掛かってきた。

「なんだよ、昼飯どきに・・・」

とは言え、出ないわけにはいかない。
幸い、短時間で電話は済んだ。

「・・・何か、することあったような」

それが何だか思い出せない。
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(No.1199完)
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[No.1199-1]お弁当の絵文字

No.1199-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------

「ん?しまったぁ!」

LINEに弁当の絵文字がひとつだけ送られてきた。

「今日は炊き込みご飯にしてるからね」
「サンキュー!」

基本、毎日お弁当を持たせてくれる。
かれこれ・・・年間も。

「はい、お弁当」
「ありがとう!」

普通は二段式のお弁当箱だ。
この歳にもなっても、とあるキャラクターの弁当箱だ。

「もう、お腹がすいてきたよ」
「朝食をさっき食べたばかりでしょw」

でも、少し手の込んだ弁当の時は違う。
一段だけだが、やや大きめの弁当箱になる。

「じゃ、いってくる!」
「いってらっしゃい!」

誤解のないように言えばいつも手は込んでいる。
けど、時々、いつも以上に気合が入っている時がある。

「・・・忘れないようにしなきゃ」

実は、こんな時は要注意だ。
あることを忘れると、あるものが飛んでくる。

(No.1199-2へ続く)

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[No.1198-2]マーマレード

No.1198-2

「まぁ、ジャムよりは少しクセはあるよね」
「うん・・・私もそんな気がしている」

食べたことがないかもしれないが。

「多分、匂いで食べずに敬遠したと思う」
「そうね、確かに独特の・・・」

子供にはハードルが高そうな匂いがした。
何となく薬草ぽいと言うか・・・。

「でもさぁ・・・今、食べてるパン・・・」
「そうなのよね、似たようなものが入ってるの」

食感こそ違うが、匂いはマーマレードそのものだ。

「食べられるようになった・・・って話?」
「うん・・・いつの間にか」

食の好みが変わることは色々と経験してきた。
苦手だった食べ物が、今では好物に変わったりしている。

「私もそうよ」
「子供の頃と随分変わったな」

私の場合もそうだ。
マーマレードに似た食べ物が逆に好きになった。

「このパンだって・・・フルーティでさぁ」
「逆にオレンジが入っていないとダメなくらい」

それくらい好みが変わった。

「じゃぁ、肝心のマーマレードは?」
「食べてみたんだよね」

もちろん食べてみた。
今なら食べれそうだからだ。

「で、結果は?」
「・・・やっぱり、ダメみたい」
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(No.1198完)
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[No.1198-1]マーマレード

No.1198-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
それを食べた記憶はない。
だから、多分、食わず嫌いだったと思う。

「マーマレードって知ってる?」
「もちろん知ってるわよ」

オレンジの果肉が練り込まれたパンを食べている。
その関係で思い出した。

「それがどうしたの?」

学校給食で時々、それが出てきた。
ジャムと同じ大きさの小袋で。

「私のところもそうだったよ」
「パンがパンだけに嬉しかったでしょ?」

確かに嬉しかっただろう、私以外は。
いわゆるコッペパンだけでは味気ないからだ。

「私、それが食べれなくて」
「嫌いだったの?」

それがよく分からない。
食べたから嫌いになったのか、単に食わず嫌いなのか。

「記憶が定かではなくて」
「でも、それからと言うものずっと口にしてないの」

だから、何が原因で食べなくなったのか分からない。
自分でも。

「おかしな話ね」
「この流れからすると、ジャムはいけるの?」

いちごのジャムは好きだった。
そう考えると、オレンジが苦手ということになる。

「でも、オレンジ自体は好きなのよね」

オレンジだけではなく、総じて柑橘類は好きだった。

(No.1198-2へ続く)

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ホタル通信 No.539

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.697 分かっていたけど
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:女性

設定が学生以外は、ほぼ事実です。通学路・・・ではなく、通勤路にその三毛猫が居ました。

通勤路の途中に、いわゆる地域ネコが住み着いていました。そのうちの一匹が草むらでうずくまっており、それが数日続いたことでこの物語が生まれました。毎朝、同じ場所でうずくまっているのを見ると、さすがに心配になります。もともと人に馴れているせいか、普段から近付いても逃げる気配はありません。だから、普段通りなのか、弱っているのか・・・判断を下すのに数日を要したわけです。

先に結論を言っておくならば、このネコ・・・弱ってはいませんでした。ただ、元気だったとは言えない状態ではありました。見つけてから、3日後、会社帰りに、カニカマを与えたのを覚えています。
帰りにエサを与える予定はなかったため、近くのコンビニで間に合わせたのが、カニカマでした。ネコだけに魚介類が良いのかな?という単純な理由です。まぁ、実家で飼っていた同じ三毛猫がそれを好きだったという気持ちも、そうさせたのだと思います。

カニカマを与えると、喉を鳴らして美味しそうに食べていましたよ。でも、すこぶる元気だったわけじゃないとしても、どうしてそこに数日もうずくまっていたのか、理由は分かりません。
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[No.1197-2]持たせてくれた人

No.1197-2

「でも、今さらなんでこんな話を?」
「先週、実家に寄ったんだけど」

なにげなく食器棚を整理していた時にそれを見つけた。
それこそ、なにげなく置かれていた。

「さすがに使ってはなさそうだったけど」
「雑に置かれてたわけでもなかったな」

もう、弁当を持つ人はいない。
そもそも、持たせてくれる人も居ないが。

「捨てられなかったんじゃない?」
「別に思い出の品ってわけでもないんだぞ?」

3年間使った・・・ただ、それだけだ。
それ以上でも以下でもない。

「これだから男性は・・・」
「何だよ?」

彼女が何か言いたげな顔をしている。

「“あなた”はそうかもしれないけど」
「“持たせてくれた人”は違うのよ」

そう言うものだろうか?
僕にはよくわからない。

「お弁当は物言わぬ、愛情そのものなのよ」
「気付かなかったの?」

そう言われても・・・。

「だから、捨てられなかったのよ」
「お母さんは」

(No.1197完)
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[No.1197-1]持たせてくれた人

No.1197-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「まだ捨ててなかったんだ」

思い出の品ではない。
でも、愛着はある・・・別の意味で。

「お弁当箱?」
「あぁ、・・・年前のな」

高校生の時に使っていたものだ。
3年間、これだった。

「ザ・弁当箱!って感じのやつでさ」
「平べったくて、これくらいの大きさで・・・」

今ではあまり見かけない。
金属製で色気も何もない。

「この平べったいのが問題と言うか・・・」
「問題?」

当時の学生カバンには横向きでは入らなかった。
だから、教科書と同じように縦に入れていた。

「こうなるとご飯がどちらかに寄るだろ?」
「だろうねw」

学校に着くと、ご飯が7割まで圧縮されている。

「それは分かるけどおかずは?」
「おかずはさぁ・・・」

おかずはおかず入れに入っていた。
説明が難しいがそれは封が可能で密閉度が高い。

「早い話、ずれないってこと」
「なるほど」

(No.1197-2へ続く)

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[No.1196-2]何で磨くの?

No.1196-2

「で、とにかく、磨きたくなるんだよ」
「そうかな・・・」

もともと、表面がややくすんでいることもある。
磨いてくれと言わんばかりに。

「磨くとさ・・・色鮮やかになって」
「めちゃくちゃ、美味そうに見えるんだよ!」

例えるなら、大きなビー玉のようだった。
豊潤で高貴な色に変化する。

「大袈裟ね」
「大袈裟じゃないぞ!」

驚くほど、つやつやになる。
食べるのがもったいないくらいに。

「じゃ、見てろよ」

論より証拠だ。
もう、さっきから磨いているが。

「・・・何だか輝きを増してない?」
「だから言ったろ?」

特にこのすももは色が濃い。
味も期待させる。

「・・・これどう?」
「なにこのつやつや感!」

ある意味、食べる前の儀式のようなものだった。
あの頃の僕たちにとっては。

「今もでしょ?」
「だなw」

そう言い終わる前に彼女もひとつ磨き始めた。

(No.1196完)
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[No.1196-1]何で磨くの?

No.1196-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「何してるの?」
「ん?ご覧のとおりだよ」

見ての通り、すももを磨いている。

「そうなんだけど、なんで?」
「なんでと言われても・・・」

指摘されてあらためて思った。
なんで僕はすももを磨いているのかと。

「無意識?」
「いや、そこまでじゃないけど」

自然とそうしてしまう。
きっかけは多分、アレだろう。

「きっかけがあるの?」
「あぁ、小学生の時・・・」

給食にまれにすももが出てきた。
その時、誰からともなく、すももを磨き始めた。

「なんでぇ~?!」
「こっちが聞きたいくらいだよw」

僕の記憶ではこうだ。
すももの色は基本、ワインレッドだけど差がある。

「まぁ・・・そうよね」
「ほら、これなんか」

かなり色が薄い。

「味に差があるかは別にして」
「とにかく色が濃いのが人気だった」

ただ、選ぶことは出来なかった。
あくまでも給食係が配ってくれるのを待つだけだった。

(No.1196-2へ続く)

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ホタル通信 No.538

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.615 追憶~その後~
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

この小説はタイトル通り、「No.612 追憶」の続編と言いますか
文字通り、“その後”です。

本来なら、No.612のホタル通信を先に書くべきでしょうが、逆パターンもいいかも?と思い、筆を走らせています。そのNo.612もNo.588の続編であり、三部作のような作りです。

実はこの小説、ほぼ事実ではあるのですが、ふたつの似た話が混ざり合ったような構成です。読んでいただければ分かる通り、ある方が亡くなった話なのですが、先ほど書いた通り、亡くなった方も二人いるわけです。もちろん、同時ではなく、また、お二人に関係性はありません。

ではなぜ?ということになりますが、No.612をAさんだとすればNo.615はBさんのエピソードです。このAさんとBさんのエピソードがそれぞれの小説に微妙に混ざり合っています。ですから、本来、実話度としては高いのですが、創作要素が強い構成のため、星ふたつにしています。
Aさんは会社の先輩にあたる方、Bさんは身近な人・・・とだけ言っておきます。この小説で大切にしたのは、仮に自分が死んだときに来てくれるかどうかではなく、元気なうちに会いに来てくれるかどうかです。そう意味も込めて、あえて“その後”を書きました。

この小説は冬のホタルらしい作りです。自己満足の独りよがりな作りですが、何かを感じていただければ幸いです。

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[No.1195-2]暇な時間

No.1195-2

「ただ、俺らが子供の頃の話であって」
「現代っ子は違うだろ?」

大人と全く同じとは言わない。
けど、それほど大きな差もないだろう。

「小学生だってスマホ持ってるもんね」
「何なら赤ちゃんが動画見てるんだからw」

暇ならいくらでもつぶせるだろう。
それにそもそも、暇でもないだろう。

「ほら、塾とか習い事とか」
「俺らの時代はそこまで盛んじゃなかったし」

そう考えるとむしろ子供の方が忙しいのかもしれない。

「あははwそれは言えてるかも」
「今の時間だって、塾で勉強してるだろうし」

その点、大人は仕事が終われば基本、自由だ。
それなりにお金もあるから、行動範囲も広い。

「で、この後、カラオケでも行く?」
「そうね・・・それもいいわね!」

意味は違うが、いわゆる“大人買い”に近い。
子供の頃のリベンジを今、している。

「リベンジか・・・そうも言えるわね」

満たされなかったから、今がある。
それを知っているから、今が楽しい。

「満たされすぎるのも・・・考えものさ」
「・・・そうね」

有り余るほどの暇な時間を過ごしてきた。
本当はそこにこそ、幸せがあると知らないわけじゃないけど。

(No.1195完)
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[No.1195-1]暇な時間

No.1195-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「子供の頃、夏休みとかどうしてた?」
「何よ、急に?!」

夏休みとかはいつも時間を持て余していた。
何も縛られず自由なはずだったのに。

「確かに・・・暇してたわね」
「だろ?」

本来、楽しいはずの休みもそう楽しくはなかった。
むしろ、退屈で仕方なかった。

「今みたいにスマホもゲームもないし」
「そもそも、お金も持ってなかったじゃんw」

ざっくりと言えば行動に制限があったと言える。
何をするにしても。

「午前中は何となくテレビを見て・・・」
「午後は・・・何してたっけな?」

もちろん、近所の子らと遊ぶこともあった。
でも、歳が離れていることもあって遊びも限られていた。

「逆に大人になるとさぁ」

やりたいことが多すぎる。
アレもコレも・・・時間が足りないくらいだ。

「暇をつぶすのも簡単だし」
「スマホがあれば十分よね?」

暇なのにやることがない昔。
暇じゃないのに、やることが多すぎる今・・・。

「でも、ほんとどうしたの?急に」

別に深い意味はない。
連休を前に、ふと思い出しただけだ。

(No.1195-2へ続く)

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